峯村リエ(みねむら・りえ)/1964年生まれ。東京都出身。85年、インディーズバンド「有頂天」のボーカリスト・KERA(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)を中心に旗揚げされた「劇団健康」に参加。ナイロン10℃の結成メンバーとして、公演には多数出演(撮影/品田裕美)
峯村リエ(みねむら・りえ)/1964年生まれ。東京都出身。85年、インディーズバンド「有頂天」のボーカ
リスト・KERA(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)を中心に旗揚げされた「劇団健康」に参加。ナイロン10℃の結成メンバーとして、公演には多数出演(撮影/品田裕美)

 峯村リエが“女優になりたい”と思ったことは一度もなかった。芝居好きだった母親の影響で、小さい頃から演劇に親しみ、高校卒業後に俳優養成所に入所。そのときも所属は演出部だった。

「養成所で一緒だった犬山イヌコさんに誘われて、『劇団健康』に参加したんですが、当初は、KERAさんの作る演劇が、すごく突飛なものに感じられて、戸惑うばかりの毎日でした(笑)。でも、やっていくうちに、スルメのように、面白さがわかってきたんです」

 1985年に旗揚げされた「劇団健康」を前身として、93年に「ナイロン100℃」が結成された。その頃手にした台本に書かれていた女性の心理描写が、あまりに巧みだったことに驚いた峯村さんは、「どうしてKERAさんは、男なのにこんなに女の心理がわかるんですか?」と質問したことがある。

「そうしたら、『女の人って、面白いんだよ』って。女性の登場人物だと、多少突飛なキャラクターに描いても、説得力があるんですって。たとえば、床にうずくまってさめざめと泣いていた人が、突然テーブルの上に飛び上がって、『私は生きる!』なんて叫んだとしても、嘘っぽく見えないみたいなんです(笑)。KERAさんが、女性の人生を描くのが好きなのは、その辺に理由があるのかもしれませんね」

 舞台「百年の秘密」も、2人の女性の80年にわたる人生を主軸にした群像劇で、6年ぶりの再演となる。この6年の間に、峯村さんは、「民王」や「真田丸」といったテレビドラマで、認知度がぐっと高まったが、「バラエティーなどに出演するときはほぼ着物姿なので、街を歩いていて、『“なりませぬ”の人だ!』とか言われるようなことは、まずないです。酔っぱらって街を歩いていても大丈夫」と、朗らかに笑う。

「一般の方はもちろんですが、映画やテレビの監督さんや演出家の方に、認知してもらえたことがとくに嬉しかったですね。50歳を過ぎて、役柄の幅が広がっていくのが、すごくありがたい。おかげさまで、老後が楽しみになってきました(笑)」

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