連載 VOCE特別インタビュー

黒柳徹子さん、90歳。いつまでも変わらないパワーと美の秘訣とは?【『続 窓ぎわのトットちゃん』発売記念】

公開日:2023.12.30

国民的ベストセラーの続編『続 窓ぎわのトットちゃん』が出版された。本の発売記念会見で、黒柳徹子さんのが語られた言葉とは? 黒柳さんの変わらぬ輝き、エネルギー、そして美しさのヒントを探る。

黒柳徹子さんによる国民的ベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』。42年の歳月を経て、続編となって私たちの前に再登場。その刊行を記念して、黒柳徹子さん自身による発売記念会見が開催された。今年90歳を迎えられた黒柳さん。全く変わらない輝き、エネルギー、そして美しさに憧れている人は多いはず。その秘訣を少しでも探りたく、このたび生・徹子さんに会いに行ってきました!

黒柳徹子さんの珠玉のコメントをお届け!

司会の方に呼ばれると、まさに輝くようなパワフルオーラを放ちながら壇上に現れた黒柳徹子さん。白いパンツにフリルのブラウス、そして白とパステルグリーンの大きな花柄をあしらったジャケット。華やかなアイテムを完全に自分のものにされていて、お見事!

この日は、42年ぶりに続編『続 窓ぎわのトットちゃん』を書かれた理由、続編を通して伝えたかったこと、さらには42年の歳月を経ての自身の変化、そして変わらなかったことなど、黒柳さんの魅力の秘訣を垣間見られるコメントも多数。

そこから、VOCEが感じた「これこそが黒柳さんの美しさと人々を魅了するパワーの秘訣だ」というコメントをお届け!

何よりも“自由”を大事にしている

「私がいつも考えているのは、『戦争のときは嫌だったなあ』ということなんです。このたびウクライナで戦争が起こったことが、続編を書こうと思った一番のきっかけだったかもしれません。やはり子供にとって一番嫌なことは、自由じゃないこと。何をやっても『いけない』と言われて逃げまどったあの戦争中。本当は思い出すのも嫌だったんですけど、ウクライナのことを考えて、続編を書こうかなと思ったわけです」

他にもいろいろ不自由なことはあったけど「私にとっては自由じゃないことが一番辛かった」と振り返っていた黒柳さん。自由の大切さを誰よりも感じ、自分らしくあることを追求してきたことが、あの輝くようなオーラにつながっているのだと強く感じる。

ありのままの自分を認める

「私は通っていた小学校を退学になり、トモエ学園という学校に転校しました。それまで『自分は他の子どもと違うのかもしれない』という疎外感のようなものを感じていた私に、トモエ学園の小林宗作校長は、『君は、本当はいい子なんだよ』という言葉をかけてくださいました。

その後、女優として活動するようになってからも、エキストラのような仕事が上手くできず『お呼びでない!』『その個性が邪魔! 引っ込めて』と言われたことも。でも劇作家の飯沢匡先生は、『直しちゃいけません。あなたのそのままがいいんです』と言ってくれました。

これらの言葉は、今でも私の根底を支えていると言えます。お二人の言葉がなければ、お仕事もやめてしまっていたかもしれません。今回続編を書くにあたって、あらためて前編の『窓ぎわのトットちゃん』を読み直したのですが、思ったのは『私は何て変わらない人間なんだろう!』ということ。ずーっと問題児のままで、本当に何一つ変わっていない。でも、こうして芸能界で何十年もお仕事をやってこれたんだから、『ま、いっか』と自分を納得させた次第です」

人は皆、変わろう、成長しようともがくけれども、悲しいほど変われないこともあるもの。でも今まで“できたこと”、成し遂げたことに目を向けて、自分を認め受け入れてあげることも大切なんだと気づかされる。

