大山倍達はいかにして猛牛に勝ったのか…アメリカ人も熱狂した、ヤバすぎる「最強伝説」

週刊現代 プロフィール

もう一つの代名詞「ビール瓶斬り」

もう一つ「大山伝説」として名高いのが、空手チョップでビール瓶を横から割る「ビール瓶斬り」だ。この技をイベントなどで、実際に目撃したと証言する人も少なくない。

「ビール瓶斬り」は、'52(昭和27)年に大山が初めてアメリカでプロレス興行に加わることが決まった際、師匠の曹寧柱が伝授したものだった。

アメリカで「東洋の敗戦国から来た悪役レスラー」と蔑まれたら、見せつけてやるためだった。実際、この技はアメリカ人を熱狂させ、大山に多くの収入をもたらした。

この時、大山は「硬貨曲げ」も授かった。親指、人差し指、中指の力だけで、硬貨を曲げてしまう技だ。最も曲げやすい5円玉から始め、10円玉も曲げられるようになった。アメリカでは25セント硬貨で実演し、驚嘆された。

 

他にも、世界初の「レンガ二段割り」、正拳突きによる「ローソク消し」など、数々の「大山伝説」が残されている。

大山が興した極真空手が、他の空手流派と決定的に異なったのは、常に「実戦空手」を貫き通した点だった。別名「ケンカ空手」とも言われる真剣勝負だ。

日々の稽古でも、正拳中段突き、上段突き、裏拳顔面打ち、左右打ち、脾臓打ち、廻し打ち……とひと通りの型を練習した後、弟子同士で真剣勝負させた。

戦後日本で主流となった「寸止め空手」は、昨年の東京オリンピックで追加種目となったが、大山は「ラジオ体操空手」と揶揄した。あくまでも真剣勝負にこだわることで、世界140ヵ国に1200万人もの会員を誇る「極真帝国」を築き上げたのだった。

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