「光の画家」モネ
印象派の代表的な画家であるモネは、時間と共に変化する光を追い求め、「光の画家」とも呼ばれる。自然の光や空気を表現するためにアトリエではなく、戸外での製作を中心とし、その瞬間を描くために、緻密な正確さよりも素早く感覚的なタッチで描いた。
結果としてそれは自由で柔軟なタッチにつながった。また、そのスピードの要請からパレットで混色せず、直接キャンバスに色を並べていく「筆触分割」の手法を編み出した。
同時代の印象派の画家、ルノワールが人物、特に女性や子供を描いたのに比べると、モネは人物も風景の一部としてとらえていたようだ。移ろいゆく自然の、その光の一瞬一瞬の変化をとらえる感覚は、自然を鑑賞し、描き、歌ってきた日本人の感覚に合っているのかもしれない。
「睡蓮」は何枚も描かれていた?
モネは1883年からパリ郊外に移住した。家を建て、色とりどりの花が咲く「花の庭」をつくり、「水の庭」には睡蓮を植え、日本風の太鼓橋を架けた。
この庭を見ながら、モネは晩年までの約30年間をかけて、睡蓮をモチーフに約250枚もの作品を描いた。晩年に制作した「大装飾画」の連作は、なんと22枚のパネルからなる8点の作品で、横につなげると91mにもなった。
この連作は、現在はパリのオランジェリー美術館に所蔵されている。
◇
「フロイト」→「ユング」→「錬金術」→「ニュートン」→「ゲーテ」→「モネ」の大ジャンプはいかがでしたか? 次回は「腸内細菌」→「免疫細胞」→「mRNAワクチン」→「サーペントマウンド」→「ネイティブ・アメリカンのイシ」というつながりをご紹介します。後半の大ジャンプにご注目ください!
200枚以上の写真、図版と300以上の問いから構成され、視覚とテキストの両面からアプローチできる、新しいスタイルの図鑑です。
美術、文学、歴史、人類学、科学、21世紀の最新情報まで、様々なジャンルを縦横無尽に横断! すべてのトピックが相互につながりを持ちます。齋藤孝氏が提案する「新時代の教養」!