楽天の田中将大(C)朝日新聞社
楽天の田中将大(C)朝日新聞社

 責任感が強い右腕は自分へのいら立ちを抑えられなかったのだろう。交代を告げられると、厳しい表情で三塁ベンチへ。グラブをベンチに叩きつけて珍しく怒りを露わにした。

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 楽天田中将大が勝てない。17日の西武戦に先発登板し、中村剛也に左中間に2ランを叩きこまれるなど、5回途中8安打5失点と今季最短KO。直球が走らず変化球も浮いた。108球という球数が苦労を物語っている。日本球界では自己ワーストの8敗目を喫した。

 田中は登板後に自身のYouTubeチャンネルでこう振り返っている。

「ここまで続くとですね…、毎回動画を視聴している方々からしたら同じ画を見飽きたよという状況だと思うので、あまりうだうだ今日は語るのをやめておきます。順位も決まっていない中での大事なゲーム。結果ぶち壊してしまって悔しいし、色々な思いが自分の中にありますけど、勝って締めてレギュラーシーズン終えて、CSにも良い形で入っていけるように、何とか(次回)最後の1登板、良い形で終われればと思っています」

 7月13日ソフトバンク戦で4勝目を挙げて以来、後半戦は9試合登板で未勝利。今季は4勝8敗、防御率3.11。ただ、投球内容は数字ほど悪い印象は受けない。打線の援護がなく白星に恵まれない登板が多いのも事実だ。13年に24勝0敗と驚異的な数字で球団創設初の日本一に大きく貢献。メジャーでの活躍を経て、8年ぶりの日本球界復帰で注目されたが、月日を経て投球スタイルも変化している。

「メジャーにいく前は直球でグイグイ押してスライダーで三振を奪うイメージだったが、米国の強打者に対峙してきたことで、変化球の制球が格段に良くなっている。13日の西武戦は珍しく精度が低かったが、それまでの登板ではスプリット、スライダーをきっちり低めに投げるので大崩れしない。白星と黒星が逆になった成績でもおかしくないと思います」(他球団のスコアラー) 

 目を見張るような剛速球はないが、成熟した「大人の投球」で試合はきっちり作る。名門ヤンキースで6年連続2ケタ勝利をマークした安定感はさすがだ。ただ、NPB史上最高額の年俸9億円という数字を考えると、今年の働きぶりに合格点をつけられるか賛否両論分かれる。

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