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債務整理

債務整理は会社にばれる?バレるケースとバレないようにするための対策法について解説します

債務整理は、借金の返済を容易にするための適切な手続きです。

借金に悩んでいる場合は、この方法を検討することは、賢明な選択肢といえます。

しかしながら、この手続きを進める際に気になるのは、自身の債務整理が会社にバレてしまわないかという点です。

もしも、債務整理の事実が会社に知られてしまえば、会社内での信用低下を招いたり、人間関係や職場での地位、昇進などにも悪い影響を及ぼしたりする可能性があることは否定できません。

この記事では、以下について詳細に解説します。

・債務整理が会社に知られにくい理由
・バレる可能性のある状況
・会社に知られずに手続きを進めるための方法

債務整理が知られにくい理由は

しばしば、「借金があることを会社にバレたくない」「債務整理をしたら会社に知られてしまうのではないか不安だ」というご意見を伺うことがあります。

会社は人生において、家庭と同じくらいの長い期間を過ごす場所ですから、大切にしたいという気持ちはよくわかります。

また、そこの人間関係を悪くしたり、将来の目を失くしてしまったりするような手続であれば取りたくないという気持ちになるのは自然なことでしょう。

結論から先に言いますと、債務整理が会社にバレるのは例外的なケースを除けばほとんどありません。

そもそも、社員の借金を知る方法は会社にはありませんし、借金があること、債務整理をしていることを会社に申告する義務もないためです。

例外的にばれてしまうケースとは

もっとも、例外的に会社にバレてしまうケースはあり得ます。

・会社から借金をしているケース
・法的整理(自己破産や個人再生)をした場合
・すでに裁判をされている場合
・特殊な仕事をしている場合

上記のような場合です。

では、具体的にどのような場合に会社にバレてしまうのか、一つ一つ見ていきましょう。

会社から借金をしている場合

債務整理が会社にバレてしまうケースの1つ目は会社から借金をしているケースです。

弁護士や司法書士を代理人に立てて手続きを進めることが一般的ですが、代理人となった弁護士や司法書士は、債権者(お金を貸してくれた人)に対して

「債務整理を依頼されて、代理人となった旨」
「借金の残高がいくらのこっているか開示する要求」
「債務整理の結果が出るまでは取り立てをストップするように求める」

などの内容の記載された通知(受任通知)を送ることとなります。

借金をしている相手に通知が行くのですから、当然に会社は債務整理をしている事実を知ることとなるでしょう。

法的整理(自己破産や個人再生)をした場合

債務整理が会社にバレてしまうケースの2つ目は法的整理(自己破産や個人再生)をした場合です。

法的整理の手続きが裁判所に申し立てられると、裁判所は各債権者に対して通知を出し、手続きが始まったことを知らせることとなります。

ケース1で述べた通り、会社に借金があると自己破産や個人再生をしていることがバレてしまうのです。

また、法的整理の手続をする際には、

「退職金見込み額証明書」
「給与明細」

などを申請することが必要となるケースがあります。

給与明細などは会社から支給されることがほとんどですが、退職金見込み額証明書は退職金の有無の証明や、就業規則上の退職金規定の閲覧が必要となることが多く、申請をした際に怪しまれ、バレてしまう可能性はあり得ます。

すでに借金を滞納して、裁判をされている場合

すでに借金を滞納していて、裁判をされている状態の人も、会社にバレてしまうことはあります。

裁判を起こされた場合、まずは住民票上の住所に訴状や書類を送るのですが、受け取りがなされなかった場合には、送付先を会社に変更して書面を送ることもあります。

当然、本人の受け取りが必要ですので、すぐにばれるわけではありません。

ただ、「郵便局の人が、個人あての書面を会社に持って来て、送ってきた相手が裁判所」という状態になります。

上司や同僚から怪しまれないはずがありません。

また、裁判が終わって判決が確定した場合、強制執行という手続きを取られ、給与の差し押さえを受けることとなります。

給与の差し押さえを受ければ、当然、借金の支払をしていない事実はバレてしまいます。

特殊な仕事をしている場合

特殊な仕事をしている人も、注意が必要だといえるでしょう。

金融業者や銀行などでお勤めの方であれば、信用情報を確認されて手続きをしていることがバレるというケースが考えられます。

また、自己破産や個人再生の際には、官報という国の発行する機関紙に、名前や住所が掲示されます。

一般的な会社が官報を定期的に購読しているということはほとんどありませんが、金融業者や保険業など、破産手続き中に職業制限がかかる業種や資格に関係する会社であれば、確認している可能性はありえます。

