亡くなった志賀廣太郎さん、復帰オファー届いていた 脳梗塞手術から回復順調も…

スポーツ報知
志賀廣太郎さん

 テレビ東京系「三匹のおっさん」、TBS系「陸王」など数多くの作品に出演し、名脇役として知られる俳優の志賀廣太郎(しが・こうたろう、本名同じ)さんが4月20日午後8時20分、誤嚥(ごえん)性肺炎のため神奈川県内の病院で死去した。71歳だった。30日、所属事務所が発表した。葬儀・告別式は近親者で行った。後日、お別れの会を開く予定。昨年4月に脳梗塞の手術を受け、ドラマを途中降板。復帰を目指しリハビリを続けていた。

 地味な中年男性から個性的なキャラクターまで変幻自在に演じ分け、作品に溶け込む名バイプレーヤーが天国に旅立った。

 志賀さんは昨年4月、自宅で倒れ、脳梗塞の緊急手術を受けた。テレビ東京系「きのう何食べた?」をレギュラー出演途中で降板。川崎市内の介護施設でリハビリに専念していたが、今年3月末から血圧が低くなり、4月からは食が細くなってきていたという。20日午後6時過ぎに食事がとれず、意識がなくなったことから救急搬送。弟が駆けつけたが、すでに心肺停止の状態となっており、午後8時20分に息を引き取った。

 所属事務所によると、志賀さんは脳梗塞発症後、右半身まひ、失語などの症状があった。リハビリには真面目に取り組み、順調に回復。器具や手すりを使っての歩行や会話もできるようになっており、朗読やナレーションなど声の仕事のオファーも届いていたという。2月下旬からは新型コロナウイルスの感染拡大防止対策で、親族以外の面会を控えていたため、仕事関係者にとっては突然の別れとなってしまった。

 遅咲きの名優だった。志賀さんは母校・桐朋学園短大の非常勤講師として演劇を教えていたが、俳優業への情熱が再燃。演出家・平田オリザ氏が主宰する劇団「青年団」の舞台「光の都」(90年)に41歳で出演し、その後正式に入団した。舞台に深く響く低い美声と、緻密なひょうひょうとした演技が映像制作者の目に留まり、50代でCMや映画、ドラマにも活躍の幅を広げた。

 コメディーDVDシリーズ「THE 3名様」では、レストランでパフェをむさぼる「パフェおやじ」役で若者からも人気に。「陸王」では役所広司(64)を叱咤(しった)する足袋メーカーの番頭役、「三匹のおっさん」では、幼なじみと夜回り自警団を結成する頭脳派おじさんを演じた。主人公を温かいまなざしで見守る存在感は、作品に欠かせないものだった。

 プライベートでは、40代のころに一度の離婚歴があり、以降は独身。俳優業の傍ら、非常勤講師として母校の教壇にも立っていた。チェックのシャツがトレードマークの実直な人柄で、自身が出演していない青年団の演目でも、受付の手伝いを買って出るなど劇団を愛し、この春兵庫に完成した劇団の新拠点「江原河畔劇場」のこけら落としを楽しみにしていたという。

 葬儀は29日に近親者のみで執り行われた。後日、青年団の劇場で「劇団葬」を検討しているといい、新型コロナウイルスが落ち着いたタイミングでの開催になるとみられる。

 ◆志賀 廣太郎(しが・こうたろう)1948年8月31日生まれ。東京・世田谷区出身。桐朋学園大学短大で演劇を専攻し、卒業後も助手として残る。ドイツ留学から帰国後の78年から、母校の演劇科で非常勤講師を務め、40代で青年団に入団。主な出演作にフジ系「アンフェア」、NHK「ハゲタカ」、映画「ワンダフルライフ」「幕が上がる」など。

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