2023.04.21

訪問先で「コーヒー」が出されることに違和感…コーヒーが「お茶」として出されるようになった意外な背景

阿古 真理 プロフィール

再びおしゃれアイテムになったのは、スターバックスが1996年に日本へ上陸してから。「ラブコメの女王」と言われたメグ・ライアンとトム・ハンクスの名コンビの恋愛模様を描いた1998年の『ユー・ガット・メール』、2006年の『プラダを着た悪魔』など、ハリウッドの人気映画の主人公たちが、スタバのコーヒーを飲む場面がくり返し描かれ、ますますおしゃれイメージが強まった。

『ユー・ガット・メール』は書店、『プラダを着た悪魔』はファッション誌編集部が舞台で、やはりコーヒーは文化と結びついている。2000年代はスタバのあるなしで、町の文化度を測る人々も多かった。スタバは、コーヒー豆も販売する。同じ時代にチェーン展開が広がったカルディーコーヒーファームも、コーヒーが看板商品である。平成は、レギュラーコーヒーを家で気軽に飲めるようになった時代なのだ。

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そして2015年、日本の喫茶店のこだわりコーヒーの文化を採り入れたブルーボトルコーヒーが上陸し、サード・ウェーブと呼ばれるブームが広がっていく。コーヒーは気軽に手に入る飲料になったし、おしゃれアイテムにもなったのである。

ざっと日本のコーヒー発展史だけを紹介したが、世界に視野を広げればダークサイドを含めた経済と政治、文化が三つ巴になったドラマチックな歴史もある。そうした歴史のロマンを背負っていることも、コーヒーを魅力的にしているのだろう。

二つ目の理由は、くり返されるブームの中で、産地や焙煎の仕方、淹れ方などで味や香りが大きく変わる奥深さに目覚めた人が多くなったから。スタバやカルディーコーヒーファームその他、郊外の中核駅周辺には必ずといっていいほど、何らかのこだわりコーヒーが手に入る店が存在する。

首都圏には、1999年から展開するコーヒー豆専門店「やなか珈琲店」もある。もちろんドトールでもコーヒーを買えるし、スーパーでもさまざまなブランドのコーヒーが並ぶ。こうした「おいしさ」を売りにするコーヒーの入手しやすさも、流行の要因となっている。

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