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コロナ禍で伝統回帰と思いきや、クリスマスプレゼントの人気商品は不変だった

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クリスマスプレゼントを渡すサンタクロースに扮した男性=ロイター(写真はイメージ)

"Tech Beats Toys for Holidays Despite Covid Screen Fatigue"

「コロナでスクリーン疲れ、それでもホリデーギフトにはおもちゃよりハイテク機器が人気」

12月1日付 ウォールストリート・ジャーナル紙

 

アメリカでは年末によくみる光景がある。すなわち、子どもたちがサンタクロースからどんなプレゼントが欲しいのか言ったり、サンタクロースをもう信じていない子どもが直接親に望みを伝えたりするシーンだ。伝統的に子どもが欲しがるのはおもちゃだが、今年の人気リストの内容はゲーム機や携帯電話などのハイテクデバイスが大半を占めているそうだ。この数年間で起こりつつあった変化ではあるが、今年は著しく現れている。

今年の春、コロナによるパンデミックが始まったばかりの頃は、そのトレンドにbuck(逆らう)のではないかと思われた。外出を自粛している家族が一緒に楽しめるパズルやボードゲームが一時的に流行した。また、親が子どもを液晶画面からpry off(引きはがそう)としていたので、バービー人形の売り上げもspike(急上昇)した。3月に学校が休校となった後も、おもちゃ全般や自転車の売り上げが増加した。

にもかかわらず、クリスマスや年末の季節が近づくと、液晶画面がついたデバイスやソフトウェアの売り上げが増加した。学校がオンライン授業のため一日中液晶画面を見続けて飽きてしまっているのではないかと思うが、そうではないようだ。

小さい子どもでもスクリーンがついているものを欲しがっているという状況に、親はジレンマを抱いているようだ。コロナ禍でなければ、より液晶画面に頼らない生活ができたはずだと思ってしまうからである。しかし、今年は例年より何かと我慢の多い年だったため、なるべく子どもの望みをかなえてあげたいと感じているそうだ。そのため結局、子どもの望みにgive in(応じる)人が多い。

人気のおもちゃを作っているレゴ社にとっても、デジタルデバイスを通じてファンの関心をengage(引く)必要があるという危機感はpalpable(明白)であると、同社のマーケティング担当者は語る。現在、「relevant(今日の世界にふさわしい)ものになるために、物理的な体験とデジタルの体験の両方を提供しなければならない」と言う。

また、親が買いたがるプレゼントと子どもが望んでいるプレゼントの間にあるdisconnect(ずれ)も大きい。子どもの欲しいものランキングにあまり入らないものが、実はホリディーギフトとして売り上げが一番高いそうだ。記事でインタビューされた親の1人は、子どもはアバターをレベルアップするためのゲーム内コインを欲しがっているが、corn hole(とうもろこしが入っている袋を穴に投げるゲーム)のように家族みんなで一緒に楽しめる液晶画面のない娯楽ゲームを買う予定だそうだ。「決して諦めません」と言っている。同じように液晶画面の支配に抵抗しようとする親は少なくないが、この時代の流れに逆らいきれるかは疑問である。