【特別企画】

主人公・黒崎一護が死神と出会い成長していく物語「BLEACH」は連載開始から22周年

オシャレでスタイリッシュ、でもたまに泥臭く人間味のあるキャラクターたちが魅力の作品

【BLEACH】

2001年8月7日 連載開始

コミックス1巻

 2001年に久保帯人氏が週刊少年ジャンプで連載を開始したバトルアクションマンガ「BLEACH(ブリーチ)」が本日8月7日で連載開始から22年を迎えた。

 「BLEACH」は2016年に完結となり、連載終了から数年が経っているが、現在マンガの最終章「千年血戦篇・訣別譚」がテレビ東京でアニメ化されて放送中となっている。

【TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』PV第3弾】

 本作は死神という題材を活用したバトル漫画となっているが、戦う相手は普通の幽霊ではなく、悪霊化した虚(ホロウ)に始まり、死神同士、ホロウがより強くなった破面(アランカル)、対虚退魔眷属「滅却師(クインシー)」と物語が進むにつれて戦う相手が変わっていく。目まぐるしく進むストーリーの中で主人公の黒崎一護が成長していく物語となっている。

 本作の魅力はバトルのオシャレさとキャラクターたちの人間臭さが同居するところだ。「BLEACH」と聞くとオシャレな雰囲気を想像する人も多いかと思う。特に尸魂界(ソウルソサエティ)に入ったあたりから死神たちの斬魄刀(ざんぱくとう)での攻撃の演出の綺麗さにとにかく驚く。もともとスタイリッシュな絵柄の作品ではあるが、このあたりからより顕著になっていると感じた。ただ、登場するキャラクターたちは姿はスタイリッシュだが、中身はかなり人間味を感じ、嫉妬や後悔、怒りや絶望という姿を惜しみなく出してくる。綺麗かつ人間臭い。そこがより人を惹きつけるものだと思う。

霊力が強い少年と死神の出会いによってさまざまな出来事に巻き込まれていく

 「BLEACH」の主人公・黒崎一護(くろさきいちご)は霊力の高く、常に幽霊が見えて触れて声も聞こえて、憑りつかれやすいという体質を持っている。その霊力に引きつけるられた悪霊のような凶悪な霊「虚(ホロウ)」を倒しに来た死神朽木ルキア(くちきるきあ)と出会う。ホロウに襲われた際にルキアから死神の力を譲り受けたことで一護は死神代行となる。

 本作では一護たちが暮らす現世以外にいくつもの世界があり、死神や死者が暮らす場所としてソウルソサエティ、地獄、死者が悪霊化して人の魂を喰らうホロウと変化後さらに自我を持ったものが住む虚圏(ウェコムンド)などがある。序盤は主人公の黒崎一護が死神代行業を行なうところからどんどんと非現実的な世界へと引き込まれていく。

 死神は死者をソウルソサエティへ送る業務のほかにホロウを討伐し、ホロウとしての罪を洗い流してソウルソサエティへ送るために、日本刀に似た形の武器・斬魄刀を所持している。斬魄刀にはそれぞれの能力が備わっており、斬魄刀と心を通わせた死神のみがその能力を始解(しかい)、卍解(ばんかい)として使うことができる。

 今回は本作で登場する多くのキャラクターの中から主要なキャラクターを紹介したい。

黒崎一護(くろさきいちご)
 本作の主人公。高校生でオレンジ色の地毛を持つ。強い霊力を持っており、幽霊が見える触れる会話できる憑りつかれやすい体質の持ち主。割とドライな性格だが家族友人には面倒見がよく、熱い感情を出すこともある。家族や友人の前ではツッコミ役が多い。ルキアと出会ったことで死神代行となる。

黒崎一護(くろさきいちご)

朽木ルキア(くちきるきあ)
 ソウルソサエティから来た死神。一護たちが住む空座町が担当。男気に溢れているが、他人に対してとても優しい性格。とてもかわいいものが好き。絵はちょっと苦手。

朽木ルキア(くちきるきあ)

井上織姫(いのうえおりひめ)
 本作品のヒロイン。かわいらしい容姿と不思議なポーズで他を翻弄する女子高生。お笑い好き。一護の死神の能力に誘発され、兄にもらったヘアピンを使った事象を拒絶する能力「盾舜六花(しゅんしゅんりっか)」を使う。

