「SHE SAID」に連なる「アシスタント」予告完成 映画業界をめぐる膨大な実話が生んだ、87分の静かな衝撃

2023年5月25日 12:00


憧れの映画業界の“闇”を目撃する新人アシスタント
憧れの映画業界の“闇”を目撃する新人アシスタント

映画業界をめぐる膨大な実話から練り上げられた、「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」に連なる物語「アシスタント」の予告編と本ポスターがお披露目。映像には、憧れの映画業界で、誰もが見て見ぬふりをしている“闇”に気付く新人アシスタントの1日が、淡々と切り取られている。

本作は、「ジョンベネ殺害事件の謎」で知られるドキュメンタリー映画作家キティ・グリーンが、2017年にハリウッドから巻き起こった#Me Too運動を題材に、今日の職場における問題を掘り下げた、自身初の長編映画。大手エンタテインメント会社で働き始めた、若く野心ある新人アシスタントの1日の物語を通して、映画業界を舞台にしながらも、さまざまな職場が抱える問題と、ヒエラルキー最下層の人々に共通する経験を浮き彫りにした。Netflixオリジナルシリーズの「オザークへようこそ」「令嬢アンナの真実」でブレイクしたジュリア・ガーナーが、主人公のジェーンを演じる。

名門大学を卒業したばかりのジェーンは、映画プロデューサーという夢を抱いて激しい競争を勝ち抜き、有名エンタテインメント企業に就職。業界の大物である会長の下で、ジュニア・アシスタントとして働き始めたが、そこは華やかさとは無縁の殺風景なオフィスだった。早朝から深夜まで平凡な事務作業に追われる毎日と、常態化しているハラスメント。しかし彼女は、自分が即座に交換可能な下働きでしかないことも、将来大きなチャンスを掴むためには、会社にしがみついてキャリアを積むしかないことも分かっている。ある日、会長の許されない行為を知ったジェーンは、この問題に立ち上がることを決意する。

予告編は、“夢の仕事についたはずだった”ジェーンの現実を活写。名門大学出身にも関わらず、クリエイティブな仕事は一切やらせてもらえない。仕事といえば、電話に出る、コピーをとる、郵便物を開ける、コーヒーを淹れる、掃除をする……など、誰にでもできるような雑用ばかり。会長に叱責され謝罪文を送ったり、「下っ端だから」「女性だから」と目に見えない差別による役割分担とルーティンに追われたりと、次第に自尊心を奪われ無力感を覚えていくジェーン。ある日、会長の不正を確信したジェーンが、「会長が新人アシスタントのホテルに……」と、性的搾取の可能性を人事部へ訴えかける姿も。映像は、「すべての人に問いかける87分の静かな衝撃」という言葉で締めくくられている。

本作は、主婦の平凡な日常に綻びが生じてさまを描いたシャンタル・アケルマン監督作「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」にインスパイアされており、ほぼセリフなしで構成されている。ジェーンの感情の揺れを、淡々と働くアクションと微妙な表情の変化だけで見せるガーナーの演技にも注目だ。

ポスターには、「わたしは どうする?」というキャッチコピーが添えられ、入社5カ月目で、まだ職場に自分の居場所がないジェーンの戸惑いをとらえたもの。一体何が自分の夢だったのか、何が正しいのか、そして何がやるべきことなのか……ハラスメント体質が根深く浸透した会社で、日々傷付いていく心を殺して機械のように業務を遂行するものの、まだ完全には組織に染まりきれない彼女の、複雑な表情を写している。

アシスタント」は、6月16日に東京の新宿シネマカリテ、恵比寿ガーデンシネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次公開。

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