『相棒』亀山薫の「刑事復帰」は非現実的? 元警察官が考えた“リアルな復職ルート”

警察人事で、『相棒』がさらに楽しく

「伝説のコンビ復活!」と連日の大々的な前宣伝が効いたのか、人気ドラマ『相棒season21』の第1回放送は、視聴率17.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と上々のスタートを切った。

民放の連続ドラマとして今年最高の数字を記録したのは、2000年に「土曜ワイド劇場」の2時間サスペンスとして始まり、2002年から連続ドラマとなって以来毎年続いて、10代から高齢者まで幅広い年齢層に支持されてきた『相棒』ブランドの証明だろう。

それに加えて、今回視聴者の好奇心を一層高めたのが、警視庁「特命係」の主人公、杉下右京(水谷豊)の初代相棒を努め、2008年に去って行った亀山薫(寺脇康文)が帰ってくる、というストーリーだ。どんな形で復帰するのか?

テレビ朝日公式ホームページより
 

薫ちゃんは本来「戻れない」

刑事ドラマでは、重要な役の刑事が消えていくとき、職務中に犯人に撃たれたり刺されたりして殉職する、という展開がとかく用いられる。昭和の人気ドラマ『太陽にほえろ!』でのジーパン刑事・松田優作の衝撃的な殉職シーンが今も語り継がれているほどだ。

「相棒」では、クールな右京とは対照的に血の気の多い亀山なので、やはり最後は殉職かという大方の予想を裏切り、貧困と抑圧に苦しむ南アジアの架空の小国に行き子どもたちを救う人道支援ボランティアを選ぶ、という意外な別れ方だった。

では、今回、薫ちゃんはすんなりと警視庁に復職して、14年ぶりに「特命係」に戻れるのかというと、「とんでもありません。あり得ません」と冷徹な答えが返ってきた。その声の主はというと、25歳のときノンキャリアで警視庁に入り、22年半勤務したあと作家に転じて、リアルな階級社会の有り様とそこで働くさまざまな警察官の姿を描く警察小説を40冊以上も発表している濱嘉之さんだ。

濱嘉之氏(撮影/村田克己)

「相棒」を以前からよく見ており、「特命係」など警視庁には実在しない、キャリアで警察庁に入った右京がいつまでも警部のままでいるのはおかしい、あり得ない、などフィクション、作り事であることを認めながらも、楽しんで見ているという。

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