2023.03.04
# 野球

佐々木朗希が継承するダルビッシュ「世界最強スライダー」の秘密

世代ナンバーワン捕手が捕れない!
週刊現代 プロフィール

「腹切りスライダー」はどう投げているのか

まず特徴的なのが握り方だ。ダルビッシュは、中指をボールの縫い目に添えるようにして持ち、そこに人差し指を合わせて握る。ここまでは一般的な投手と大差はない。

ただ、親指の位置は異様とも言える。通常は中指と人差し指の下あたりに置かれるが、「腹切りスライダー」の場合は図のようにかなり横位置に置かれるのだ。本人曰く、手首の可動域を広げ、スムーズに横回転をかけるには、この親指の位置が最適なのだという。

 

また、ダルビッシュは「第2中手骨(人差し指の付け根の骨)でボールを深めに握る」意識を強く持っているという。これは、投球動作において重要な役割を担う広背筋(背中の筋肉)の力をボールに伝えやすくするためだ。日本ハムで投手コーチを務めた現・帝京長岡高校監督の芝草宇宙氏はこう話す。

「ダルは指先の使い方に尋常ではないこだわりを持っています。ボールに密着している中指や人差し指の操作を工夫する投手は多くいますが、彼はボールに触れていない小指まで意識して力の入れ方を加減している。もはや彼にしかわからない領域にまで達しています」

リリース時の手首の角度にも注目だ。ダルビッシュはスライダーを投げる際、手首を立てながら、少しだけ体の内側に屈曲させている。こうすることで、ボールに伝わる広背筋の力はさらに増幅される。最後に指先を強く真横に引けば、強烈な横回転がかかった「腹切りスライダー」の完成だ。

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