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2022.11.07

【寄稿】APU・出口治明学長が「第2の開学」で目指す「世界を変える人材教育」とは

2000年に大分県別府市に開学した「立命館アジア太平洋大学」(Ritsumeikan Asia Pacific University、以下APU)ほど、「ユニークでグローバルな日本の大学」はないだろう。
学生の2人に1人が、102カ国・地域からの「国際学生」というキャンパスを歩けば、「海外の大学に来たのか」と錯覚するほどで、多言語・多文化が混ざり合う様子は「ミニ国連」と呼ばれることもある。授業の9割は日本語と英語で行われているほか、中国語、韓国語、ベトナム語など6言語も履修でき、常に世界を感じながら学べる環境が整備されている。グローバルリーダーの育成に力を入れており、卒業後の進路も世界規模で、卒業生のうち、留学生が6割、日本人の3割が自国以外で働く経験を持ち、国連関連の組織でもすでに約30名の卒業生が働いている。世界に羽ばたきたい日本人の学生も多く門を叩いている。
そんなAPUが2023年4月に「第2の開学」をする。日本で初めてとなる「サステイナビリティ観光学部」を立ち上げることを筆頭に、既存の2学部の教学改革などを進めていくという。
そこで、実業家から18年に学長に就任して以来、APUを牽引してきた出口治明学長に、なぜこのタイミングで「第2の開学」を宣言するのかという真意を尋ねた。


「これまでAPUは、世界中の若者がキャンパスで切磋琢磨して学び合う“混ぜる教育”をやってきました。これからは、“混ぜる”に加えて、多様な人と連帯し、協力して自分たちの頭で考えて“解を出す”をやっていきます」

来春を「第2の開学」を位置づけるAPUが、これから目指している教育を、出口学長はこのように説明をする。今回の大学の強化の根底にあるのは、APUが掲げている「世界を変える人材」の育成がある。その人材育成像は以下だ。

1.他者と協働し、対話を軸に対立を乗り越え、社会に影響を与えることができる。

2.異なる文化との衝突や遭遇したことのない困難への耐性がある。

3.多様な視点やアイデアから、新しい価値を創造することができる。

4.自分自身のゴールを描き、生涯学び成長し続けることができる。

このような「国際通用性のある人材」を輩出して、世界のあらゆる場所で、世界をより良く変える中心となって活躍しているという状態をつくっていきたい。そのためには、「知識」と「考える力」を身につけた、自分の頭で考えて社会のために行動できる実践をつけていく必要がある。そんな思いが、「第2の開学」には込められているというのだ。出口学長がここまで、「国際通用性のある人材育成」の必要性を唱える理由のひとつに、「グローバリゼーションの加速」ということがある。

実は出口学長は、新型コロナウィルスの世界的流行の兆しが見えた当初から「アフターコロナはグローバリゼーションが加速していく」という”予言”をさまざまなメディアで行い、注目を集めていた。そして、それは2年を経て「現実」のものとなっている。

「グローバリゼーションは、コロナで中断したものの、この流れが止まることはないと思っています。人も経済も国境を超えて動くでしょう。そして世界の人口は、2030年には85億人(10%増)へ、さらに 2050年には97億人(同26%)と増えることが予測されています」

そんなグローバリゼーションが加速する世界における喫緊の課題は「持続可能な社会を実現するために行動できる人を育てて行く」ことだと出口学長は考える。そこにAPUが挑戦するのが、今回の「第2の開学」の目玉である「サステイナビリティ観光学部」だ。

「これは⽇本で唯⼀のサステイナビリティ観光学を学べる学部です。社会課題解決という使命から⽣まれた学びを理論と実践の両輪からアプローチするこの学部は、持続可能な社会に必要な4つの要素『環境・社会・経済・⽂化』を複合的に学ぶことができる、先進的でユニークな学部です」

「サステイナビリティ」がこれからの世界で大切だということまでは共感するが、そこでなぜ「観光」が出てくるのかということに疑問を抱く人もいるだろうが、これは世界の現実が関係しているという。



「観光はパンデミックで一時的にダメージを受けていますが、今日世界中で求められているものです。パンデミック以前、旅行・観光産業による雇用数は世界の雇用全体の10%を占めていましたが、世界的な感染の拡大によって旅行・観光産業は一時的なダメージを負いました。しかし、今後は以前を上回る成長が見込まれる21世紀最大の産業の一つであると言われています。この二つを融合させた新しい学部は、“社会”や“時代”のニーズに応えるものになると確信しています。それに、誰もやっていないこと、新しいことに挑戦して行くというのは、立命館の伝統でもあります」

