100歳になる義母に言われたこと

そうこともなげにそう語る夏木さんだが、彼女の口をついて出てくる言葉の節々から、体力とメンタルのタフさが垣間見られる。たとえば、コロナ禍でのステイホーム中、「ちょっと人前に出られないくらい増量してしまったんです」と照れ臭そうに話すが、夏木さんは、ここで一念発起する。

 

「週3回、ジムに通って、パーソナルトレーナーについてボディメイクしました。年齢は単なる記号だと本気で思ってはいるけれど、年を取るのは悲しいことでもあるのは事実ね(笑)。体力も確実に落ちています」

しかし、体力は落ちても、やらなければいけないことは、年々、増えていると夏木さんは朗らかに語る。

「毎朝、起きるたびに、『しんどいなあ』と思うんです。でもそんな時こそ、あえて『ありがたい』と言葉に出すようにしているの。今年100歳になる、京都に住む義理の母はとても元気で、しっかりしていているんです。私が『昨日、なに食べたっけ?』と言うと、『あんた覚えてへんの? しっかりしいや』とペラペラと食べたものを挙げていくの。私が『疲れた~』なんて弱音を吐いていると、その尊敬する義母にお説教されてしまうんですよ(笑)。『あんたその年で仕事がいただけるのはありがたいと思いや』って」

撮影/篠塚ようこ

そんな義母の影響もあり、今では、「どんなに疲れてへろへろでも、『ありがたい』と言うようにしています。『ありがたい』と言いながら、笑ってお風呂に入って、自分を騙すんです。でも不思議ね、『ありがたい、ありがたい』と言っていると、自然に元気が出てくるんです。言霊ってあるのね」。

実際、還暦を過ぎてから仕事の依頼は増えているそうだ。

「ちょっと元気なおばあちゃん役や癖のある老婆の役は私のところに来るんです(笑)。それに、私、面白そうなものは、ぜんぶ(依頼を)受けてしまうの」