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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

入院時食事療養費の「患者の自己負担」部分引き上げ、中医協でも賛意示される—中医協総会(2)

2023.11.15.(水)

昨今の食材費急騰により医療機関での食事提供が困難となっている状況を踏まえて、「入院における食事療養」(入院時食事療養費)について「患者の自己負担部分を引き上げ」てはどうか—。

こうした議論が行われていますが(関連記事はこちら)、11月10日に開催された中央社会保険医療協議会総会でも、多くの委員がこの考え方に賛意を示しました。年内に正式決定される見込みです(同日の「かかりつけ医機能評価」に関する議論の記事はこちら)。

「食材費は患者が負担する」との考えの下、患者自己負担部分の引き上げを検討

Gem Medでも繰り返し報じているとおり、入院時食事療養費は1994年以降、実質「据え置き」となっています(1994年に「1日:1900円」→1997年の消費税率引き上げ(3%→5%)時に「1日:1920円」→2006年に「1食:640円」(1日3食とすれば1920円で同額)。

入院時食事療養費は「患者」と「医療保険」とで按分負担しており、患者の所得で按分状況が変わる(施設入所者の食費)を引き上げ(社保審・医療保険部会(1)2 231108)

入院時食事療養費の変遷(社保審・医療保険部会(1)3 231108)



一方、食事提供コストが大きく膨れ上がっていることから、病院の給食部門は「赤字」となっています。

食材費の高騰が続き、病院の給食部門は赤字となっている(社保審・医療保険部会(1)1 231108)



この「赤字」を解消するため、厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室の荻原和宏室長は「家計における食事支出や介護保険の食費も参照しつつ、入院時の食費を見直してはどうか」との提案を11月10日の中医協総会に行いました。

具体的には、入院時食事療養費は▼患者が食材費、調理費を負担する▼医療保険(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)が栄養管理費を負担する—という形での負担となっていると説明されていることから、昨今の食材費高騰を踏まえて「患者の自己負担」部分の引き上げが提案されています。

この提案はすでに11月9日の社会保障審議会・医療保険部会にもなされており、委員の多くが賛同。11月10日の中医協早期でも、「物価が上昇しても、入院時食事療養費は30年近く据え置かれてきた。もはや医療機関の経営努力では給食の安定提供は困難である。病院給食は治療の一環であり、質が下がれば医療の質低下にもつながる。食材費高騰を踏まえた対応を行わざるを得ない」(長島公之委員:日本医師会常任理事)、「病院給食は極めて重要であり、病院団体は長年、入院時食事療養費の引き上げを要請してきた。見直しは必要不可欠であり、また引き上げまでの『つなぎ対応』も検討してほしい」(池端幸彦委員:日本慢性期医療協会副会長、福井県医師会長)、「食材費の高騰等を踏まえれば、患者自己負担引き上げは理解できる。医療保険者の負担部分については、今後の審議の中で対応方針を明らかにしてほしい」(松本真人委員:健康保険組合連合会理事)といった具合に、賛同意見が多く出されています。

なお、佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は「患者自己負担引き上げはやむなし」と理解を示したうえで、「病院給食が『治療の一環』であるならば、患者自己負担だけではなく、医療保険者の負担部分もセットで見直すべき」との考えも示しています。

入院時食事療養費の引き上げ、とりわけ「患者自己負担」部分の引き上げについて、方向性は固まったと言えるでしょう。



なお、医療保険部会では「患者自己負担部分の引き上げ」を主に、中医協では「入院時食事療養費の全体の引き上げ」を主に議論し、両会議体で併行して議論が進められます。

さらに詳細を詰めながら、年末(2023年末)までに結論を出すことになります。



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