横溝正史が70歳を超えて「国民的探偵作家」となった理由

仕掛けられた「横溝ブーム」
週刊現代 プロフィール

物語作りの天才

こうして横溝作品を計89冊も角川文庫に収め、'81(昭和56)年に横溝本人が逝去するまで、計5500万冊も販売。同時に、次々と映画やドラマ化していき、ブームに拍車をかけた。

 

直筆原稿などを所蔵し、横溝研究の第一人者として知られる二松学舎大学の山口直孝教授が解説する。

「ストーリーテラーを自認していた横溝は、物語作りの天才でした。よく練られた話は、予想できない展開の連続であり、伏線の張り方も見事です。

同時に横溝の小説には、時代を映す鏡という一面もあります。往時の社会や文化のありようを知ることができ、再読するたびに新たな発見があるのです」

関連記事