2022.12.29

27歳の若さでこの世を去った伝説の女優・夏目雅子 元付き人が語る知られざるエピソード なぜ彼女は、今でも愛され続けるのか

週刊現代 プロフィール

最期まで病名は知らなかった

もともとからだが丈夫ではないのは知っていました。体調と食事には気をつけるようスエさんから言われていました。脂物が多いロケ弁が続くと野菜不足になるので、野菜をできるだけ摂るようにしていました。

舞台を降板し、入院してからも雅子さん本人は病名を知らなかったし、私も最期まで病名を知ることはありませんでした。でも、白血病ではないかとは思っていましたが、スエさんはテレビや雑誌を雅子さんに見せないようにしていたし、気持ちを察して病名や病状を尋ねたりはしませんでした。

 

雅子さん自身、「病気が治ったら、またいっしょに仕事しようね」とおっしゃっていましたからね。「だから、頑張りましょうね」と声をかけるくらいでした。ある日、ファンの方がひまわりの花を送って下さったので、離れたところから見せたら、「わあ、きれいだね」と言ったのを覚えています。

ソフィア・ローレン主演の『ひまわり』は大好きな映画でしたからね。スエさんの体調がよくなくて、病室に来れなかったときは、自分のことは差し置いて、「信ちゃん、早く帰って、ママを見てあげて」って。自分のほうが苦しいはずなのに、最後までお母さんのことを気にかけていました。もう、一卵性母子という感じでしたからね。

あれから37年経ちましたが、雅子さんのファンであることに変わりはありません。いまでも、「ねえ、信ちゃん」という声が聞こえてきそうな気がします。

なつめ・まさこ/’57年東京都生まれ。カネボウ化粧品のCMで大ブレイク。以降、女優業を中心に活躍。主な作品に映画『鬼龍院花子の生涯』『魚影の群れ』『瀬戸内少年野球団』など。急性骨髄性白血病により’85年9月11日没

夏目雅子ひまわり基金
夏目雅子の母・小達スエが代表となり設立。抗がん剤などの治療によって脱毛に悩む人たちへ無償でかつらを提供している。問い合わせ先:一般財団法人 夏目雅子ひまわり基金 | (himawari-kikin.com)

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