読書がエネルギーの源

「私は子どもの頃から足が悪くて病院にいることが多かったので、よく本を読んでいて。それで『本って、いいなあ』と読書の面白さを知ったんです。昔の本はね、漢字に振り仮名が振られていたんですよ。『暗夜行路』とか、大人の本も。だから子どもでも何でも読めたんです。でも今は仮名がなくなっちゃって、残念ですよね。どんな本でも読めたら、子どもはきっと面白くて何でも読むと思います。

じゃあたくさん本を読んで知的になったかというと、それは分かりません(笑)。でも想像力は増幅されたと思います。自分の知らない世界、感じたことのない感覚……。そういうのに触れるたびに、『いいな、本って』といちいち思います。今でも寝る前に必ず本を読むんですけど、つまらなさそうに見える本でも読むと面白いし発見がある。読書から、いろいろ学び続けていると思います」

読書を通しての飽くなき知的好奇心。読書に限らず、いくつになっても学ぶ気持ち、そして学ぶ楽しさを失わないことが、人生を豊かに保ち続けてくれるのだろうと教えられたコメントに心が揺さぶられる。

新しいことを恐れない

「前作の『窓ぎわのトットちゃん』がヒットしたおかげで、私は新しいこと、やりたかったことをたくさんやらせてもらえました。耳が聞こえない人も楽しめる『日本ろう者劇団』を作ることができましたし、ユニセフ親善大使にも選ばれました。本当にいいことがいっぱあって、ありがたい本です。

これからやりたいこと? あの、インスタグラムもYouTubeもやっているので。まわりに教えてくれる人がいっぱいいるんですよ。それでごはんを食べているところをアップしたら、『大食いですね』なんて反応が戻ってきて、面白い。そんなふうに、毎日楽しんで過ごしています」

やりたかったことには常に挑戦し、新しいことにも気軽に興味を持ち始めてみる。この姿勢こそが、いつまでもあのキラキラとした輝きを失わない最大の秘訣と言えるのかも。人は年齢を重ねると、ついつい新しいもの、慣れていないものを遠ざけがちに。でも、かまえず気軽に楽しめばいいんだ。黒柳徹子さんの言葉から、そんな素敵な気づきをいただいた気が!

最後に、続編刊行にあたって私たちに配られたメッセージから、こんな言葉をお届け。

「戦争について知りたい方が読むのもよし、自分にどんな才能があるかわからない人が読むのもよし、『自分は普通じゃないかもしれない』『失敗ばかりして、世の中に必要とされない人間なのかも』なんて思っている方が読むと、もしかすると参考になることが書かれているかもしれません。他にも、写真なんかもいろいろ載っていますので、お楽しみに」

PROFILE

黒柳徹子(くろやなぎ・てつこ)
東京都生まれ。俳優、司会者、エッセイスト。東洋音楽学校(現・東京音楽大学)声楽科卒業後、NHK専属のテレビ女優第1号として活躍する。『徹子の部屋』(1976年2月~、テレビ朝日)の放送は、同一司会者によるテレビ番組の最多放送世界記録を更新中。1981年に刊行された『窓ぎわのトットちゃん』(講談社)は、国内で800万部、世界で2500万部を超える空前のベストセラーに。1984年よりユニセフ親善大使となり、のべ39ヵ国を訪問し、飢餓、戦争、病気などで苦しむ子どもたちを支える活動を続けている。おもな著書に『トットチャンネル』(新潮文庫)、『チャックより愛をこめて』(文春文庫)、『トットちゃんとトットちゃんたち』(講談社)がある。

『続 窓ぎわのトットちゃん』

黒柳徹子著 講談社 1500円
国民的ベストセラー、42年ぶりの続編。今作ではトットちゃんが青森に疎開してから、音楽学校を卒業してNHKの専属女優になり、ニューヨークに留学するまでの日々が綴られています。

撮影/浜村達也 取材・文/山本奈緒子

Edited by 渕 祐貴

公開日:2023.12.30

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