「死神博士」天本英世の仰天人生…東大中退の「怪優」は、なぜ公園で寝泊まりしていたのか

学徒出陣で上官に殴られ続けた

『仮面ライダー』('71年~)の死神博士役で強烈なインパクトを残した天本英世が、俳優を目指したきっかけは虚無感だった。

人生を捨てたつもりで、まさに乞食になるのと同じで俳優になった

自著でこう明かす天本は'25年、北九州の裕福な家庭に生まれる。

若かりし頃の天本英世

旧制七高に入ると、'45年に学徒出陣を強いられた。終戦を迎えるまで苦役に従事し、暑さで倒れると上官から水をかけられ、木刀で叩かれる日々。

学徒出陣のために徴兵された天本(写真中央)

自身で「完璧な劣等兵」と振り返るこの経験が、生涯を貫く反骨精神につながった。

 

七高を卒業して東大法学部に進学するも、生きる目標が見つからなかった。11歳年上の美女との失恋も相まって、数ヵ月通っただけで中退。

役者になると決意する。

いきなり『怪人』そのものに変わった

様々なツテをたどり、28歳で初舞台を踏むと、木下惠介監督に気に入られた。

二枚目俳優として売り出された天本は、『二十四の瞳』('54年)で高峰秀子の夫役に抜擢される。

'58年に東宝専属俳優となると、悪役を多く演じた

だがここではセリフをうまく覚えられず、大失敗に終わったという。

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