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食事

2019.12.19

古き良きアメリカ文化!沖縄の「Aサイン」レストラン2店を紹介

アメリカ統治時代の沖縄を語る中で、欠かせないのが「Aサイン制度」。沖縄の飲食店で、Aのロゴが印象的な証明書のようなものを実際に見かけたことがある方も少なくないのでは!?「これは何? 沖縄独自の営業許可証?」と思った方もいることでしょう。

今回は沖縄の常識(!)ともいえる、謎に包まれたAサイン制度について説明し、今も掲げているお店を紹介します!

長い歴史を誇るシンボル「Aサイン」

店舗に掲げられた証明書のようなものの正体。それは通称「Aサイン」と呼ばれ、本土復帰前の沖縄で米軍公認の飲食店などに与えられた営業許可証です。

Aサイン制度がスタートしたのは1953年で、米軍風紀取締委員会が定めた衛生基準に合格した業者に付与されました。Aサインの「A」とは「Approved(許可済)」の頭文字。戦後間もない沖縄では公認された店舗が許可証を店頭に掲げて営業し、米軍関係者が利用していたそうです。

制度を取り入れた目的は、米軍関係者と家族の健康などに危険を与えないための一定の基準を設けるため。沖縄本島内の飲食店や風俗店の衛生水準を審査し、運用していたそうです。店舗の建物の造りから食品の仕入先、また従業員の検査まで、とても厳しくチェックされたそうですよ。
そしてこの制度の導入により、沖縄県の衛生事情が向上したとされています。飲食店の食品提供ルートなどが安全になり、県内全域に広まっていったようです。

やがて沖縄は日本に返還されるわけですが、返還直前の1972年4月15日にAサイン制度は廃止されました。ですが現在も、大きく「A」と書かれた思い出の許可証を、記念として店内に掲示している飲食店がいくつも見られます。当時厳しい審査を経て認められた高水準の店なのが一目瞭然ですし、長い歴史を誇るシンボルともいえます。

ということで、老舗の証でもあるAサインを掲げ県民に愛され続ける飲食店をご紹介しましょう。

昔ながらのファミリーレストラン「ジョージレストラン」

那覇市辻にある「ジョージレストラン」。1954年に当時のコザ市(現沖縄市)でAサインレストランとして営業を始め、1956年に現在の那覇市辻に移った、沖縄県民に愛される老舗店です。

代表の宮城健さんは2代目。1984年、27歳の時に創業者の両親から店を引き継ぎました。ジョージレストランの名前の由来を聞くと、「米兵が父・宮城郁夫に付けたニックネームなんですよ」と教えてくれました。外国人からすると、日本人の名前は発音が難しいのだそう。親しみを込めて名前を呼びたい気持ちから、当時日本人にニックネームを付けていたそうです。「ジョージ」と呼ばれていた宮城郁夫さんのレストラン、ということだったのですね。

現在お店を切り盛りするメンバーは、宮城さんのご家族と同級生です。一緒に働く宮城さんの妹・雅子さんと夫のダンさんの出会いの場は、なんと店内!「デートに行ってこい!」というキューピッド的な宮城さんの一言から、二人の仲が深まったんだとか。

気心が知れたメンバーの接客、そして趣きのあるテーブルや椅子、宮城さんこだわりの内装も相まって、欧米の家庭を思わせるようなアットホームで温かな雰囲気が店内を包んでいます。

店内には時代を感じる「ジュークボックス」も!

キッチン側の壁には、お店を見守るかのように「Aサイン」がしっかりと飾られていました。

気になるメニューですが、宮城さんのイチオシは創業当時から人気という「ピザ(Sサイズ 800円〜)」 。今回は8種類の中から宮城さんに選んでいただき、バジルソースとトマトそのものの味が楽しめる「バジルピザ Sサイズ(税込900円)」を試食しました。

チーズたっぷりで香ばしく、バジルとトマトとの相性が抜群!シンプルでさわやかながら、どこか懐かしさのある味わいでした。宮城さんに勧められ、タコス用のオリジナルソースをかけて食べてみると、味が変化!ピリ辛ソースがタバスコとは一味違う深みを出し、おいしくいただきました。

その他のメニューはステーキやハンバーグはじめ沖縄ではおなじみの「Aランチ・Bランチ」など、ジャンルにとらわれずとにかく充実しています。豊富なメニューに、県内外・・・いえ国籍や年齢問わず誰もがうれしくなること間違いなし!

