スコブームの背景にある
猫の「痛み」と「現実」

そして、もうひとつは、メレディスちゃんとオリビアちゃんの品種「スコティッシュフォールド」に対する問題だ。以前、youtuberのヒカキンさんがスコティッシュフォールドの猫と暮らし始め、「スコと暮らしたい」「私もスコを飼いたい」というコメントがトレンドになったときに、スコティッシュフォールドという猫の現実を特別非営利活動法人ランコントレ・ミグノン代表の友森玲子さんに記事を執筆いただき、話題になった。
スコティッシュフォールドに実際どんな苦しみがあるのかの詳しくは、友森さんの記事をぜひとも読んでいただければと思う。簡単にいうと、人間に生み出された奇形で、痛みを抱えて生きる猫種といえるのだ。

オリビア・ベンソンちゃんの写真はよくこういう「スコ座り」の写真が多い。しかし実はこれはスコティッシュ・ホールドならではの「痛み」を抱えているのが原因なのだ @taylorswift公式インスタグラムより

2年前に記事になったときも「スコにそんな苦しみがあるなんて知らなかった」という声がとても多かったが、2020年4月にアニコム損害保険株式会社が発表した猫の品種ランキングTOP20でも、スコティッシュフォールドは2位の人気だ。まだまだ猫たちの苦しみを知らず、人気は継続しペットショップなどで求める人も後を絶たないという。

このスコ人気は、アメリカと日本がもっとも市場が高いと言われていて、アメリカのブームの一端に、テイラーの猫たちの人気もあるのでは、と指摘する声もあるのだ。イギリス獣医協会(BVA)は、スコティッシュフォールドの深刻な現状を積極的に伝え、スコットランド動物虐待防止協会(SSPCA)も自治政府にスコティッシュフォールドの繁殖を禁止するよう求めているという。イギリスの報道では、日本とアメリカのスコ人気を批判しているものもある

 

テイラーの愛する猫たちから、学びたい

さらに、テイラーは昨年、2019年に新たに「ベンジャミン・バトン」というミックス猫(見た目の感じだとラグドールという種類のミックスと予想)を向かい入れた。もうこれ以上猫は飼わないと宣言していた彼女だが、「Me!」のMV撮影で、ベンジャミンと出会い一目惚れだったという。今までの猫とは違って、ベンジャミンは里親プログラムに登録されていた猫。日本とはちょっとシステムは違うが、いわゆる保護猫を選択したテイラー。現在は、3匹に惜しみなく愛情を注いでいるのだという。

もちろん、スコティッシュフォールドも保護猫も猫には変わりない。現在、スコティッシュフォールドを飼育されている方の多くは愛情を持って飼育されている方が多いと思う。テイラーもヒカキンさんもめちゃくちゃ愛情を持って飼育しているのが画像から伝わってくる。ほとんどの方は、愛する猫に障害が出ても懸命にケアをされるに違いない※1

※1:折れ耳同士の交配だと軟骨異常など骨や骨格、耳などにトラブルが出るケースが多い。
オリビアちゃんが足を投げ出す姿が良く見えるのが気になる…@taylorswift公式インスタグラムより

しかし、怖いのはまったく知識なく、「かわいいから」「ブームだから」「有名人が飼っているから」と入手してしまうことだ。かわいらしい折れ耳もおじさんのような座り方も、奇形からくるものだとしたら……。単に「かわいい!」だけでいいのか、人間のエゴになっていないか、こういった事実があることを知ることも重要だと思うのだ。

テイラーの愛する猫たちの写真からそんな現実をちょっと考えてみてもらえたらと思うのだ。

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