【尾車親方の目】貴景勝の11勝Vは精一杯の結果 熱海富士、伯桜鵬、大の里…来年には新しい地図ができるかもしれない

スポーツ報知
優勝決定戦で貴景勝(左)に、はたき込みで敗れた熱海富士(カメラ・佐々木 清勝)

◇大相撲▽秋場所千秋楽(24日、東京・両国国技館)

 千秋楽には2つのテーマがあった。11勝4敗の優勝をどう評価するのか。全休明けでカド番の貴景勝に責任はない。精一杯の成績だったと思う。横綱が不在で豊昇龍と霧島の2大関が低空飛行。関脇陣の星のつぶし合いなどが原因だ。

 新しい波がそこまで来ていることも忘れてはならない。先場所は伯桜鵬、今場所は熱海富士といった若くて勢いのある力士が出てきた。十両からは大の里という超大物の足音も聞こえてきた。私はこの3力士こそ大関どころか横綱になる逸材だと思っている。誰かがこの現状を突き抜けないと来年には番付に新しい地図ができる。11勝4敗の優勝はその過渡期にある。

 決定戦の貴景勝の立ち合いの変化に関しては内容的には残念に思っている。しかし、貴景勝の現在地を見ると致し方ない。休場明けのカド番。休場の原因になった両膝の痛みは平行線だろう。首にも爆弾を抱えている。そのため1日1番の気迫で土俵を務めてきた。肉体的な限界。精神的にも追い詰められた状態があの変化になった。「若手に負けたくない」。「大関として白星にこだわった」と貴景勝は言うかもしれないが、一番悔しいのは貴景勝自身だと思う。(尾車親方=元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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