渡辺麻友が電撃引退 「アイドル」と「女優」のギャップに悩み苦しむ

スポーツ報知
AKB48時代の2015年5月、スポーツ報知のインタビューで笑顔を見せる渡辺麻友

 「まゆゆ」の愛称で親しまれ、昨年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」などに出演した元AKB48の女優・渡辺麻友(26)が5月31日付で所属事務所「プロダクション尾木」との契約を終了し、芸能界を電撃引退したことが1日、明らかになった。「健康上の理由で芸能活動を続けていくことが難しい」と自ら事務所に申し出たという。AKB48選抜総選挙で唯一の9年連続ベスト5入りを達成した王道アイドル。全盛期の主要メンバー「神7」では初の引退発表に衝撃が走った。

 スキャンダルとは一切無縁。AKBではアイドルの王道を最後まで貫き、卒業後は「第二の仲間由紀恵」として女優での将来が期待された渡辺が、電撃引退を発表した。

 関係者によると、真面目な性格がゆえに、数年前から心身のバランスを崩していたという。AKBがブレイクした2010年頃から平日は劇場公演、音楽番組出演、新曲プロモーションとスケジュールは分刻み。土日は握手会で、ほぼ一日中ファンと交流するなど多忙を極めた。何事にも全力で取り組んでいたが、在籍中に出演したTBS系ドキュメンタリー番組「情熱大陸」で、「AKBは真面目に頑張ったり、ストイックにやったり、それが正解じゃないところ。真面目な子が損をするような世界でもある」と本音をこぼすこともあった。

 プロ意識の高さは群を抜いていた。アイドル時代、スポーツ報知のインタビューで「テレビ番組の待ち時間や移動時間でも、常に周りから見られていることを意識しています。だから、一瞬も気を抜きたくないんです。理想のアイドル像は、いつも笑顔で愛される存在」と語っていた。その姿はファンの支持を集め、選抜総選挙で唯一の9年連続ベスト5入り。14年には悲願の1位に輝いた。全力で、真面目にアイドルに取り組んできた姿勢が結実した瞬間だった。

 17年12月にAKBを卒業してからは女優に転身。多忙なアイドル時代から一転して時間には余裕ができたが、関係者によると「燃え尽き症候群のような症状」だったという。昨年9月にファンクラブを休止した際には「ファンの皆さんが望んでくれている『まゆゆ』と、今の『渡辺麻友』との間に大きく隔たりがあるのではないかと、自分自身の中で悩む日々が続いていました」と告白。ファンが求めるアイドル像と自身が理想とする女優像とのギャップにも思い悩んでいた。

 昨年8月の「なつぞら」クランクアップ後は事実上、活動休止した状態だった渡辺はこの日、元日以来5か月ぶりにツイッターを更新した。「芸能のお仕事を離れる運びと致しました。これまで関わって下さった皆様、応援してくださった皆様、誠にありがとうございました!」とファンに報告。メッセージには、悩みから解放されたような、吹っ切れた様子がうかがえた。

 ◆渡辺 麻友(わたなべ・まゆ)1994年3月26日、埼玉県生まれ。26歳。愛称は「まゆゆ」。2006年12月にAKB48加入。グループ活動と並行してソロ歌手や女優としても活動。17年にAKB48卒業。18年にミュージカル「アメリ」で舞台初主演。19年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」で広瀬すず演じるヒロインの同僚役を好演。趣味は宝塚鑑賞。好きな食べ物は唐揚げ。身長156センチ。血液型AB。

 ◆総選挙9年連続ベスト5 渡辺は09年の第1回選抜総選挙から4、5、5、2、3、1、3、2、2位と9年連続ベスト5入りを果たした。これは指原莉乃(12~17年)と柏木由紀(11~16年)の6年連続を引き離す、選抜総選挙での最長記録。AKBグループで長年にわたりトップを張ってきた証しだ。

 14年の第6回では15万9854票を獲得。ライバルの指原を退けて悲願の1位に輝いた。大雨に見舞われた東京・味の素スタジアムで「今までの人生で、こんな素晴らしい景色を見たことはありません」と涙まじりに歓喜のスピーチで勝利を宣言した。

 最後に出場した17年の第9回は指原に敗れて2位となり、壇上で卒業を発表。その年の12月にAKB48劇場で卒業公演を行い、NHK紅白歌合戦を最後にグループを卒業した。

 ◆神7(かみセブン) AKB総選挙で09年の第1回、10年の第2回の上位7人が同じだったことを受け呼ばれるようになった愛称。転じて総選挙ベスト7のことを示すようになった。「初代神7」は〈1〉前田敦子〈2〉大島優子〈3〉篠田麻里子〈4〉渡辺麻友〈5〉高橋みなみ〈6〉小嶋陽菜〈7〉板野友美。

 前田は俳優の勝地涼、篠田は美容室経営の実業家と結婚し、ともに1児のママに。高橋は15歳年上のIT企業社員と令和婚。大島は女優業、小嶋はアパレルのデザイン、板野は歌手として、6人とも芸能界で活躍している。

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