直営店とフランチャイズ加盟店は何が違う?メリット・デメリットを紹介

フランチャイズWEBリポート編集部 |2019年11月17日 公開 (2019年11月29日 最終更新)
フランチャイズWEBリポートのフランチャイズに加盟されたオーナーの写真

企業が同じ看板で多店舗展開をしている店舗には、大きく分けて直営店とフランチャイズ加盟店の2種類があります。たとえ見た目が同じでも、経営者という観点でいえば両者は全くの別物です。

そこで、多店舗経営の方法について詳しく知りたいという人のために、直営店とフランチャイズ加盟店の違いや、それぞれのメリット及びデメリットについて紹介をしていきます。

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そもそも直営店とは?

直営店とは書いて字のごとく、同一企業がすべて自己資本によって直接的に運営や開発を行う店舗を指します。別名レギュラーチェーンともよばれ、各店舗が得た収益はそのまま運営企業のものになるというのが最大の特徴です。

その代わり、店舗の運営費・従業員の人件費・設備投資の費用などといった必要経費は、すべて運営企業が支払わなくてはなりません。また、ほとんどの場合、各店舗の店長は運営企業によって直接雇用されます。さらに、その下で働くアルバイトなども運営企業に直接雇われているという形になります。

ただし、例外としては、運営企業が業務委託契約を結ぶことで、社外の人間に店長業務を依頼しているなどといったケースもあります。

直営店とフランチャイズ加盟店の違い

直営店の場合、すべての店舗の運営は同一企業が直接おこなっています。そのため、各店舗の店長は本部企業によって雇用されています

一方、フランチャイズ加盟店は、ある事業者=本部から商標や商品、サービス、営業に関するノウハウなどの提供を受けて、別事業者が経営している店舗のことです

フランチャイズ加盟店の場合は、同じ看板であっても各店舗に異なる法人や個人事業主が存在し、それぞれが個別に経営を行っているのです。店長という役職も各店舗の経営者がその役割を兼任しているケースがあります。

本部は商品の仕入れ先・仕入れや管理の方法・広告宣伝などのノウハウを提供して加盟店をサポートするという形をとっています。その代わり、加盟店は対価として本部にロイヤリティなどの費用を支払うわけです。

以上のように、本部が直接運営しているのか、それとも店舗展開に自己資本を使わずサポート役に徹しているのかという点が、直営店とフランチャイズ加盟店との大きな違いだといえます。

直営店で店舗展開するメリット・デメリット

最初の店舗で成功を収めた場合、その次に多店舗展開を検討するというのはよくある話です。その際、ほとんどの人は多店舗展開の形態としてフランチャイズではなく、直営店を選択します。それは一体なぜなのでしょうか。その疑問に答えつつ、直営店で店舗展開をするメリットやデメリット、この形態で成功したチェーンの実例などについて説明をしていきます。

メリット

すべて自社の収益となる

直営店で店舗を展開するということは、1つの企業が直接運営するということです。そうすると、店舗での収益はそのまま本部のものとなるため、店舗の数に比例して収益はどんどん増えていきます。

単純計算でいえば、直営店を5軒持てば、単一の店舗を経営していたときと比べて収益は5倍になるわけです。そのうえ、人材を直接雇用することでマネージメントを徹底し、ブランドイメージを高めることも可能になります。

試行錯誤しながら店舗展開を進めていける

また、すべての店舗が本部の直接的な管理下に置かれているため、どの店舗でも自由に自社の新商品を試したり、新システムの運用テストを行ったりできます。それにより、数多くのデータが取得でき、今後の店舗運営に生かしていけるのも大きな魅力です。

そして、それを積み重ねていけば、その過程で蓄積されたデータは、将来的にフランチャイズ展開を行う際、加盟店に提供する貴重なノウハウとなる可能性があります。つまり、直営店の経営にはフランチャイズ展開のための準備期間という側面もあるわけです。

逆にいえば、多くの企業が初期の多店舗経営において直営店を選択するのはフランチャイズ展開に必要なノウハウが十分に蓄積されていないからともいえます。

デメリット

直営店で展開していく際の最大のネックは資金です。飲食店などの場合、小規模であっても1店舗開業するのに1000万円以上かかるので、多額の費用が必要となります。つまり、失敗した場合のリスクは大きいというわけです。

また、コストがかかるため、次々と新しい店舗をオープンしていくというわけにはなかなかいきません。そのため、スピーディに店舗展開を行い、短期間で全国的に名を広めたいなどといった場合には不向きな方法だといえます。

