2023.05.23
# 日本株

トヨタ、ホンダ、日産の「決算説明会」を投資家視点で格付けすると…気になる「採点結果」

三ツ谷 誠 プロフィール

決算説明会という「お披露目の場」

その意味ではトヨタの決算説明会については新経営陣のまた1つのお披露目の場でもある、という意識が十分に感じられた。

佐藤社長も冒頭、ダイハツの不正問題に対する説明から始めるという広報的に意義深い進行から、「クルマの価値の拡張」「モビリティの拡張」「社会システム化」というプレゼン、その後に決算説明、という一歩踏み込んだ説明を行っていた。

要職者がずらりと並んだトヨタの決算発表会:トヨタ自動車株式会社ニュースルームより
 

今後、問われるのは、具体性であったり、クルマの付加価値が次の世界では変わっていく、それを新しい競合相手に対しトヨタとしてどう利益を確保していくのか、そうしたことを夢見させる要素だろう(だからこそ会社としてのメッセージを伝えるトヨタイムズなのだ、という回答が返ってくるだろうが)。

具体性という意味では質疑応答の中で、筆者の要約・理解にはなるが、EV車について生産ラインの構成そのものを内燃機関の自動車とは別の思想で考えている、短縮化させる、ミライの工場を構想している、といった回答があったが、投資家の視点からすればこのような回答は示唆的なものだ。

また、当日「クルマ屋ならではの次世代BEV」の開発と加速化を担う専任組織BEVファクトリーの新設が発表されていたが、説明会に例えばファクトリーのプレジデントとなった加藤氏を招いてプレゼンさせる、などあっても良かったのではないか、とも感じた。

日産もまたビジュアル的にも内容的にも単純な決算説明だけではないプレゼンを行っていた。ただ、具体的な取り組みなどについては内田社長から、秋に発表する新中計で、それらを説明する、といった回答がなされていた。先延ばしといった感じではあるが、経営トップから秋に向けて期待を高める説明があったのは好印象につながる。

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