勝間和代さんインタビュー

あの人に聞く! クルマ&バイクライフ 「バイクもクルマも自転車もバスも地下鉄も、同じくらい愛してます」 勝間和代さんインタビュー

経済評論家という肩書にとどまらない活動を続けている勝間和代さん。クルマやバイクとの付き合い方にもこだわりが強く、積極的に発信している。だからこそ選び方や使い方には彼女らしい、論理的で明確な条件があった。

計9台の愛車はロジカルに乗りわける

 東京都内と千葉県・茂原に自宅を持つ、経済評論家の勝間和代さん。現在、クルマを2台、バイクを3台、自転車4台を所有しており、その日の移動手段にどれを選ぶかは、非常にロジカルな視点で決めている。

「まず目的地に駐輪場・駐車場があるかと、そこまでの距離を踏まえて、いちばん最適な乗り物は何かを、地下鉄やバスなどの公共移動機関も含めて考えます。その日のシチュエーションに、最もふさわしい乗り物を選ぶイメージですね。あと、雨の日は危ないから、バイクと自転車は基本的に乗りません。私は目的地まで自由に行ける乗り物は全部好きなんですよ。だからバイクもクルマも自転車もバスも地下鉄も、同じくらい愛してますね」

 車種による乗り分けをどう決めるかにも、勝間さん流の明確な基準が現れている。

「クルマはEVとガソリン車なので、遠出の時はガソリン車一択、短距離はEVですね。バイクは1000cc、650cc、250ccの3台なので、高速道路と一般道を走る距離のバランスで決めます。私はよくバイクでゴルフに行くのですが、高速道路がメインでインターを降りたらすぐゴルフ場、なんて場合は1000ccで行っちゃいますし、狭い道を縫うように走るようなルートのときは250cc。その間を取るようなときは650cc、という選び方でしょうか。自分が安全に快適に移動する方法はどれがいちばん的確な車種か、というところで考えていますね」

以前はくまもんバージョンの旧モンキーを所有していたこともあり、コンパクトなミニバイクも好みのジャンル。
「ハンターカブが欲しいのですが、125の中ではちょっと大きいので悩み中です」

購入する車種選びでの明確なポイント

 クルマは18歳から慣れ親しんできたが、二輪免許を取得したのは40代になってから。バイク好きの友人に誘われてはいたものの、リスクを考え、長らく躊躇していたと語る。しかし「どうせ乗るなら体の動くうちに」と一念発起。一気に大型二輪免許まで取得してからは、持ち前の探究心で車両の構造から勉強し、複数のライディングスクールに通うほどバイクの魅力にはまった。その後、数年間乗らない時期もあったが、昨年からライダーに復帰。リターンライダーとして最初に選んだバイクは、Hondaのレブル500だった。

 「ウインカーキャンセルの仕方からクラッチ操作まで、何もかも忘れていましたから、いきなり足が着かないバイクは厳しいよね、ということで、足着きの良いレブルにしたんです。1100も欲しかったのですが、バイクのリハビリには500がちょうどいいかな、と。おかげで、1カ月くらいでバイクの感覚をすっかり思い出しました」

レブルと
昨年リターンライダーとなった時に「バイクのリハビリにぴったり」だと選んだのがレブル500。
小柄な女性でも安心の足着きと扱いやすさで、大型バイクに乗る感覚をすぐに思い出せたとか。

 バイクとクルマのどちらも所有して楽しむことを、“6輪生活”と呼ぶ人もいるが、勝間さんの場合は、そこに自転車も加わった“8輪生活”だ。

 「バイクは自分が行きたい場所まで、ふーっと心地よく走る時間が好きですね。クルマの好きなところは、やはり安全性と荷物の運びやすさ。それに、友達同士でわいわい移動する手段としても好きです。どちらも乗るメリットは、お互いの気持ちがわかるので事故防止になること。やはりバイクしか乗らない人にドライバーの気持ちはわかりにくいですし、クルマしか乗らない人にはライダーの気持ちがわかりにくいですから。私は自転車も大好きなので、自転車に乗る人の気持ちもわかりますよ(笑)」

 『勝間式 超ロジカル家事』なる著書を持ち、家電選びにはかなりのこだわりがもある。大人気の無料メールマガジンやSNSのマニアックな愛用ガジェット評論に定評がある勝間さんだけに、バイクやクルマ選びにも独自の哲学がある。どちらも重視するのは「安全性と見た目のバランス」。ただし、バイクの方が趣味性が高い分、走る時の“楽しさ”や、自身の小柄な体格でも扱えるかどうかが、評価軸にプラスされるそうだ。

 「乗り物は移動時間を共にするものですし、何より自分の命を預けるもの。たとえば生活の中でいちばん時間を共にするスマホでも、デザインがすごく大事じゃないですか。クルマもバイクも同じで、乗り心地はもちろん、見た目も大切です。そして自分の望むストレスフリーな移動をいかに完成させてくれるか、という観点で選ぶことが重要になると思います」

