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砂川 英樹 院長の独自取材記事

砂川歯科医院

(那覇市/安里駅)

最終更新日:2021/12/20

砂川英樹院長 砂川歯科医院 main

那覇市繫多川ある「砂川歯科医院」は1988年開院。歯科の他、歯科口腔外科を標榜する同院は、歯科麻酔、障害者歯科にも対応しているのが特徴だ。宮古島出身の砂川英樹院長は、京都大学医学部附属病院の歯科口腔外科を経て、現在の国立病院機構京都医療センターの口腔外科に11年間勤務。難しい抜歯から顎関節疾患など、さまざまな症例に対応してきた。故郷・沖縄に戻ってからは、難治療や歯科麻酔の経験を生かし地域に貢献したいと、開業医として診療を行いながら、沖縄県口腔衛生センター歯科診療所の協力医・運営委員として障害者の歯科診療にも従事してきた。そんな砂川院長に、地域での活動や患者への思いなど詳しく聞いた。

(取材日2021年9月13日)

口腔外科の経験を生かし歯科麻酔、障害者の治療に注力

これまでのキャリアについて教えていただけますか?

砂川英樹院長 砂川歯科医院1

私は宮古島の出身で、神奈川歯科大学を1977年に卒業し、京都大学医学部附属病院の歯科口腔外科に1年半ほど勤務しました。その後、国立京都病院・現在の独立行政法人国立病院機構京都医療センターの口腔外科に11年間勤務。故郷の沖縄に戻り1988年に開院しました。勤務医時代は、一般の歯科医院では治療の難しい抜歯から、顎関節疾患などさまざまな症例を経験。そうした治療に麻酔は不可欠で、全身のことを理解し、歯科麻酔を極めたいという思いも芽生えました。

開院までの経緯やクリニックについて教えていただけますか?

京都には12年くらいいたわけですが、当初は戻ることはあまり考えていませんでした。しかし家族の都合で沖縄に戻ることになり、たまたま、歯科医師の従兄弟が移転するという話があり、私がこのクリニックを継承した形に。この辺りは当時も変わらず住宅地でしたから、患者さんは地元のファミリー層が中心で、小さなお子さんから大人まで幅広い方が来院されました。30年以上前になりますが、口内状況は今より悪く、虫歯も多かったですね。現在は、昔からの患者さんも多く、ご高齢になった方はさまざまな悩みを抱えていらっしゃいます。当時小さなお子さんだった患者さんが、自身のお子さんを連れて来院されたり、ファミリーで通う方も多いですね。当院は障害者の歯科治療にも力を入れていますが、治療は一般の患者さんより長くなりがちで、十数年かかることもあり、紹介で訪れる方も多いです。

こちらのクリニック以外でも活動されているそうですね。

砂川英樹院長 砂川歯科医院2

歯科麻酔や顎関節症の経験が豊富でしたから、そうした経験を生かし、地域貢献もできたらと思っていたところ、歯科医師会が運営する障害者の方のための歯科診療所「沖縄県口腔保健医療センター歯科診療所」で歯科麻酔を担当することになりました。障害者の方の歯科治療は、全身麻酔が必要になることが多く、それまでは年に数回ほど県外から歯科麻酔専門の先生が来ていましたが、応援を頼まずに行えるようになりました。スタディーグループにも入り、校医や保育所の嘱託歯科医、 乳幼児歯科健診を担当するなど、地域でさまざまな活動を行ってきました。

地域活動にも積極的に貢献

口腔保健医療センター歯科診療所について詳しく教えていただけますか?

砂川英樹院長 砂川歯科医院3

1975年に沖縄県口腔衛生センター歯科診療所として開設されたのが始まりで、沖縄県歯科医師会とその会員によって運営されています。心身に障害がある方の他、病気などで地域の歯科医院での治療が難しい患者さんの治療を行っています。個室を備え、全身麻酔や鎮静薬を用いた治療を行うことができ、患者さんそれぞれの状況に合わせた治療が可能となっています。また、摂食・嚥下指導、歯科保健指導、地域の協力医との連携による相談も行っています。私は自分の歯科医院で診療を行いながら、協力医・運営委員として15年間、 こちらの歯科診療に従事。全身麻酔下の歯科治療の実施や、 協力医による静脈内鎮静法下歯科治療の体制を整えるなどしてきました。

障害のある方の歯科医療についても詳しく教えていただけますか?