「今でも時々創業当時のメニューを振り返り、どの料理を喜んでもらえるのか提供メニューを見直しています」と宮城さん(右)。「時代に合わせながらも、先代のやってきたことを守りたい」という信念を持ちながら、今日も笑顔で店先に立ちます。

配達や持ち帰りなど、お客さまのニーズに合わせた対応もうれしい限り。ご家庭や宿泊先のホテルでジョージレストランの味を堪能できるのです。(配達地域は電話でご確認ください)

地域に愛されるジョージレストラン。ぜひ一度訪ねてみてください。


[基本情報]ジョージレストラン
住所:那覇市辻2-1-9
電話:098-868-5036
営業時間:ランチ 12時〜15時/ディナー 17時〜24時
定休日:月曜日
駐車場:なし(近くにコインパーキングあり)

オリジナリティあふれるタコスが自慢「チャーリー多幸寿」

続いて沖縄市中央パークアベニューにある、1956年創業の「チャーリー多幸寿(タコス)」。ネオンの看板には「沖縄の味 チャーリー多幸寿」という文字が輝き、異国情緒にあふれています。

約40席テーブル席が並ぶ店内は広々としていて、ステンドグラス製の照明があるなど懐かしさ感じるレトロな雰囲気。カウンター近くには「Aサイン」が飾られていました。

迎えてくださったのは、2代目の勝田祥徳さん。創業者である父親の勝田直志さんから、2002年にお店を引き継いだそうです。

「店名のチャーリーは、米兵が父に名付けたニックネーム。当時の沖縄はステーキハウスが多く、特色のある飲食店にしたいと工夫しタコスを販売したそうです」と教えてくれました。

その思いが時代の流行にピタリとハマり、瞬く間に人気店に。現在も沖縄のタコス屋を代表する老舗店として、広く知られているのは言うまでもありません。

イチオシメニューは、やっぱり看板メニューのオリジナルタコス。3種(ビーフ・チキン・ツナ)から具材を選べて、1個290円(税込)。「3個セット」が750円(税込)とお得!

「厳選した穀物で皮(トルティーヤ)を作り、栄養のバランスが良いヘルシー具材を気軽に食べていただけます」と勝田さん。他店では「タコスの皮はパリパリ」という印象もありますが、チャーリー多幸寿のタコス皮はモチモチしていて柔らかく、沖縄の人の好みに合わせて手作りする伝統が引き継がれています。

早速試食してみると・・・スタンダードなビーフは安定の美味しさ!具材と皮にシャキシャキなレタスの食感がマッチして絶妙でした。優しい味のチキン、珍しくてさっぱり味のツナはどちらも割とあっさりしていて食べやすく、「何個でも食べられる!」と思わずにはいられませんでした。

お得な3個セットは750円で、3種類を1個ずつ選んで食べ比べをしたり、「ビーフ3個!」と注文して好きな味で満腹感を味わったりと楽しめます。

肉が食べられないお客さまのためにメニューにツナを加えたり辛さを変えるなど、引き継いだ味を時代に合わせて進化させています」と語る勝田さん。タコスにかけるオリジナルソースは創業当時から変わらない味で、島唐辛子がアクセントになっていることも教えてくれました。具材の味をピリっと引き締める、チャーリー多幸寿ならではのソースは絶品!クセになる味わいです。

サイズが選べる「チャーリーライス(タコライス)」も好評で、レギュラー・ラージ・スモールという三種類を提供しています。

「沖縄にしかない、ここにしかないタコスを食べてほしいです」と、笑顔でもてなす勝田さんの自慢のタコス。一度味わうと県民はもちろん、県外・海外のお客さんにも愛され続けている理由がわかります。沖縄のソウルフード、ぜひ味わってみてください。

[基本情報]チャーリー多幸寿
住所:沖縄市中央4丁目11-5
電話:098-937-4627
営業時間:平日 11:00~19:15
       土日祝日 11:00~20:45
定休日:木曜日(祝日の場合は営業)
駐車場:なし(近くに無料パーキングあり)

Aサイン制度についてもっと知りたい方は、「沖縄市戦後文化資料展示館ヒストリート」を訪ねるのもオススメ!

「再現されたAサインバー」はじめ沖縄市の戦後を体感できる展示館です。住所や開館カレンダーなど、詳細はこちら。Web上でも展示内容の一部を見ることができます。

 

「Aサイン」代表店として、食事メニュー充実の「ジョージレストラン」と、オリジナリティあふれるタコスが自慢の「チャーリー多幸寿」を紹介しましたが、いかがでしたか。

時が過ぎても変わらない佇まいと味で、地域に愛されるAサインレストラン。ぜひ一度お立ち寄りください。

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この記事を書いた人饒波 貴子
那覇市出身・在住。OL生活、週刊レキオ編集室勤務を経て、フリーライターに。現在は沖縄のエンターテインメントおよび店舗紹介を中心に取材・執筆。ウェブマガジン「琉球新報Style」、雑誌「porte」ほかで執筆中。 このライターの記事一覧

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