21機のみ製造のステルス爆撃機B-2スピリット、その価格はギネス記録?!

21機のみ製造のステルス爆撃機B-2スピリット、その価格はギネス記録?!

ニュース画像 1枚目: フェアフォード空軍基地で開催されたRIATで展示飛行するB-2スピリット (AkiChup0nさん撮影)
© FlyTeam AkiChup0nさん
フェアフォード空軍基地で開催されたRIATで展示飛行するB-2スピリット (AkiChup0nさん撮影)

32年前の1989年7月17日、アメリカ空軍の新たなステルス戦略爆撃機「B-2スピリット」が初飛行しました。核兵器と通常兵器の両方を搭載できる機体の初飛行はパームデールからエドワーズ空軍基地へのわずか2時間でした。短い飛行時間でしたが、後に「長距離攻撃や外交の方法を一変するもの」とその功績が評されています。製造された機体は21機しかなく、その少なさゆえに1機ずつの重要、貴重性から火災が発生した機体も時間をかけて修復しています。

ニュース画像 1枚目:アメリカ空軍施設「プラント42」とB-2スピリット
© Photo courtesy of Alan Radecki/Northrop Grumman
アメリカ空軍施設「プラント42」とB-2スピリット

B-2スピリット戦略爆撃機は167,000ポンドの燃料を搭載して11,000キロ以上、1回の空中給油で18,500キロ以上を飛行でき、地球上のどこへでもアクセスできます。また、核・通常兵器の搭載能力は40,000ポンドで、航続距離と攻撃力から、アメリカ空軍が世界へ睨みを効かせる最終兵器でもあります。

ニュース画像 2枚目:世界どこにでも飛行するB-2スピリット、初飛行からは32年が経過
© U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Heather Salazar
世界どこにでも飛行するB-2スピリット、初飛行からは32年が経過

当初計画で132機導入が予定されていましたが、開発コストが嵩み、1990年代にアメリカ議会は21機に抑えることを決定しました。機体や各種開発や試験などを含め、1機あたり1997年時点で平均21億ドル、1ドル100円換算で2,100億円と非常に高価な航空機です。そのため、世界一高い航空機としてギネスにも登録されています。

ニュース画像 3枚目:ホワイトマン空軍基地に初配備され、その式典時の様子、1993年12月
© U.S. Air Force photo
ホワイトマン空軍基地に初配備され、その式典時の様子、1993年12月

すべてのB-2がパームデール・リージョナル空港に隣接するアメリカ空軍向け施設「プラント42」で製造されました。1993年12月にホワイトマン空軍基地へ「スピリット・オブ・ミズーリ」が初配備され、1994年から運用を開始。2000年まで製造され、その機数は21機です。「プラント42」には9年に1度の大きな定期整備のため、現在でも必ずすべてのB-2が飛来しています。

ニュース画像 4枚目:「スピリット・オブ・カンザス」はクウェートへの展開からアメリカに戻る時に事故に遭った
© U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Mark Olsen
「スピリット・オブ・カンザス」はクウェートへの展開からアメリカに戻る時に事故に遭った

21機製造されたうち、1機は2008年2月、「スピリット・オブ・カンザス」はグアムのアンダーセン空軍基地で離陸直後に墜落する事故で全損。この事故で搭乗員は脱出して無事でした。事故調査でグアムの高温・多湿環境からセンサーなど電気系統にトラブルが発生したことが判明し、改修が施されて以降、B-2はたびたびアンダーセン空軍基地に飛来しています。

ニュース画像 5枚目:復帰したスピリット・オブ・ワシントン
© U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Alexandra M. Boutte
復帰したスピリット・オブ・ワシントン

現在の作戦機は20機です。重要な作戦を担う機体でありながら、保有機数が少ないため、2010年2月にアンダーセン空軍基地で離陸準備をしていた際にエンジン1基から火災発生で大きなダメージを負った「スピリット・オブ・ワシントン」は修復されました。

修復時は、グアムからノースロップ・グラマンのパームデール「プラント42」への空輸のため、18カ月かけて応急修理。2011年8月に、機体にストレスをかけないよう慎重なフライトでパームデールに戻りました。修復作業では、ドライアイスを使用して外皮から炭素を取り除くといった新たな方法が開発されています。

ニュース画像 6枚目:手前からB-52、B-1、B-2と現在主力の戦略爆撃機3機種
© U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Richard Ebensberger
手前からB-52、B-1、B-2と現在主力の戦略爆撃機3機種

この後継機として現在、「B-21レイダー」の開発が進められています。最初のレンダリング公表時はB-2とB-21はそっくりでしたが、少しずつ違いも見受けられるようになりました。B-21レイダーの配備でB-2は退役するとみられますが、まだしばらくは世界への睨みを効かせる重要な戦略爆撃機としての任務を担います。

秘匿性の高い任務に就くB-2スピリットは、航空自衛隊のF-15やF-2戦闘機と訓練を実施したことはありますが、国内の基地に着陸したり撮影する機会はほぼ皆無でしょう。海外のエアショーに参加したことはあるため、コロナ禍が落ち着いたら、アメリカやヨーロッパでその飛行する姿をみたいですね。

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