• 東京のプラダ青山店 (©ナカサアンドパートナーズ)

プラダ青山店

関東地方 | 東京都港区

最先端の建築美を誇る港区を最も象徴する作品、それは現代スイス建築を代表する建築家による店舗です。

建築家を魅了する街

表参道の東側を建築マニアと歩くときは、予め時間に余裕をもってお出かけください!存在感のあるランドマークビルが目に飛び込んだとたんに、建築マニアはしばらく釘づけになってしまうでしょうから!2003年の開店以来、大成功を収めているイタリアのファッション・ハウス、プラダの青山フラッグシップ店は、今では観光客をはじめ、ファッションや高級アイテムに全く関心のない人たちまでを魅了しています。

東京のプラダ青山店 (©ナカサアンドパートナーズ)

この傑作が、実はスイスの建築家たちの手によるものだということはご存知でしたか?プラダ ニューヨーク・エピセンターの開店とほぼ同時期に、同ブランドはヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meuron)の助けを借り、東京での2号店出店に着手しました。同建築ユニットは、日本国内はもとより世界的にもファッションとポップカルチャー最先端を行くこの街に足跡を残すという決意のもと、同作品を手がけました。

透けて見えるファサード

東京のプラダ青山店 (©ナカサアンドパートナーズ)

2000年から2002年にかけて建設された、港区の青山地区に位置するこの6階建単独のプラダ・ビルは、東京で最も個性的な建築の1つです。プロジェクトの説明で同スイス人建築家ユニットが述べているように、このビルのガラス製ファサードはスキン構造を形作っている斜め格子から膨らみをおびて張り出しています。この建築の構造や空間、ファサードは、1つのユニットを形作っており、こうしたアプローチの採用はヘルツォーク&ド・ムーロンにとって初めての試みでした。

東京のプラダ青山店 (©ナカサアンドパートナーズ)

東京のプラダ青山店 (©ナカサアンドパートナーズ)

このファサードは、多孔質な空間構造物として着想されました。いわゆる壁のないビルと言えます。ガラスは外殻のみで、ちょうど瞳の上にコンタクトレンズが載っている状態に似ています。コンタクトレンズ同様に、このビルのガラスのファサードは視覚的な作用を強調してその焦点を定めるためだけに施されています。これにより、どの角度からでもこのビルの内部を見通すことができ、また内部からも市街の特定の景色を見渡すことを可能にしているのです。

東京のプラダ青山店 (©ナカサアンドパートナーズ)

ヘルツォーク&ド・ムーロンについて

ジャック・ヘルツォークとピエール・ド・ムーロンは1978年にバーゼルにヘルツォーク&ド・ムーロンのオフィスを構えました。5人のシニア・パートナー、5人のパートナーをはじめ、44人のアソシエート、そして約450人の共同制作者と共に彼らが手がける作品はヨーロッパ全土、南北アメリカ、そしてアジアにまたがり目にすることができます。

ジャック・ヘルツォーク (左) とピエール・ド・ムーロン (右) (©ヘルツォーク&ド・ムーロン)

ヘルツォーク&ド・ムーロンは小規模の個人住居から大規模な都市デザインに至るまで、実に多岐にわたるプロジェクトを手掛けています。その多くはスタジアム、美術館、コンサートホール、病院など知名度の高い公共施設であり、エルプフィルハーモニー・ハンブルク、北京国家体育場、シャウラガー、バーゼルのローレンツ財団、ロンドンのテート・モダンなどがあります。現在、ヘルツォーク&ド・ムーロンは香港の視覚文化のための新美術館M+、チューリヒの小児病院、エルサレムのイスラエル国立図書館など、世界中で50を超えるプロジェクトに携わっています。

エルプフィルハーモニー・ハンブルク (©Maxim Schulz)

北京国家体育場

バーゼルのシャウラガー (©MünchensteinBasel / Tom Bisig)

ジャック・ヘルツォークとピエール・ド・ムーロンは、建築と都市化への卓越した貢献に対し、2001年のプリツカー賞(米国)、2007年のRIBA ゴールドメダル(英国)、そして同じく2007年の高松宮殿下記念世界文化賞(日本)をはじめ、数多くの賞を受賞しています。