林家ペー、パー子「一瞬のドキドキ感がたまらない」…大相撲中継における観客席の「顔」が相撲愛を語る

スポーツ報知
これまで多くの著名人を激写してきた林家ペー・パー子夫妻(カメラ・今成 良輔)

 大相撲中継を見ていると、観客席で誰よりも目立っているのが、全身ピンクというおそろいの衣装で観戦しているタレントの林家ペー、パー子夫妻の姿だ。代名詞となっているカメラのシャッターを押しまくりながら、土俵に熱視線を送る好角家。大相撲の魅力を語り、長年撮りためた写真の一部を披露してくれた。(取材・構成=手島 莉子、今関 達巳)

 おなじみとなっているド派手なピンクの服でぺー、パー子は仲良く、取材現場に現れた。「かの有名な前島密さん(駅逓頭=えきていのかみ=郵政大臣)が作ったもの(郵便報知新聞)が報知新聞さんのルーツですよね。光栄です」と、ぺーらしい“立ち合い”からスタート。そこから相撲愛を語ってくれると思いきや、得意の余談が始まった。ぺーは突然、「GO」と書かれたTシャツを指さした。

 「まさか、野口五郎じゃないよ。どう見ても郷ひろみ。ファンクラブ入っているから。50年だよ。驚かない?」

 謎の自慢が終わりかけた時、パー子の甲高い声が響いた。「あら、ヤーダ」。見せてほしいとお願いしていた大相撲関連の秘蔵写真を、自宅に忘れたことに気づいたからだった。急いで取りに向かったパー子。ここからぺーの“独演会”が幕を開けた。

 「僕の出身は大阪で(中央区の)谷町の近く。大相撲のタニマチ【注】の語源になった町。驚くでしょ? だから(春場所のとき)相撲部屋の宿舎もたくさんあって、自然と相撲が好きになったの。大きくなってから一番最初に見た力士は(初代)貴ノ花。サインをもらった。そんなに大きくないのよ。僕と変わらない。ウソ。笑ってよ」

 写真を手にパー子が再登場しても、マシンガントークは止まらない。

 「僕は遠藤を応援しているの。彼の出身地、石川・穴水町に疎開したことがある、うちのおかみさん(ペーの師匠・初代林家三平さんの夫人、海老名香葉子さん)が彼を応援しているからね。だから、1回優勝してほしいね。けがもあると思うけど、(CMに起用されている永谷園の)お茶漬け食べて頑張ってさ。CMには照ノ富士も出たね。僕は彼と誕生日が一緒なのよ。11月29日。柏戸も同じで、歴代横綱2人がいる。あと、僕は八方美人なので貴景勝も応援してるの。本名の名字が同じだから(ぺーは佐藤嘉彦、貴景勝は佐藤貴信)。だから、照ノ富士と貴景勝が戦ったときは『どっちも勝て、どっちも負けるな』ってね。前に永谷園のCMやってたの誰だか知ってる?。僕が好きな高見盛」

 パー子「高見盛! ハッ、ハーッ。ヤーダ」

 終始聞き役だったパー子が合いの手を入れた後、ぺーがやっと相撲の魅力をまとめてくれた。

 「相撲の難しいところは、いかに勝つのが大変かということ。僕調べたら、勝率5割を超えている人って本当に一部ね。そして、とにかく相撲は潔く、短い時間で勝負が決まるところが好き。野球はずっと見ていないといけないけど、相撲は一瞬のドキドキ感がたまらない。優勝が決まる結びの一番ってワクワクするでしょ。巨人―阪神戦のサヨナラホームランみたいなね。うまい例えでしょ」

 お後がよろしいようで。

 【注】タニマチは、力士や相撲部屋の後援者を意味する。その語源は春場所が行われる大阪・谷町とされる。諸説あるが、明治時代に同地の外科医らが、けがをした力士を無料で診察したことから、熱心な後援者が「タニマチ」と呼ばれるようになった。

 ◆取材後記

 とにかく圧倒された。ぺーさんの話術もそうだが、インタビューは、パー子さんが持つカメラが記者やカメラマンに向けられ、フラッシュを浴びながら進んだ。これまで経験したことのない“逆撮影”に驚いた。多くの著名人を撮ってきた“あの”ピンクのカメラに写れたことはうれしく、今後の自慢にしたいと思った。

 終了間際に、ぺーさんが取材班と同じ誕生日の著名人をたくさん挙げてくれた。ただ、私の誕生日、7月16日を伝えた時点でタイムアウト。少々がっかりしながら帰宅するとLINEが鳴った。取材のアポイントのため連絡先を交換していたぺーさんからだった。メッセージを開くと著名人の名前がずらり。しかも、米国女優のジンジャー・ロジャースについては、古い人だからと写真付きだった。テレビで見たまま、仲良く、明るく、誰に対しても変わらない対応の夫妻。いつの間にかファンになってしまった。(手島 莉子)

 ◆林家 ペー(はやしや・ぺー)大阪府生まれ。本名・佐藤嘉彦。1964年に林家三平に入門。「林家ペー平」から「林家ペー」に改名した。72年に同門のパー子と結婚。91年に第8回浅草芸能大賞新人賞受賞。特技は著名人の誕生日の暗記で、日付を聞けば5人以上は挙げることができる。趣味は写真、大相撲&プロ野球観戦、読書。

 ◆林家 パー子(はやしや・ぱーこ)東京都生まれ。本名・佐藤粋子。演歌歌手を目指していたが、林家三平宅を訪れる機会があり、そこで海老名香葉子さんにスカウトされ、三平に入門する。明るい性格と独特な笑い声で、周囲が明るくなるからと「パー子」と名付けられ、バラエティーでも人気に。

スポーツ

×