- ご真言とは、マントラ(サンスクリット語)のことを指し「仏の真実の言葉、秘密の言葉」という意味。
- 教経典に由来し、浄土真宗を除く多くの大乗仏教の宗派で用いられる呪術的な語句。
- 仏の言葉を音写したもので、真言を唱えることで効果を享受することができる。
七観音とは
- 七観音(しちかんのん)とは、「観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)[観音様]」が7種に変身した姿のこと。
- 七観音の序列については、元々は観音菩薩が変身した姿なので、七観音そのものに優劣の概念はない。
- 観音菩薩には普門示現(ふもんじげん)という、時と場所に応じて様々な姿に変化する能力がある。
- 法華経では、相手の願いに合わせて33の姿に変身するとされている。
- 「三十三観音」や「三十三間堂」は、この33の姿に由来すると言われている。
七観音に変身する観音菩薩とは
観音菩薩は、一般的には観音様と呼ばれ、「観世音菩薩かんぜおんぼさつ(観自在菩薩かんじざいぼさつとも言う)」の略称。
仏教の数ある菩薩の中の一尊として存在している。
阿弥陀三尊では、中央に阿弥陀如来、左の脇侍として観音菩薩が配されている。※右脇侍は勢至菩薩
日本や中国では女身とも考えられ、美しい観音像も多くあるが、本来の解釈は性別が無いという。
仏様は、性別など小さな概念など持たず超越した存在なのである。
如来と菩薩の違い
仏様には「釈迦如来」「大日如来」などの「如来」と、「観世音菩薩」「勢至菩薩」などの「菩薩」が存在しているが、それぞれどのような違いがあるのだろうか。
如来とは
如来とは「真如しんにょ(宇宙万有にあまねく存在する実体|永久不変の真理)から来た人」つまり悟りを開いた者のことを指す言葉であり、悟りを開いたお釈迦様(ブッダ)のことを指している。
悟りを開いた者は、悟り(真理)の世界と現実の世界を自由に行き来できるとされ、現世で教えを説いてくれる。
菩薩とは
菩薩とは、悟りを求める者の意味があり、如来になる(悟りを開く)ために修行中のお釈迦様がモデルとなっている。
菩薩像は、髪を結いあげ、宝冠や首飾りで装飾した若々しい姿を表現していることが多い。
七観音とご真言
一:聖観音 (しょうかんのん)
【聖観音とは】
一面二臂(いちめんにひ)これは顔が一つで腕が二本のことで、観音さまの本来の姿である。観音さまは様々な変身をすることができるが、変身前の姿がこの聖観音であり、一番人間に近い姿とされている。そのため、1面2臂の観音さまを「聖観音」もしくは「正観音」と呼ばれている。
また、聖観音の時は女身の姿で表現されることが多い。
聖観音の梵字
サ
ご真言/マントラ
おん・あろりきゃ・そわか
見た目の特徴
顔が1つで腕が2本と、人間に近い姿。女性的な姿でもある。
効果・功徳
一切の苦難を消滅除去
苦難除去、現世利益、病気平癒、厄除け、開運、極楽往生などとても幅広いご利益がある。
二:十一面観音 (じゅういちめんかんのん)
【十一面観音とは】
本体の顔以外に10または11 個の顔を持つ観音様。なので、十一面観音と呼ばれている。
頭の上にある顔には、それぞれに意味を持っている。
また、顔が11個もあることから、あらゆる人に目を向け、願いを叶えると言われている。
現世にて10種の利益をもたらし、来世で4種の果報をもたらすと言われている。
十一面観音の梵字
キャ
ご真言/マントラ
おん・ろけい・じんばら・
きりく・そわか
おん・まか・きゃろにきゃ・
そわか
見た目の特徴
本体の顔以外に10または11 個の顔を持っている。
効果・功徳
福を授かり、無病息災
様々な災難、病気治癒、財福授与、勝利を得るなどの現世利益があり、延命、地獄に落ちない、極楽浄土に行けるなどのご利益があるとされている。
三:千手観音 (せんじゅかんのん)
【千手観音とは】
十一面観音にさらに千個の手(無限の手)が増え、より多くの人々を救うことが出来る。また、手には目がついており、より多くの物事が見通せるようになった。よって、千手千眼観音せんじゅせんがんかんのんとも呼ばれている。