井上織姫(いのうえおりひめ)

茶渡泰虎(さどやすとら)
 一護の親友。愛称は「チャド」。大柄な容姿と怪力の持ち主。体が非常に頑丈にできている。性格は心優しく、口数は少なめ。織姫と同じく一護の死神の能力に誘発され両腕に特有の霊能力を使った力を使えるようになる。

茶渡泰虎(さどやすとら)

石田雨竜(いしいうりゅう)
 対虚退魔眷属「滅却師(クインシー)」の生き残り。クインシーは人間がホロウに対抗するためにできた組織で、自身の霊力を矢に変えて弓でホロウを撃退する。一護をライバル視している。とてもクールに見えるが、割と中身は熱い人。本作では一護の次にツッコミ役を担っている。

石田雨竜(いしいうりゅう)

阿散井恋次(あばらいれんじ)
 ルキアの幼馴染で死神。乱暴だが面倒見がよく気配りができる性格の持ち主。ルキアに対して特別な感情を抱いているため、現世で仲良くなっていた一護に対しての当たりが強い。ただ、一護の実力を認めてからはつど助けに来る心強いキャラクターとなる。

阿散井恋次(あばらいれんじ)

朽木白哉(くちきびゃくや)
 朽木ルキアの義理の兄。恋次が所属する隊の隊長。鉄仮面のように表情一つ変えない冷酷な印象を与える人。ただ、養子にしたルキアをとても大事に思っており、ルキアが危険な任務に行かないよう根回しをしたりしていた。

朽木白哉(くちきびゃくや)

オシャレで綺麗でときに豪快な演出、でも人間関係は少し泥臭い

 本作では死神たちの斬魄刀での攻撃、始解・卍解は美しいものや、おどろおどろしいものなど多彩な演出がある。特に地面から無数の刀身を桜並木のように出現させ、桜吹雪の如く舞う刃で相手を攻撃する朽木白哉の卍解「千本桜景巌(せんぼんざくらかげよし)」や、卍解を発動した瞬間に周囲や敵が真っ白に凍り付き砕け散る朽木ルキアの卍解「白霞罸(はっかのとがめ)」などは絵で見るだけでもため息がでるほど綺麗だ。

 一方で涅マユリ(くろつちまゆり)という死神の卍解「金色疋殺地蔵(こんじきあしそぎじぞう)」は、巨大な赤ん坊のような上半身と芋虫のような下半身で周囲に猛毒をまき散らすというものだ。初めて見ると思わず引いてしまいそうな見た目にびっくりした。斬魄刀の始解、卍解だけでなく、それ以外のところでも迫力や豪快さが読んでいて癖になる。

 また、本作ではさまざまなキャラクターが登場する。味方にあたる死神たちは袴など和風な姿をしているキャラクターたちが多い。服装なども少しずつ異なっておりとてもオシャレで目を引く。ただ、バトルの際にはスタイリッシュなだけでなく感情豊かに世界を駆け巡り、キャラクター同士でぶつかり合うのが人間らしくていい。一護の家族や仲間を思う気持ちや、恋次のちょっとした嫉妬が混じったセリフ、かわいいもの好きを指摘されて慌てふためくルキアの姿は人間らしいと感じる。絵柄や演出はとても綺麗でスタイリッシュだが、作品の中で生きているキャラクターはあくまでも人間臭い。

最終巻となる74巻

 「BLEACH」の細かな特徴として物語が進むごとに登場するキャラクターや場所が少し変わる。ストーリー自体は地続きで繋がっているが、どんどん新しいキャラクターや用語が出てくるため読んでいて新鮮で、次はどんな人物や新しい能力が出てくるのかワクワクする。新しく登場するキャラクターたちは今までに登場したキャラクターとも違った魅力を持っており、時に面食らうこともあるがそれもまた楽しい。

 本作は死神が題材となっているが、一貫してキャラクター同士の掛け合いやぶつかり合いがとても魅力的だ。一護は出会うキャラクターによってさまざまな反応を見せ、戦いの中で大きく成長していく。コミックスは全74巻と長編となっているが、スマートフォンでも読むことが可能なので興味がわいた方はぜひ読んでみてほしい。

【『BLEACH 20th ANNIVERSARY』PROJECT PV】
連載20周年のアニバーサリーの際には原画展など様々な取り組みが行なわれていた