さらに、公官庁にお勤めの方も、官報や本籍地の市町村役場にて作成・保管される自己破産者の名簿(破産者名簿)から、債務整理をしていることがバレてしまうという可能性は全くないとは言えません。

会社にバレないように債務整理をする方法はあるの?

ここまで、会社にバレるかもしれないケースについて解説をしてきました。

確かに、債務整理をした場合には、会社にバレてしまうということは起こり得ますし、そのリスクをゼロにすることはできません。

ただ、上記はあくまで例外的なケースにすぎません。

実際、債務整理を行っている多くの人が、会社にバレることなく手続きを完了しています。

ですので、過度に心配する必要はなく、もしも例外的なケースに抵触する可能性があるとしたら、その時には対策法を考えればよいともいえるでしょう。

ここからは、債務整理を会社にバレないように進めるための対策方法を説明していきます。

方法1: 会社の借金を債務整理の対象から外す

「会社から借金をしている場合」では、会社からお金を借りていましたが、このお金を債務整理の対象としてしまうと債権者である会社に通知をしなければならなくなります。

そして、自己破産や個人再生といった手続きでは対象とする債務や債権者を選ぶことが出来ないため、必ず対象となってしまいます。

これを回避するためには、自分の所属する会社以外の消費者金融やクレジットカード会社のみを対象として、任意整理を行うことが考えられます。

自分が所属するA社、ほかに、消費者金融B社と、クレジットカード会社C社があった場合、A社を除くB,C社のみを手続きが出来るということです。

一般的には、家族や知人、会社からの借り入れに利息が付されることはあまりありませんし、付いていたとしても数%と、消費者金融やクレジットカード会社の付す利息よりも低金利であることが多いです。

そのため、高利息の借入のみを任意整理し、会社には秘密のまま、手続きを進めることを考えても良いでしょう。

ただし、元金は返すという手続きの性格上、

債権者借入額
A社200万円
B社150万円
C社100万円
合計450万円

という借り入れがあった場合、任意整理を行っても、借入額相当の450万円は返済をしなければなりません。

もっとも、B社やC社の上限の年間利息は15%ですし、もしも自力で返済するとなると、最大で利息が31000円程度かかることとなります。

もし、B,C社合わせて35000円を支払っていたとすると返済は10年、利息だけであっても2,400,000円も支払うこととなります。

元金2,500,000円
年利15%(利息制限法に基づく最大利息)
返済額35,000円
返済期間10年
利息約2,400,000円
支払総額(利息+元金)約4,900,000円

それと比べれば、任意整理をして利息をなくすことで、元金のみを支払う状況を作った方が、効率的に借金が返済できるようになります。

結果、支払期間が短くなり、返済が楽になる可能性は高いです。

つまり、時間的にも経済的にも、大きな利益を出すことが出来ると言えるのです。

方法2: すべてを正直に会社に言う必要はない

次に「ケース2; 法的整理(自己破産や個人再生)をした場合」についての対策法です。

この場合、「退職金見込み額証明書」や「給与明細」といった会社から発行してもらう書類を裁判所に提出しなければならないため、何のために使うのかと怪しまれ、会社にバレる可能性はあり得ます。

しかし、これらの書類を会社に出してもらうのに際して、「自己破産をするからです」と言わなければいけないということはありません。

また、退職金見込み額証明書は、自己破産以外の場面にも利用することはあります。

住宅ローンを検討する際に、銀行に提出するよう求められることもありますし、生命保険やFPに今後の人生設計を相談する際に利用することもありえるのです。

ですから「住宅ローンの相談のために銀行に出してほしい」「FPに資産運用を相談するために出したい」などと言って、取得することが法的に問題があるというわけではないのです。

