今更聞けない「信号機」-色や点滅の意味、種類、対象者(車・自転車・歩行者)など

信号機は日常生活を送るうえで必ず目にするものです。しかし、改めてその役割や色の意味を考えてみると、意外と知らないことも多いはず。今回は、信号機の役割や色・点滅の意味、種類について解説します。車両・歩行者と対象が異なるものや、信号機の豆知識についてもご紹介。信号機について知り、正しい交通ルールで安全に通行しましょう。

信号機の役割

信号機は、交通事故を防ぎ、車両の流れをスムーズにするといった役割があります。信号機が担う3つの主な役割を改めて確認しましょう。

交通事故の防止

信号機のもっとも重要な役割は、各方向の交通を整備し、車同士や車と自転車、車と歩行者などの事故を防止することです。さまざまな方向から来る交通を時間別に分け、秩序を生み出しています。

車両の流れの円滑化

信号機は、その道路の交通量に適したタイミングで動作するものです。交通の滞りを解消し、車両の流れを円滑に保つ役割を担っています。

交通公害の軽減

車両が円滑に流れることで、交通が安定し、車両の停止回数も減少。停止回数が減ると排気ガスや騒音などが必要以上に出ないため、交通公害の減少につながります。

信号無視したときのペナルティは?

信号機の種類

信号機には、感応式や時差式、押しボタン式などさまざまな種類があります。種類によって仕組みが異なりますので、それぞれの信号機の特徴をみてみましょう。

定周期式

定周期式は、一般的な信号機です。基本的には、決められた時間に沿って青・黄・赤の信号を繰り返し表示。
複数のプログラムが組み込まれていて、状況に応じ最適なパターンで点灯する「プログラム多段式信号機」と呼ばれるものも。交通量が多い時間帯や曜日のみ、タイムスイッチが検知してその都度需要に合わせて作動します。

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感応式

感応式信号機は、通常ほとんどの時間は赤信号のままで、車両や歩行者などの通行を検知したときのみ青信号に変わるもの。「感知式信号機」とも呼ばれます。

歩行者・自転車用のものは、歩行者用押ボタンが押されると青信号に変わる仕組みです。

一般的に、一方の交通量が少ない道路に設置されることが多いです。近年では、車両の感知や押しボタンの押下があったときに、「感知中」と表示する文字板の設置も進んでいます。

感応式信号機には、半感応式と感応式の2種類があり、一般的に感応式として認知されているのは実は「半感応式」。半感応式は一方向の流れを検知する仕組みで、感応式は両方向の流れを検知し調整しています。

押ボタン式

押ボタン式の信号機は、横断歩道を渡る歩行者のための信号機です。押ボタンを押すと車両用の信号が赤に変わり、歩行者用信号が青に点灯します。

時差式

時差式の信号機は、対向車の通過を待つ必要のある右折に配慮し設置される信号です。同じ道路でも進行方向によって青信号の点灯時間が異なります。一方の青信号の表示時間が長くすることで、そのタイミングで右折することが可能に。

渋滞の緩和を目的としており、右折車両が多い道路や交差点が連続する道路などに設置されることが多いでしょう。

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歩車分離式

歩車分離式信号機は、歩行者用と車両用それぞれ別々に点灯する信号機です。歩行者用が青のときは車両用がすべて赤に点灯。車両と歩行者が交わることがないため、歩行者はより安全に横断歩道を通行できます。

スクランブル方式の場合、歩行者は道路の斜め横断が可能です。

矢印式

矢印式信号機は、青・黄・赤の3色の下に矢印がついた信号機です。信号自体は赤であっても、矢印が点灯している方向だけはそのまま通行できます。

右折車両の滞りを解消する「右折矢印式」、右折・左折・直進すべての車両の流れを完全に分ける「セパレート矢印式」が主な種類です。

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その他の信号機

3色以外で点灯する信号機もあります。下記がその例です。

  • 一灯点滅式
  • 踏切信号
  • 閃光式信号

赤・黄の2色で点滅する一灯点滅式。赤点滅中は車両を一時停止させ、安全を確認したうえで進行することが可能です。黄の点滅では、ほかの車に注意して進行。歩行者は、点滅に関係なく車に注意して進行できます。

踏切信号は、踏切において列車が通らないときのみ青信号が点灯するものです。青信号のときは、車両は一時停止しなくても踏切を渡れます。

閃光式信号は、急カーブがある場所に設置される信号です。黄色に点滅し、車両に注意を促す役割があります。

信号機の対象(車・自転車・歩行者)

信号機は、一般信号と歩行者用信号の大きく2種類に分けられます。

自転車は原則、車両用の信号に従って走行します。ただし、歩行者用信号にはいくつか種類があり、歩行者・自転車用の表示がある場合は、普通自転車も対象です。なお、歩行者が通行している場合は自転車を降りて通行するようにしましょう。

さらに「原付専用」「バス専用」「路面電車専用」など、対象が限定されている信号機もあります。

信号機の表示の意味(色・点滅)

信号機の色や矢印・点滅の表示には、それぞれおおむね以下のような意味があります。

【色の意味】
赤色:歩行者は横断してはいけない
   車は停止線を超えて進んではいけない
青色:歩行者は進むことができる
   車両は直進・左折・右折できる
黄色:歩行者は横断を始めてはいけない
   車両は停止線から先に進んではいけない(危険を回避する場合はそのまま進める)

