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森 智恵子 院長の独自取材記事

天神レディースクリニック

(福岡市中央区/西鉄福岡(天神)駅)

最終更新日:2021/10/12

森智恵子院長 天神レディースクリニック main

天神のきらめき通り沿いのビルに入る「天神レディースクリニック」は、森智恵子院長が、2017年に開業した産婦人科の診療を中心に行うクリニック。森院長は開業に至るまでの約25年間、産婦人科医師としてさまざまな病院に勤務しながら、美容皮膚科、精神科、麻酔科にも出向いて研鑽を重ねてきたという。今は「ここに来れば悩みが2つ3つ解決できるような、ラッキーなクリニックにしたい」と、産婦人科以外についても対応し、患者のいろいろな悩みに応えられる医療をめざしている。「今日みたいに化粧をしてスーツを着ることなんて年に数回。普段はすっぴんで、どこに行くにも診察着なんですよ」と笑うパワフルな森院長が、これまでの経歴から診療方針、家族の話までざっくばらんに話してくれた。

(取材日2020年10月20日)

女性が悩みやすい領域を診療科をまたいでひたすら研鑽

ご出身は久留米市だとか。どんなお子さんでしたか?

森智恵子院長 天神レディースクリニック1

両親がスーパーを経営していたので、配達したり店番したり自販機の補充したり、ずっと手伝っていましたね。小学生の頃から、通知表に書かれることと言ったら「活発で元気」。先生が、「学級委員やりたい人は?」と聞くと、「はい!」と真っ先に手を挙げるような子どもでした。生徒会も、会長になりたい、副会長は嫌という感じで(笑)、みんなの先頭切って頑張りたいタイプ。この“出たがり根性”は今も変わっていません。福岡県立明善高等学校から久留米大学医学部へ進学し、大学院まで修了。大学病院の産婦人科学教室で診療にあたり、日本産科婦人科学会産婦人科専門医の資格を取得しました。

産婦人科、美容皮膚科、精神科、麻酔科と、さまざまな科で研鑽を積まれたとか。

産婦人科だけでなく、もっとさまざまな女性の悩みに対応できる医師になりたいと考え、37歳の時、私自身興味があった美容皮膚科を学びたいと、東京のシロノクリニックへ修行に出ました。当時は美容皮膚科が出始めた頃で、そこが取り組んでいたレーザー治療に心惹かれたんです。週に5日は美容皮膚科、残りの2日は産婦人科に勤務するという生活で、約15年間研鑽を積みました。心の問題も勉強しようと、神奈川の精神科クリニックへも通いました。昼は精神科と美容皮膚科で診療、夜は産婦人科で当直と、病院を泊まり歩く日々。さらに産科や精神科での経験から、麻酔科医師の到着を待たずに手術できるようになりたいと、久留米の麻酔科へ。5年ほど東京と往復しながら、麻酔の臨床も重ねました。できるようになりたいと思ったらすぐ勉強に行ってしまうんですが、周囲からは、そんな生活してたら死ぬよと忠告されていましたね(笑)。

そして無事に2017年開業。クリニックの特徴を教えてください。

森智恵子院長 天神レディースクリニック2

20年以上、何かにとりつかれたように診療科を渡り歩いてきました。人のやらない大変なことの先に、何かあるんじゃないかと思って。そして見つけた答えは、表に出た症状だけ、うわべだけ診るのではなく、患者さんの全部を理解しようと真摯に向き合う医療が必要だということ。女性の悩みやすい領域を学んできたこれまでの経験を生かし、女性がもっと人生を楽しめるようにサポートしたいと開業に踏み切りました。当院は、女性医師が診る、土曜日曜も開いている予約制の産婦人科ということで、学生さんから仕事帰りの方まで、近くにお住まいの方から遠方の方まで幅広く来院されます。初めて婦人科を受診する若い方もとても多く、院内で安心して過ごしてもらえるよう、男性の来院はお断りしています。

ひどい生理痛、おりものの悩み。若い世代こそ受診を

若い世代の患者さんが多いとのことですが、どのような症状で来院されるのでしょうか?

