カネコ種苗(株)

勤務地
中毛
県外
業種
農業

2023年12月21日

廃食用油で農業燃料 カネコ種苗(前橋市古市町) ▪上毛新聞(2023/12/21)より

カネコ種苗(前橋市古市町、金子昌彦社長)は、廃棄される食用油などの再資源化を本格化させている。回収、排出した廃油の活用を企業に提案して農業参入を後押し。賛同するパートナーの輪を広げて、循環型農業を実現させる。
農業用ハウスの暖房に使う燃料や資材などの主な原料は石油で、カーボンニュートラルへの取り組みは急務だ。同社は企業が事業で排出し、精製して再び燃料などで使える廃油に目を付けた。企業に農業の燃料として活用を見直してもらい、脱炭素の取り組みに協力する。
最初のパートナーは、廃食用油のリサイクルを手がける吉川油脂(栃木県佐野市)。同社は昨年8月に農業法人を立ち上げ、ハウスでミニトマトを栽培する。暖房などのボイラーを動かす燃料は全て再生油を使用する。
吉川千福社長(50)によると、事業者からの廃食用油の回収率は9割を超える一方、家庭ではほとんど浸透していない。活用機会の損失だけでなく、環境汚染の危険性もあると指摘。「栽培したトマトを見て、廃食用油も再利用できることを知ってもらいたい」と期待する。
同社は大手スーパーや石油元売りなどと家庭で出る廃食用油を回収する「リターナブルボトル」を作り、都内のスーパーで配布を始めた。カネコ種苗も回収に協力するなど地道に活動の輪を広げる。

複数の県内企業とは廃エンジンオイルの再生油化や、プラスチック素材の農業用廃棄物の再利用化を進めている。システム開発部の西沢光義課長(51)は「処分に手間や費用がかかった廃油などを資源と捉え直すことで、持続可能な農業が実現できる」と力を込めた。

 

【企業メモ】資本金14億9100万円。従業員数628人(5月末時点)。サツマイモの人気品種「シルクスイート」の開発などでも知られる。