【矢印・点滅の意味】
赤信号時の青色の矢印:車両は矢印の方向に進める
赤信号時の黄色の矢印:路面電車は矢印の方向に進める
黄色の点滅:歩行者、車両などはほかの交通に注意して進める
赤色の点滅:歩行者は他の交通に注意して進める
      車両は、停止位置で一時停止し、安全確認をした後に進める

赤・黄・青の通常の灯火に関しては、多くの方が当たり前に守っていることでしょう。

赤色の点滅信号に関しては、歩行者と車両それぞれで意味が異なるため注意が必要です。それぞれの色や表示の意味を正しく理解し、安全な通行を徹底しましょう。

信号機に関するよくあるQ&A

信号機の気になる疑問点をまとめました。生活の中で何気なく使用している信号機について、詳しくチェックしましょう。

Q.信号機の大きさ・重さは?

A.車両用信号の場合、レンズは直径25~30cm、重さは10kg程度です。

車両用信号の灯器レンズの大きさは、一般的に直径25cm~30cmのものが多く用いられています。重さに関しては、以前は20kg程度のものが多くみられました。最近はLED式信号機に切り替えられて軽量になったため、10kg程度のものが一般的です。

また、歩行者用の信号機は、正方形のレンズ1つの一辺が25cmのものが多く使用されています。

Q.信号機の設置基準は?

A.警視庁の「信号機設置の指針」で定められています。

信号機を設置するためには、絶対に満たす必要がある5つの必要条件と、どれかひとつを満たす必要がある4つの択一条件があります。これらの条件に当てはまらなくなった場合は、信号機廃止の検討が必要です。

Q.信号無視をしたらどうなる?

A.違反の種類に応じてペナルティが科されます。

赤・黄信号無視と点滅信号無視、2つの違反があります。下記すべての違反において、違反点数2点が加算。信号無視は交通違反の中では軽微の違反ですが、絶対にしてはいけません。

車両の種類 赤・黄信号無視 点滅信号無視
大型車 12,000円 9,000円
普通車 9,000円 7,000円
二輪車 7,000円 6,000円
小型特殊車 6,000円 5,000円
原付 6,000円 5,000円

Q.信号待ちならスマホを使ってもいい?

A.交通違反にはあたりませんが、危険行為ですのでやめましょう。

走行中にスマホや携帯電話で通話したり、画面を注視したりすることは違反行為にあたり、ペナルティが科されます。一方、信号待ちで停止している場合、規則上は違反にはあたりません。

しかし、スマホや携帯電話の画面に気を取られ、信号が変わったことに気づかない可能性は非常に高いです。運転時の「ながらスマホ」に関しては、2019年より罰則の基準が引き上げられました。たとえ信号を待っている間であっても、スマホは使用しないようにしましょう。

Q.縦型の信号はどんな場所にある?

A.積雪の多い地域に設置されています。

縦型の信号機は、横幅が狭いため信号機の上に雪が積もりにくいことが特徴です。信号機の天板部やレンズへの積雪を減らし、信号機の視認性を高めたり、倒壊を防いだりする役割があります。

信号機の歴史は?

A.イギリスでガス灯火式の信号機が設置されたのが始まりです。

世界初の信号機は、1868年にロンドン市内に設置されたガス灯火式信号機であるといわれています。電気式信号機に関しては、1918年にアメリカで設置されたものが世界初であるという説が。当時からすでに、現在と同じ青(緑)・黄・赤の3色であったとされています。

日本で初めて交通信号が用いられたのは、1919年の東京都上野広小路交差点です。「トマレ」「ススメ」の文字を木の板に書き、回転させて使用したものでした。自動交通信号機は、1930年に東京都日比谷交差点に設置されたものが最初といわれています。

なぜ信号機は赤・黄・青?

A.遠くから見えやすい色であるため。

青・黄・赤の3色は、どれも波長が長く、遠く離れていても見えやすい色であることから、信号機の色に用いられています。

また、赤色は波長が長いだけではなく、視神経に強い刺激を与える色でもあります。「止まれ」と強く注意を喚起する色として最適であることから、信号に用いられるようになりました。

なぜ信号機は緑なのに「青」?

A.日本語が示す「青」の範囲が広いためと考えられます。

日本語の「青」が示す範囲はとても広く、青野菜や青物など緑色のものであっても「青」と言う習慣があります。このことから、緑信号を青信号と呼ぶようになったと考えられています。赤の対極は青、色の三原色が関連している、といった説もあります。

なお、自動信号機の導入初期は、法令上で「緑信号」と記されていました。一般的な呼び方として「青信号」のほうが定着したため、1947年から法令でも青信号と呼ぶようになったといわれています。

信号機について知り、交通安全につとめましょう

普段何気なく見ている信号機は、交通事故の防止や車両の流れの円滑化など重要な役割を担っています。定周期式や時差式と種類は多く、対象も車・歩行者・自転車などさまざまです。

ご紹介した内容を参考に、信号機の示す意味を知り、正しく通行するようにしましょう。

[GAZOO編集部]

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