森智恵子院長 天神レディースクリニック3

圧倒的に、月経困難症の方が多いですね。月経困難症は、日常生活に支障を来すほどの下腹部痛、腰痛ほか頭痛も伴うようなひどい生理痛やPMS(月経前症候群)がある状態のことをいい、原因が特にないにもかかわらず症状が出る「機能性月経困難症」と、子宮内膜症や子宮筋腫など原因となる病気が存在する「器質性月経困難症」の2つのタイプに分けられます。治療は、経血量を減らし月経時の負担を軽くするのに役立つホルモン薬(低用量ピル)の服用をすることで、痛みを抑えていきます。毎月つらい思いをしている方はご相談ください。内診台に上がるのに抵抗がある方には、問診だけで問題ないと判断できれば薬の処方がスタートできる場合もありますし、性交渉の経験がない方には、肛門からエコーを入れて子宮と卵巣をチェックするなどの配慮もしています。薬は保険診療内です。

月経困難症のほかに、どのような相談が多いですか?

おりものに関する悩みです。色やにおい、かゆみなどで悩んでインターネットを検索し、1万人に1人しかいないような怖い病名を見つけて、「私はこれじゃないでしょうか?」と心配して来られる方もいます。確かに、おりものを人と比較する機会もないし、基準がわからないですよね。これくらい気にしなくていいよ!という時もありますし、膣カンジダやクラミジア、淋病、ヘルペスなどの性感染症にかかっている場合もあります。小さな悩みでも、それが解決するとすごく安心しますよね。当院では性感染症の検査や治療、避妊や生理日・ピルの相談、婦人科がん検診などのほか、外陰部のできものの手術や妊娠12週未満の吸引法による中絶手術も行っています。手術時は麻酔科での経験が生きますね。ホームページには24時間対応の携帯電話番号も載せていますので、何かあればご相談ください。

オンライン診療にも取り組まれているとか。

森智恵子院長 天神レディースクリニック4

お子さんがいて受診が大変なお母さん方や仕事が忙しくて昼間動けない方など、オンライン診療は本当に多くなりました。今の時期は新型コロナウイルス感染対策としてオンラインでの保険診療が可能なので、月経困難症の方へのピルの処方もできます。通常の診療や手術の隙間時間にオンライン診療が入ってくるので私は常に頭がフル回転ですが、こういう引っ張りだこな状態は大好きなので、うれしい限りです。

女性が入りやすくなんでも気軽に相談できるクリニック

3階には美容皮膚科専門のスペースもあるのだとか。

森智恵子院長 天神レディースクリニック5

例えば40~50代の女性が婦人科を受診されていろいろお話ししているうちに、「顔のしみが目立ってきた」「高校生の息子がニキビに悩んでいるのでどうにかしてあげたい」など美容皮膚科の領域に話が及ぶことがよくあるので、そのような場合には、3階に美容皮膚科専用のスペースを設けていますので、そちらでご相談をお聞きしています。月1回男性に限定した日があるので、息子さんをご紹介される方もいらっしゃいますよ。最近は男性の間でも肌への関心は高まっていますよね。夫も基礎化粧品が大好きで、いつもペタペタ塗ってます。私は何もしないのに。

ご家族のお話も、ぜひ聞かせてください。

夫は東京に、17歳の娘はカナダに留学中です。夫は私と結婚する時に仕事を辞めて専業主夫になり、文字どおり娘を1人で育てました。私は産休育休を取らず、4日間の有給で娘を産み、すぐ仕事に復帰。先ほどお話ししたとおり、連日の当直で家にも帰っていなかったので、夫が家事育児、学校のことからすべてやってくれました。夫と娘はとても仲が良く、毎朝東京とカナダでビデオ通話しているようですよ。私と娘は仲が悪いわけじゃありませんが、私のようにはなりたくないとはっきり言われています(笑)。夫と私は年に数回会うくらい。自由にさせてもらっているから、私は仕事を頑張らないとと思っています。

最後に、今後の展望を教えていただけますか?

森智恵子院長 天神レディースクリニック6

実は今年の8月、1ヵ月間休診したんです。開業以来、ずっと休みなく働いていたら、ある日突然、左足が動かなくなって。免疫力が落ちていたのでしょうね、表皮ブドウ球菌という常在菌が悪さしたのが原因でした。これまで私は、「自分が24時間365日働かないと世の中回らない!」くらいに思っていましたが、私が休んでも大丈夫なんだとようやく気づき、少しショックでしたよ(笑)。クリニックは休診なしで開けてもらいたいという声が多いので、いずれは一緒にやってくれる女性医師を探して仕事を分け合いつつ、多少自制しながら頑張っていきたいと思います。女性が入りやすくて気軽に相談できるクリニック、そしてついでに悩みの2~3つ解決できるようなラッキーなクリニックでありたいですね。私は体調が万全になったら、また何か新しいことを勉強しようと思います。

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