もちろん、「第2の開学」は「サステイナビリティ観光学部」の新設だけではない。既存の「アジア太平洋学部」「国際経営学部」に関しても強化・拡大を進めて、APUが目指す“世界を変える人”の育成は目指していく。

そして、このようなAPUの教育が日本社会、日本経済にも必ずいい影響を及ぼしていくと出口学長は確信している。経営者として豊富な経験から、日本社会・企業が成長していく鍵の1つは、「ダイバーシティ」だということをかねてから訴えているからだ。

「これは世界の常識です。シリコンバレーがそうである様に、異なる背景の優秀な人々と混ざり、既存知を掛け合わせることで新しいアイデアがうまれるのですから、様々な人を受け入れてやっていく、それしかないと思っています。APUは、来年の4月に3学部体制になりますが、そのうちの2つ学部では、中国とフィリピン出身の女性学部長が引っ張っていきます。そしてもう一つの学部は、日本人の男性が学部長ですが、一年のおよそ半分は国外で過ごし、世界で活躍している教員です。そんなダイバーシティ豊かなトップが揃っているのがAPUです」

多種多様な国から優秀な若者が集う「混ぜる教育」を実践しているAPUは、日本再興の「ヒント」を学ぶことができる場所でもあるのだ。

世界を見てきた出口学長は「ダイバーシティ」の重要性を説く。そこで日本の大学としてやらなくてはいけないことは、「世界の優秀な学生たちに選んでもらえるようなワクワクする場所、定住できる場所を作るしかない」という。「世界中から優秀な人材を集めた社会は繁栄するし、来ない社会は繁栄しない。これは歴史上既に答えが出ています」と出口学長は強調する。

そこで制度として必要になってくるのは、日本にやってきた優秀な留学生が卒業後、そのまま日本に残ってグローバル人材として働き、家族を作って子供を産み育て暮らしていく長期プランだという。


「APUにきた留学生は毎年ほとんどが9月に卒業し、そのうち3分の1は日本を拠点とした企業に内定しています。結婚して子供が産まれた頃、皆、口を揃えていうのは、将来の子供の教育をどうしようか、ということです。まず初等教育・中等教育で迷うわけです。画一的な教育を重んじていて、校則や暗黙の了解の様なルールがある日本の公立の学校にはどうも親子で馴染めない、と子供の教育がきっかけでシンガポールに移住しようと考えている卒業生家族もたくさんいます。実際、自身のキャリアと子供の教育のために母国に帰ってしまった人もいます。そんな風に優秀な人材の流出が起こっています。みんな日本が好きで、卒業も残って働いてくれているのに、本当にもったいないですよね」

このような優秀な若者を積極的に迎え入れていくのと並行をして、日本の優秀な若者も積極的に海外に飛び出して世界を見てくる。これが「ダイバーシティ」においては必要不可欠だと主張する出口学長は最後にAPUの使命について述べた。

「社会は、年齢も、国籍、文化も違う多様な人が混ざり合い、対話し、協力し合うことで、より良い方向に発展していきます。次世代の社会を担う学生たちが、これを実践できる人へと育ち国内外をフィールドにして新しい持続可能な社会を作っていくのです。大学は、そういう“国際通用性ある人”を育てる教育の場を作っていかなくてはならない。“第2の開学”で新しいステージに向かうAPUを、これからも応援してください」




出口 治明(でぐち はるあき)◎立命館アジア太平洋大学 学長 学校法人立命館副総長・理事
1948年、三重県美杉村生まれ。京都大学法学部を卒業後、1972年、日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。2008年4月、ライフネット生命を開業。2012年上場し、社長、会長を10年務めた後、国際公募で推挙され、2018年1月に立命館アジア太平洋大学アジア太平洋大学(APU)第四代学長に就任。同大初の民間出身の学長となる。主な著書(単著)『全世界史(上・下)』(新潮文庫)『人類5000年史(Ⅰ~Ⅲ)』(ちくま新書)『0から学ぶ「日本史」講義(古代編・中世編・戦国江戸編)』(文藝春秋)『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)『復活への底力』(講談社)、など。


◎立命館アジア太平洋大学
https://www.apu.ac.jp/home/newapu/

Promoted by 立命館アジア太平洋大学 / Text by Masaki Kubota

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