北田典子さん、急死の古賀稔彦さんと3週間前に電話「俺、必ず元気になるけん。また会おう」

スポーツ報知
古賀稔彦さん

 1992年バルセロナ五輪の柔道男子71キロ級金メダリストで「平成の三四郎」と称された古賀稔彦(としひこ)さんが24日午前9時9分、がんのため、神奈川・川崎市の自宅で死去した。マネジメント会社が発表した。53歳の若さだった。現役引退後は日本女子代表のコーチを務めるなど精力的に指導していたが、手術から約1年で帰らぬ人となった。葬儀・告別式は29日に執り行われる。時間や場所は非公表。

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 多くの五輪メダリストを輩出した柔道私塾の「講道学舎」で、古賀さんと共に稽古を積んだ88年ソウル五輪柔道女子61キロ級銅メダリストの北田典子さん(54)は、3週間前に電話で聞いた声が今も耳に残っている。「奇跡を起こした男なんだから。必ず元気になって」「うん。俺、必ず元気になるけん。また会おう。楽しみにしている」。最後の会話となった。

 昨夏頃に古賀さんから、がんとの闘病を打ち明けられた。「自分から話すようにしている。けっこうみんな知っているんだよ」。取り組んでいる治療の話など、前向きな話が多かった。「『大丈夫、大丈夫。いい先生に巡り合ったから』って。そのときはすごく元気で大丈夫だろうと思った。彼の生命力を信じていたので」。優しさは変わらぬままで、そのときも北田さんの家族の健康を気にかけてくれた。

 悲報はこの日朝、北田さんの元に届いた。「最後まで生き抜いた人だなと。本当に見事に、とにかく全てにおいて子供の頃から全力を尽くす子でした。病気に対する治療も、彼なりに全力で尽くしたことだと思います」。突然の別れを惜しんだ。(高木 恵)

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