願うことは「ただただ、いい作品になればいい」

坂口健太郎との共演は2度目で、2019年に放送されたドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』以来となる。久しぶりに対面して進化を感じたと語る。

『サイド バイ サイド 隣にいる人』4月14日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか 全国ロードショー 配給:ハピネットファントム・スタジオ ©2023『サイド バイ サイド』製作委員会

「若くてやわらかい印象があったので、私が恋人を演じることで違和感が生まれないか少し心配だったのですが、今回久しぶりにお会いして驚きました。なに目線なのかわからないのですが……(笑)、『大人になってる!』と思って。彼が歩んできた道のりが佇まいに刻まれているような気がしました。

以前から感じていましたが、坂口くんは作品にも役にも大きな愛情を注ぐ方で、今回もそうやって未山と、作品と向き合っているのを感じて、その中にいる安心感がありました。劇中で詩織が濡れた手を未山のパーカーで拭くシーンがあって、それは2人の関係性が見えるようにと私が衝動的にしてみたくなったことなのですが、坂口くんは快く当たり前のように受け入れてくれました(笑)」

ひと回り年下の坂口健太郎と並んでも、何の違和感もなく思い合っている恋人に見える。かと思えば、他の作品ではひと回りの歳上の俳優の妻を自然に演じる。それこそ市川実日子が主人公の隣にいると「絶対的な安心感」を覚える人も多いはず。どんなジャンルの作品でも理想の相方を体現できるからこそ、名立たる監督から指名が絶えないのだろう。

撮影/山本倫子
 

「毎回、私はただただ『いい作品になればいいな』と思っているだけなんです。俳優としての譲れない信念みたいなものは持ってません(笑)。作品によって監督やスタッフの方と少し距離を取ることもあるし、今回のように散歩したくなって休憩中にいなくなることもあるし、いい作品になるために自分のできることをただ探しているだけです。『演技がしたい!』みたいなエゴはないけど、『ここにある消えてしまいそうな何かを伝えたい』というエゴはあるかもしれません。それを受け入れてもらえて、次のオファーをいただけているのだとしたら嬉しいですね」

■市川実日子プロフィール
1978年6月13日生まれ。東京都出身。10代の頃より女性ファッション誌を中心に、モデルとして活躍。2000年映画『タイムレスメロディ』で長編映画デビュー。2003年には主演映画『blue』で、第24回モスクワ国際映画祭最優秀女優賞を受賞。さらに2016年には映画『シン・ゴジラ』で毎日映画コンクール女優助演賞、第40回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。現在公開中の映画『シン・仮面ライダー』には緑川イチローの母親役で出演。

■インフォメーション
映画『サイド バイ サイド 隣にいる人

坂口健太郎が演じる未山が、そこに存在しない「誰かの想い」を見ることができるという不思議な能力で人々を癒しながら、自分自身の過去と向き合う姿を描く作品。未山の元恋人・莉子を「乃木坂46」卒業後初の映画作品となる齋藤飛鳥、現在の恋人・詩織を市川実日子、未山の前に突然現れる謎の男・草鹿を浅香航大が演じる。行定勲が企画・プロデュースを手がけ、「世界の中心で、愛をさけぶ」などの脚本家・伊藤ちひろがオリジナル脚本と監督を務めた。2023年4月14日公開。


撮影/山本倫子 ヘアメイク/秋鹿裕子 スタイリスト/谷崎 彩

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