自分にとっての快適性のためにはトコトン試す

 楽しく乗り続けるためには“快適性”も重要なポイント。最も快適な状態を探るための手間と努力を惜しまないのも、勝間さんならではだろう。

 「バイクでゴルフに行く場合、ゴルフバックと靴、着替えも含めた服を入れるのに最適なトップケースはどれか、あらゆるサイズを試した中で、いま付けているワンプッシュ開閉式の42Lサイズに落ちきました。バイク用のブーツもお気に入りにたどり着くために、愛用ブランドの全ラインナップとソールの厚みを試していますし、外置きしているクルマのカバーもすでに2回買い替えていて、いまが3代目。いかに着け外しの時間を短縮できるか、いろいろ改造しながら試行錯誤して、最近ようやく納得のいく結果になってきたところです。
 人間って、不快感を感じるありとあらゆるものを自分から遠ざけようとするんですよ。だから私は乗り続けるためにも、快適性を徹底して追求します。少しでも不快感や不安を感じるのは嫌なので、クルマは車内清掃もちゃんとして、ピカピカな状態をキープしていますね」

所有かレンタルかは自分の価値観で考える

 安全性と快適性への探究心と、乗り物全般への好奇心には圧倒されてしまうほど。しかし世間では、クルマやバイクを楽しく乗り続けることと、経済面のちょうど良いバランスに悩む人も少なくない。そこで経済評論家の観点から、無理なく安全な乗り物ライフを続けるポイントを挙げてもらった。

 「お金の負担をいかに減らすかが課題です。まず、車両をローンで買うのは金利も高いし、売りたくなった時に売れなくなってしまうのでおすすめしないです。あとは、バイクは週に1回、クルマは週に3回以上乗るかどうかが分岐点だと考えています。それより乗る回数が少ない場合、トータルでかかる金額がカーシェアやレンタルバイクの方が安いんですよ。
 乗り物を所有すると、日常的なメンテナンスが必要になる。定期点検や保険のコストも含めて、それでも所有したいかが購入の判断になります。その観点ですと、私のバイクは1台減らしてもいいのだけど、乗れる限りはリッターバイクに乗ることが自分へのチャレンジ、みたいな気持ちもあって、今は手放せないんです」

安全への投資は惜しまない。
なぜなら……

 ただし危険な目に遭ったら絶対に降りると決めています、と続けた勝間さん。安全に乗り続けるために、普段から常に心がけていることがあるそうだ。

 「私にはポリシーがありまして、クルマは少しでもぶつかりそうな時は全部切り返す。バイクは無理にUターンせず、すぐに降りて押し引きする、と決めてます。そこで多少時間をロスしたとしても、本当にぶつけてしまった時の保険のやり取りに費やす時間とか、心や精神へのダメージを考えたら、安全のためにする事前作業はタダ。クルマの切り返しも、バイクを降りるのも、回り道するのもタダですから(笑)。
 もちろんそれを実行するには、日頃から時間と心に余裕を持った行動が大切です。今日の取材も、集合時間の20分前に着いちゃいましたけど、クルマやバイクで移動する時は、だいたい30分前には到着するようにしています。早めに着いて、近くのカフェやコンビニのイートインでボーッと過ごして、落ち着いてから目的地に行くんです。逆に時間に追われてる時は、絶対に自分では運転しません。電車やバスといった公共交通機関を使いますね」

 充分な車間距離を取ることや、無理にスピードを出さない理由も、「交通取締りの対象にならないように気を使うと、安全性がおろそかになるから」という合理的な判断によるもの。最新モデルへの買い替えに積極的な理由も、より安全性の高い車種に乗りたいという願望からだ。

 「ちょっとした失敗によるケガひとつでも、そこには結構なお金がかかる。仕事ができなくなればその期間の収入源が絶たれますし、治療費だってありますからね。だったら安全のために、車両以上のお金を使っても私は構わないと思っているんです。安全に乗り続けるためなら、ありとあらゆる手段を尽くす。だって命の価値は無限大なのですから」

X-ADVと
先進技術を試したい気持ちが強く、現在のHonda二輪ラインナップではDCT搭載モデルが気になると語る。
「60代後半になったら握力が低下してくると思うので、DCTに乗りたいんです」
勝間和代さん
勝間和代さん
1968年生まれ。東京都出身。経済評論家。
株式会社監査と分析取締役、国土交通省社会資本整備審議会委員、中央大学ビジネススクール客員教授としても活躍中。少子化問題、若者の雇用問題、ワークライフバランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野について、SNSやブログで精力的に発信を行っている。その中でクルマやバイクについても、独自の視点で選び方やインプレッションなどを展開している。
Honda Dream 府中
取材協力店 Honda Dream 府中
国道20号線に面したお店には試乗車も多数用意。またライディングポジションの確認やサウンドチェックもできる展示車両も豊富に揃っています。

東京都府中市緑町2-11-1
電話 042-335-9111
営業時間 10:00〜18:00
定休日 毎週火・水曜日、最終水曜日は営業

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