直営店だけで展開しているチェーン店の例

直営店で大きな成功を収めた代表的な例としては、スターバックスコーヒーが挙げられます。このブランドは駅ナカなどの一部例外はあるものの、そのほとんどが直営店です。

なぜスターバックスコーヒーが店舗展開しやすいフランチャイズではなく、直営店にこだわったのかというと、それは店舗としてのブランド力を高めるためです。直営店なら本部からの指導によって理念を浸透させやすく、マネージメントを徹底できるため、理想のブランドイメージを比較的構築しやすくなります

そして、スターバックスコーヒーの場合、特に力を入れたのが従業員の教育です。単にドリンクが美味しいというだけに留まらず、接客を含めた総合力で一級のサービスを追求しました。その結果、「スターバックスコーヒーは居心地がいい」というブランドイメージを多くの人に抱かせることに成功し、今に至るというわけです。

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フランチャイズで店舗展開するメリット・デメリット

多店舗展開を検討する際、初期段階では直営店を選択する企業が多いのは確かです。しかし、目的はタイミングによってはフランチャイズを選択したほうがよいというケースももちろんあります。

そこで、フランチャイズでの多店舗展開に興味があるという人のために、メリットやデメリット、そしてフランチャイズ展開で成功したチェーン実例などについての説明をしていきます。

メリット

フランチャイズ形式で店舗展開を行うと、土地・店舗・人件費などといった費用はすべて加盟店が負担することになります。したがって、直営店を展開するときと比較して、本部起業のコスト負担は極端に少なくてすみます。つまり、短期間で多くの店舗展開を達成できるのです

しかも、日常の店舗運営は基本的に加盟店に任せているので、本部企業は多店舗展開の拡大に集中することができます。それに加えて、各店舗は独立した事業者がそれぞれの店舗運営に取り組んでいるという事実も見逃せません。

加盟店の事業者たちはみな自分の店舗を成功させようと必死なので、必然的にフランチャイズ全体としての事業成功率も高くなっていくというわけです。

デメリット

フランチャイズの場合、本部はノウハウを提供するだけで、運営そのものを各加盟店にまかせています。そのため、全体の統制がしにくく、1店舗で問題が起きたりするとブランド全体のイメージが崩れてしまう場合があります。そうなると、全体の収益が低下することにもつながりかねません。

また、本部は各店舗から売上の一部をロイヤリティとして受け取り、それを収益としています。したがって、店舗の売上がそのまま収益となる直営店の運営企業と比べると、本部が得ることのできるお金はかなり少なくなってしまうのです。

また、せっかく蓄積したノウハウも競合企業に流出したり、真似をされたりするとその価値が一気に低下してしまいます。さらに、加盟店でトラブルが発生した場合はチェーン店全体の信用問題に発展するおそれがあります。直営店と違って、直接的な指示や従業員教育などは行えないため、常にそうしたリスクと背中合わせになりがちなのがつらいところです。

フランチャイズで展開しているチェーン店の例

フランチャイズの成功例としては全国に5万を超える店舗数を展開しているコンビニチェーンがあるでしょう。セブン-イレブンやファミリーマート、ローソンミニストップデイリーヤマザキなどのブランドが有名です。

コンビニチェーンで特徴的なのは、流通コストを削減するために特定の地域に集中して出店するドミナント戦略の展開です。たとえば、広範囲を対象として店舗を一定間隔に出店すると、あまり集客の見込めない地域に出店してしまったというケースも増えてきます。おまけに、出店地域を広げたために、あちこちに商品を運ばなくてはならなくなり、当然の帰結として流通コストは肥大化していきます。そのくらいなら、集客が期待できる商圏に集中して出店したほうが、売上も流通コストの削減も見込めるというわけです。

そのうえ、商圏に集中して出店すれば、地域での認知度の向上にもつながります。このように、ドミナント戦略は複合的な効果をもたらし、コンビニチェーンの成功に大いに貢献することになったのです。

お店に合った多店舗展開の方法を選択しよう

多店舗展開の手法は大きく分けて直営店とフランチャイズ展開の2種類があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。たとえば、収益面では「直営店は多くの収益が期待できる反面、多大なコストが必要」、逆に「フランチャイズはコストを抑えられる代わりに得られる収益も少なめ」といった具合です。

まずは、どういう狙いで多店舗展開をしたいのかをよく考え、そのうえで、自分にとって最適な方法を選択するようにしましょう。

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