障害のある患者さんの7割は歯科治療に抵抗があると感じています。治療を安全・確実に行うためには、発達年齢などを考え、口腔内と全身の状態を注視しながら、行動変容療法で少しずつ進めることが大切です。根気よく患者さんと向き合っていく必要がありますが、そうした治療の認知度も今はだいぶ上がってきたと感じます。中にはずっと拒否する患者さんもおり、診療中に暴れるなど偶発的な反応が起こると非常に危険です。そうした方や緊急性のある場合は、全身麻酔でなければ対応できません。応急処置的に痛みを取ってから治療に入るようにしますが、全身麻酔には準備が必要なので適応可能かチェックしてから進めていきます。定義的に応答できる意識レベルの静脈鎮静療法とは違い、意識を完全に取る目的なので呼吸調整のため筋弛緩薬を用います。リスクはゼロではないので拒否する親御さんもいますが、十分理解してもらい同意を得てから進めるようにしています。

障害者の方の歯科治療に奮闘する中で、転機があったとか?

砂川英樹院長 砂川歯科医院4

10数年前、口腔保健医療センターの同僚などとアメリカに行き、障害者の方への歯科診療が非常に進んでいることに刺激を受けました。それまではやむなく患者さんを抑えなければならないケースがありましたが、なくしたいと思うように……。設備を整えることや、トレーニングされた人材を確保する必要性も感じ、さまざまな方たちと連携するなどし、体制を進化させました。今、センターには歯科麻酔に長けた、他の専任の歯科医師がいるので安心です。私は、治療日のローテーションに入るなど、おもに休診日に活動しています。沖縄県全体に障害者歯科は広まってきましたが、センターでの人材育成や研修は継続して行っています。私も研修プログラムを作成し、毎年、症例ごとの対応などのレクチャーを行っています。志の高い先生方が増えているのを実感しますし、いつも手ごたえを感じますね。

恐怖や痛みを感じないよう、治療は無理せず少しずつ

先生が日々の診療で大切にしていることは何ですか?

砂川英樹院長 砂川歯科医院5

それはもう、患者さんに寄り添うことを大事にするのが一番ですね。恐怖感を抱かせないよう、ゆっくり診療を進めていきます。特に緊張が強い方には、無理せず少しずつ。痛いと言ったら絶対に続けない。痛みに配慮して、間を置きます。初診は、緊急の場合を除いては、総合的に診てどうするかという治療方針の説明、ご相談になることがほとんどです。ご高齢の方は薬を飲んでいる方も多いので、その種類などをきちんと聞くことも欠かせませんね。知的障害のある患者さんは、精神年齢的に2歳半から3歳未満くらいという方も多く、状態を見極めながら慎重に進めていくことが必要です。口腔外科出身なので、機材や設備もきちんと整えることにもこだわりがあります。歯科医師になって長いですが、診療ではモニターがないと怖いですからね。

先生が歯科医師をめざしたのはなぜですか?

私の母親の口腔状態があまり良くなく、治してあげたいと思ったのが最初のきっかけですね。今はかなり数が増えていますが、当時の宮古島には、歯科医師はおそらく3、4人くらいしかいなかったのではないでしょうか。島民が十分な治療をなかなか受けられなかった環境を子どもながらにみていて、医療体制を充実させたいという想いでこの道に進みました。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

砂川英樹院長 砂川歯科医院6

当院は地域の患者さんが多いので、歯科のかかりつけ医として、これからもコミュニケーションを大切にしながら安心・安全性に配慮した治療を行っていきたいですね。またご高齢の方は、さまざまな疾患を抱えている方も多いので、それぞれの状態をしっかり把握することを、変わらず心がけていきます。口腔保健医療センターはシステムも人材も整っているので、当院で対応が難しいケースは、そちらで診療可能です。私も担当日に治療を行っていますし、橋渡しもできるので、気軽にご相談ください。

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