【箱根への道】都道府県対抗で平均順位ワーストでも…沖縄県出身ランナーが大学駅伝で躍進中「バネがある」 

スポーツ報知
今年の箱根駅伝で往路6位でゴールした国学院大・上原琉翔

 大学駅伝界で、沖縄県出身ランナーが存在感を増している。昨年の第99回箱根駅伝で国学院大の上原琉翔(当時1年、現2年)が沖縄県出身選手として5年ぶりに出場。今年の第100回大会では5人が登録され、上原と日大の大仲竜平(2年)が出場した。第100回大会で登録された5人のうち4人は下級生。来年の第101回大会以降、箱根路を駆ける島人(しまんちゅ)ランナーは、さらに増えそうだ。

 これまで27回開催された全国都道府県対抗男子駅伝で、沖縄県の平均順位はワーストの45位。バスケットボールやゴルフなどが人気で多くの好選手を生んでいる一方で、長距離では苦戦していた。だが、最近、その流れが変わりつつある。北山高出身でともに国学院大の上原と嘉数純平(2年)は共に1万メートル28分台。昨年11月の全日本大学駅伝で上原が3区3位、嘉数が6区5位と好走し、総合3位に貢献した。箱根は上原が5区17位、嘉数は出番なしに終わったが、主力として今後の飛躍が期待される。

 都道府県駅伝で同県代表を指揮する兼箇段賢(かねこだん・まさる)監督(52)は「以前は都道府県駅伝で社会人・学生区間(3、7区)が課題でしたが、今は強みになっている。(今年は46位だったが)来年は過去最高(07年の35位)の更新を目指したい」と話す。躍進の理由については「中学、高校の先生が勉強して頑張っているからでしょう」と語った。

 国学院大の前田康弘監督(45)は「沖縄の選手はバネがある。上原(162センチ)、嘉数(161センチ)は小柄ですが、走ると大きく見える。(出身の)北山高の大城(昭子)先生が正しいフォームを彼らに身につけさせてくれたお陰です」と、沖縄の指導者に感謝した。

 次世代の沖縄ランナーも育っている。宮古島大学駅伝(11日、5区間100・5キロ)には沖縄の長距離走の強化のために社会人、大学生、高校生、中学生による沖縄選抜チームがオープン参加し、11人でタスキリレー。3000メートルで9分22秒の自己記録を持つ地元・宮古島の下地中3年の下地朔(14)は「関東の大学の選手の走りを間近で見られてワクワクした。僕も将来、箱根駅伝を走りたい」と目を輝かせた。

 今年の10区を走った日大・大仲は、東京から約2000キロの波照間島で生まれ育った。自らを「日本最南端ランナー」と呼び「応援してくれている家族や島の方々に希望を与えられるような走りをしたい」と意気込む。沖縄から、はるか海を越えて、箱根への道はつながっている。(竹内 達朗)

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