正面の左右の二手が「合掌」をしているのが千手観音である。
千手観音の梵字
キリーク
ご真言/マントラ
おん・ばざら・たらま・きりく (そわか)
見た目の特徴
十一面観音+千個の手。さらに二手で合掌している。
効果・功徳
諸願成就・産生平穏(健康維持)
苦難除去、現世利益、病気平癒、厄除け、開運、極楽往生などとても幅広いご利益がある。
四:如意輪観音 (にょいりんかんのん)
【如意輪観音とは】
首をかしげ、片膝をたてて座わり、腕が6本あるのが一般的。
如意輪観音は、左手に法輪を持ち、悩みを打ち砕き、右手には如意宝珠を持ち、願いを叶えてくれる。
如意の「如」と法輪の「輪」を合わせて「如意輪観音」と呼ばれている。
如意輪観音の梵字
キリーク
ご真言/マントラ
おん・ばらだ・はんどめい・うん
見た目の特徴
首をかしげ、片膝をたてて座わり、腕が6本ある
効果・功徳
富貴資材・福徳・知能皆成就
智慧、財福、福徳授与、安産、延命のご利益があるとされている。
五:馬頭観音 (ばとうかんのん)
【馬頭観音とは】
頭の上に馬の頭があり、他の観音様とは違い、怒った顔をしている。
また、人差し指と薬指を曲げて合掌しているのも特徴的である。
馬になぞらい、草を食べるように怒った顔で煩悩を食い尽くしてくれる観音様。
馬頭観音の梵字
ウーン
ご真言/マントラ
おん・あみりとう・どはんば・
うん・はった・そわか
見た目の特徴
頭の上に馬の頭がある。
あまり見ることは無いのでレア度MAX
効果・功徳
六道能化(六道|地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天界・極楽浄土の六つの世界)の畜生(人間以外の生き物全て)を救済
無病息災、動物救済、厄除け、旅行安全のご利益があるとされている。
六:准胝観音 (じゅんていかんのん)
【准胝観音とは】
准低とは清浄を意味し、女性名詞であり女尊として表現される。また、多くの仏を生み出したとされ、仏の母と言われている。
※天台宗系では観音ではなく仏母とされている。
一見千手観音と見間違えそうだが、准胝観音は正面の左右の二手が「説法印」を結んでいるのが特徴的である。
准胝観音の梵字
ボ
ご真言/マントラ
おん・しゃれい・しゅれい・
そんでい・そわか
見た目の特徴
千手観音と似ているが、准胝観音は正面左右の二手が「説法印」を結んでいる。
効果・功徳
除災・延命・求児・病気平癒
修道者守護、無病息災、延命のご利益があり、安産や子供が授かるなどの功徳がある。
七:不空羂索観音 (ふくうけんさくかんのん)※天台宗
【不空羂索観音とは】
「羂索」は網と糸を意味し、「不空」は失敗しない(釣りで魚が釣れなくてバケツが空っぽになることは無い)という意味。つまり、生死の苦しみの海で彷徨っている命ある全てのものを確実に捕まえ、失敗することなくすべてすくい上げて救済してくれる観音様である。
手に縄(羂索)を持ち、手は8本あるのが一般的。
不空羂索観音の梵字
モウ
ご真言/マントラ
おん・はんどま・だら・あぼきゃ・
しゃてい・そろそろ・そわか
見た目の特徴
手に縄(羂索)を持ち、手が8本ある。こちらもレア度MAX。
見つけ次第写真を更新したい。
効果・功徳
四摂法(ししょうぼう)[分かち合い、心がこもった言葉で、人のためになることをし、相手の立場に立って行う]で衆生(しゅじょう)を教え導く。
健康長寿、病気治癒、財福授与、美しくなる、罪障消滅、極楽浄土に行けるなどのご利益があるとされている。
ご真言のご利益と効果のまとめ
観世音菩薩は、とにかく人々を救おうとしてくれるありがたい仏様。
あまりにも熱心すぎて、人々の苦しみや悩みに合わせて33もの姿に変身してまで救いの道筋を示してくれるのだ。
今回は、その中でも七観音と言われる仏様たちを取り上げてみた。
一体ずつに、それぞれ深い意味が込められており、それらに触れるだけでも面白い。
これを機会に、自分自身にぴったりと合う仏様を探してみるのも良いのではないだろうか。