死を覚悟していた
唐突な死のように見える。だが、本人はすでに死を覚悟していたに違いない。実は葛西は6年前に間質性肺炎を発症し、余命宣告を受けていたという。訃報に接したあるJR関係者はこの間の事情について冷静に打ち明けた。
「葛西さんは主治医から5年の命だと告げられていたと聞きます。余命はご本人も自覚されていました。死の宣告より、1年長く命がもったということでしょう。ご家族にもある程度の心構えがあったのではないでしょうか」
葛西の命を奪った間質性肺炎は、肺の間質部分に炎症や線維化病変などが起きる疾患の総称である。病気の原因は多岐にわたり、現代医学でも解明できていない。皮膚や筋肉、関節、血管、骨などのたんぱく質に慢性的な炎症が広がる膠原病(こうげんびょう)、あるいは眩しい光を受けて目が痛くなるようなサルコイドーシスと呼ばれる疾患のあとに発症するとされる。
原因が特定できない患者も数多くいる。原因を特定できない症状は特発性間質性肺炎(IIPs)と呼ばれ、難病指定されている特発性肺線維症(IPF)など7疾患に分類される。IPFと診断された後の平均生存期間は3~5年と報告されている。