「色気がダダもれ」と話題の松岡広大、10代は苦悩 「周りの大人全員が敵だと思った時期も」

25歳前後(アラウンドクォーター:略してアラクオ)の男女5人が直面する“25歳の壁”や恋愛模様に焦点を当てたABCテレビ・テレビ朝日系ドラマ『around1/4 アラウンドクォーター』(テレ朝・土曜深夜26時30分、ABC・日曜午後11時55分)が好調だ。ドラマでナイトクラブで働く男性に扮(ふん)する俳優の松岡広大は、ひげをたくわえた容姿が大反響。「色気がダダもれ」と話題になっている。現在25歳の松岡にアラクオ世代が抱えるリアルな思いを聞いた。

松岡広大【写真:ENCOUNT編集部】
松岡広大【写真:ENCOUNT編集部】

理想のパートナーは「同志のような存在」

 25歳前後(アラウンドクォーター:略してアラクオ)の男女5人が直面する“25歳の壁”や恋愛模様に焦点を当てたABCテレビ・テレビ朝日系ドラマ『around1/4 アラウンドクォーター』(テレ朝・土曜深夜26時30分、ABC・日曜午後11時55分)が好調だ。ドラマでナイトクラブで働く男性に扮(ふん)する俳優の松岡広大は、ひげをたくわえた容姿が大反響。「色気がダダもれ」と話題になっている。現在25歳の松岡にアラクオ世代が抱えるリアルな思いを聞いた。(取材・文=西村綾乃)

誰もがアッと驚く夢のタッグ…キャプテン翼とアノ人気ゲームのコラボが実現

 かつて同じカフェバーでアルバイトをしていた男女5人が、仕事や恋、人間関係のもつれなど、それぞれの壁を乗り越えて行く様子が描かれる物語。松岡が演じる横山直己は、サパークラブで働く人物だ。

「直己はどこか厭世(えんせい)的で、周囲を冷笑的に見ている人。何にも興味がないという訳ではないけれど、なるべく人と関わらずジッとしていれば、他者を傷つけることも、自分が傷つくこともないからと、人との関係を軽薄にして生きている男なんです」

 ペースを乱されることを嫌い、「誰かに期待したりされるぐらいなら、ずっと1人で生きて行く方がいい」と人を寄せ付けない直己。松岡はどのように人間関係を構築しているのだろうか。

「人と生きていく中では、同意できないこともある。同意してくれる人だって、仲間とは限らないんですよね。僕は同意できないことを認め合う『Agree to Disagree』という言葉を知り、『人とは分かり合えない』というところから始めるようになりました。恋人同士だって全てを分かり合えるわけではないし、別々の方向を向くこともある。『メールやLINEの返事が遅い』と怒るのは、時間と心の浪費だと思います。色々な経験をして厚みを持って、同志のような存在が理想です」

 物語に登場する5人は、会社員や美容師などそれぞれの道をまい進するが、うまくいかず、打ちのめされることもある。それぞれが口にする飾らないセリフに共感も集まり、1話放送からの見逃し配信再生数が420万回を突破(8月1日現在)している。

「社会に出たばかりの新人とは違うけれど、本能が赴くまま自制がきかない未熟なところがある。ドラマの中に正解を探すのではなく、ダメな僕たちを見て『自分はどうすれば…』と悩み続けてほしい。時間をかけることを嫌ってタイパとか言うけれど、すぐ分かるものに対して僕は疑問符がある。人生は誰もが同じゴールではないのだから、自分だけの答えを見つけてほしい」

 アラクオただ中にいる松岡。同世代の様子はどのように見えているのだろう。

「失敗することを恐れて踏み込めない人が多いなって感じます。夢を持ちにくい時代にもなって、将来どう生きていきたいかなど、描くことが難しいんじゃないかな。」

髭をたくわえた横顔が「色気がダダもれ」と大反響。ドラマの1シーン【写真:(C)ABCテレビ】
髭をたくわえた横顔が「色気がダダもれ」と大反響。ドラマの1シーン【写真:(C)ABCテレビ】

苦しかった10代 太宰の小説が救いになった

 11歳で事務所に入り、2012年に俳優デビューした松岡。15年には海外公演もあったライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」で主人公のうずまきナルト役を務め上げた。華々しく活躍する一方で、同世代よりも早い時期に壁にぶつかった経験を持つ。

「右も左も分からなかった芸能界という社会の中で、少しずつ意志を持つようになり、同時に反発心も生まれ、周りの大人全員が敵だと思った時期もありました。18歳のころは焦燥感もあって、不安定でした」

 通っていた高校には、業界で活躍するクラスメートもおり、仕事を切り離すことが難しかった。生き馬の目を抜く芸能界で弱音は吐けない。八方ふさがりになったときに、手にした太宰治の小説「人間失格」が救いになった。痛みに共鳴し、言語化できなかった思いが可視化されたことで、心が安らいだという。抱えている生きづらさは「生きている証だ」と気が付いた。

「人に迎合し過ぎると病みます。僕もそういう時期がありました。『松岡って、こういう人でしょう』と周囲に言われて、『そうならなきゃ』と装っていたときもあって、でもそれって仮面を被っているのと同じだなと気付いて、辞めようって」

 高校2年生のときに俳優の成河(ソンハ)の舞台を観て圧倒された。本と共にのめり込んだ演劇。「演劇を観ているときは、自分でいることを忘れさせてくれる」という。

「成河さんは、1人のものとは思えないすごいエネルギーを持っていて圧倒されます。先日も東京で上演されていた舞台『ある馬の物語』を観劇に行ったばかり。想像の海の中に飛び込んで行って、そこに浸らせていただきました。没入するだけではなく、僕ら観る側に自由も与えてくれる。さすがだなと、気が付いたら涙が出ていました」

 ドラマでは思いを口外しないことが多い直己。子どもではないけれど、大人になり切れてもいない。そんな直己の不安定さを繊細な眼差しと、かすかに震わせた体などで松岡は見事に表現している。11月には師と仰ぐ、成河と同じ舞台に立つことも発表された。伸びしろしかない25歳の、今後の活躍に期待したい。

□松岡広大(まつおか・こうだい) 1997年8月9日、東京都生まれ。2012年に、スーパー戦隊シリーズ「特命戦隊ゴーバスターズ」で俳優としてデビュー。翌年には岸谷五朗が演出した「FROGS」で初舞台を経験した。15年には国内外で公演を展開したライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」で初座長を務めた。9月からはミュージカル『スリル・ミー』、11月には舞台『ねじまき鳥クロニクル』に出演。映画『沈黙の艦隊』(吉野耕平監督)の公開を9月に控えている。

次のページへ (2/2) 【動画】「around1/4」 第4話のダイジェスト 胸元がはだけた松岡さんのセクシーな1場面も
1 2
あなたの“気になる”を教えてください