日本に大雪をもたらす「北朝鮮の聖地・白頭山」その知られざるメカニズム

1100年ぶりの大噴火も迫っている

白頭山で遭遇した大雪

かつて北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は、12月~翌年2月までは外国人観光客を入れなかった。だが2013年12月31日に元山(ウォンサン)近くに「馬息嶺(マシンリョン)スキー場」がオープンすると、外国からスキー客を呼び込むために真冬でも入国するのが容易になった。

馬息嶺スキー場で練習をする子どもたち(2018年2月25日撮影)

私は北朝鮮取材で、交通事故に3回遭っている。そのこともあり、真冬には行かないようにしていた。溝がすり減ったタイヤを履いた車で、アイスバーンを走るのが怖かったからだ。しかし43回も北朝鮮取材をしていると、真冬でも行かざるを得なかったことが何度かある。

その数少ない真冬取材では、一時的に雪に降られることはあっても大雪に遭遇したことはなかった。唯一の例外は、春に白頭山(ペクトゥサン)ヘ行った時だ。

白頭山の山頂へ向かうバス(2017年8月14日撮影)

白頭山(中国名:長白山)は、北朝鮮と中国との国境にそびえる標高2744メートルの活火山。東西に約200キロメートル、南北に310キロメートルというなだらかで雄大な山だ。山麓の原生林を抜けて森林限界へ出てからも、歩くことなく車で山頂まで登ることができてしまう。

 

朝鮮半島で最高峰のこの山は、朝鮮民族にとっての「聖地」であり、北朝鮮では「革命の聖山」となっている。2018年9月には、南北首脳会談のために訪朝した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、金正恩(キム・ジョンウン)総書記と共に山頂に立った。

白頭山と山麓の高山植物(2002年8月18日撮影)

山麓には針葉樹のすばらしい原生林が延々と広がり、夏には高山植物が一面に咲き乱れる。北朝鮮はこの白頭山を、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の「世界自然遺産」へ登録することを目指している。

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