確かに、職場に対して嘘を吐くことは、倫理的には推奨されることではありません。

会社に迷惑がかかる話ならば、正直に告白することが正しいでしょう。

ただ、一方では「嘘も方便」ともいいます。

物事を円滑に進めるには、多少の嘘をいってもよい、という意味のことわざです。

借金問題は、あくまで債務者個人の話であって、会社に迷惑がかかるような問題ではありません。

基本的には自己破産をすることは会社に報告をする義務はありませんし、すべてを正直に打ち明ける必要はないのです。

方法3: なるべく早く手続きを行う

三つ目に、「ケース3: 既に借金を滞納し、裁判が進行中の場合」に関する対策について説明します。

この問題に対処するためには、以下のいくつかの方法があります。

一つ目の方法は、借金を完済することです。

借金を滞納している場合、相手方からの請求に応じて借金を完済すれば、請求の根拠がなくなり、相手方は訴訟を取り下げるしかありません。

ただ、お金がないから借金の返済を怠っているのですから、「それができていれば借金をしなかった」と思うかもしれません。

二つ目の方法は、早めに債務整理を行うことです。

先ほども述べた通り、債務整理を実施し、弁護士や司法書士などの代理人を立てると、相手方に対して通知を送り、督促や連絡を制限することが法的に認められています。

また、すでに裁判が進行中で将来的には強制執行の手続きを取ることが出来る場合であっても、自己破産や個人再生の手続きが行われている場合は、裁判所が強制執行を中止する可能性があります。

状況が悪化する前に

これまで、会社に債務整理のことが知られないようにする方法についてお話ししてきました。

会社に債務整理や借金を知られないようにするために大事なのは、事態が深刻化する前に対策を講じることです。

まず、会社からお金を借りること自体が、債務整理のことが分かるきっかけになることがあることを知っておきましょう。

ですから、会社からお金を借りる前に、

「お金を借りる理由は何か?」
「その理由で、本当に会社からお金を借りる必要があるのか?」

という点について、自分の状況をよく考え直すことが大切です。

さらに、複数の借金を抱えると、返済が難しくなり、訴訟や給与の差し押さえをされるなどして、会社に借金があることが分かりやすくなります。

そのため、借金を重ねないためにも自分の家計の収支を改善し、定期的に借金の状況をチェックすることが必要です。

そして、借金が返済できなくなる前に、適切な債務整理などの選択肢を検討することも重要です。

債務整理にはさまざまな方法がありますが、任意整理という方法を選ぶと、裁判所を巻き込まずに進められ、会社に債務整理のことが知られるリスクを減らせます。

また、自己破産や個人再生をしたからといって、必ず会社にバレるということはありません。

対策方法については、弁護士や司法書士に債務整理の相談をすれば、無料相談であっても教えることもあります。

そして、何よりも大切なのは、事態が深刻化する前に行動することです。

・会社からお金を借りないようにすること
・すでに会社から借金をしている場合、他の会社からも借金しないようにすること

といった、債務整理に至る前の事前の対策や、

・借金の返済が難しい場合、すぐに弁護士や司法書士に相談すること
・債務整理の相談時に、正直に状況を伝え、会社にばれないように進めたい旨を伝えること

などの事後的な対策が、最終的には会社に債務整理のことがばれるリスクを最小限に抑えるのに役立ちます。

まとめ

債務整理が知られにくい理由は、通常の状況では個人の財務情報が会社に直接通知されることはないからです。

ただし、例外的なケースもあります。

・会社から借金をしている場合
・法的整理(自己破産や個人再生)をした場合
・すでに裁判をされている場合
・特殊な仕事をしている場合

等が挙げられます。

ただし、これらはあくまで例外的なケースであり、ほとんどの場合は債務整理が会社にバレることはありません。

例外的にバレてしまいそうなケースであっても、対策は可能です。

債務整理の必要性を感じたら、すぐに行動しましょう。

状況が悪化する前に、借金問題を放置せず、早めの対策を取ることが大切です。

債務整理が会社にバレないようにするには、会社の借金を整理する方法を検討し、必要な情報を共有し、早めの行動を心がけることが大切です。