ブランド切り売り不可避=レナウン再建、解雇や店舗撤退も 2020年08月05日

 経営破綻した老舗アパレル大手レナウンとスポンサーに名乗りを上げた企業との交渉が、今月中旬の合意を目指し最終局面に入った。関係者によると、レナウンの一括再建は難しく、主力ブランドが複数のスポンサー企業に切り売りされる見通し。かつて一世を風靡(ふうび)した企業が表舞台から去る可能性が高まっている。
 スポンサー候補との交渉と並行して、レナウンは人員削減や不採算店舗の撤退など事業のスリム化も急いでいる。6月に募集した300人規模の早期退職は人数に達せず、整理解雇を実施。昨年末に約900人いた従業員は今月末には3分の1程度に減る見通しで、店舗の閉鎖も今月中旬から本格化させる。
 レナウンは4月、新型コロナウイルスの感染拡大で主力販路の百貨店が軒並み休業したことが響き、売り上げが急減。経営状況の悪化から5月には自主再建を断念し、子会社を通じ民事再生手続きを開始した。コロナ禍で上場企業が破綻した初のケースとなった。
 破綻当初は「スポンサーを選べる状況ではない」(同社関係者)と6月中の合意を目指していた。ただ、主力銀行からのつなぎ融資や好調な在庫セールを背景に、交渉を延長している。
 関係者によると、一時は会社を一括で支援する提案もあったが、現在は「会社をひとくくりでという話は出ていない」という。8月中旬に向け、裁判所が選んだ管財人の下で複数のスポンサー候補とブランドごとの売却条件を詰めている。
 創業100年超の歴史を誇るレナウンだが、業績悪化は1990年代から続いていた。2010年に中国繊維大手の山東如意科技集団に傘下入りして起死回生を図ったものの、中国市場への参入は失敗。「新型コロナの前から売れる商品が作れなくなり苦しかった」(商社関係者)とされる。
 レナウングループでは、子会社の「ダーバン宮崎ソーイング」(宮崎県日南市)が6月に破綻。また帝国データバンクによると、休眠状態だった子会社「ローゼ」(山口県岩国市)は7月30日に破産手続きの開始が決まった。 

その他の写真

アパレル大手レナウンの本社が入る建物=5月15日、東京都江東区
アパレル大手レナウンの本社が入る建物=5月15日、東京都江東区

特集、解説記事