ピクセルシフトマルチショット機能では、高解像度かつリアルカラー(*1)の画像を取得できます。
ボディ内手ブレ補正機能を利用して0.5画素単位でシフトした画像を複数枚撮影し、それぞれRAW画像で記録します。
一連の複数のRAWファイルは専用アプリケーションソフト(FUJIFILM Pixel Shift Combiner)で合成処理を行い、Digital Negative (DNG) RAW ファイルに合成することができます。
「ピクセルシフトマルチショット」は、正確な色情報が得られることで偽色を完全に抑え込みリアルカラーで被写体を記録することができます。
貴重な文化財をはじめとする、多種多様な作品の細部の色や質感を表現し細部まで捉えきることが難しかった絵画や遺跡などの大きな被写体なども隅々まで精緻に写し取ることができます。
複雑な造形の文化財、広大な遺跡の隅々、美術品、絵画では油絵の微細な凹凸、工芸品では和紙のすき具合などの極めて細部の色・質感・雰囲気まで、偽色もなく忠実に再現することができアーカイブ分野での撮影に適しています。
ピクセルシフトマルチショットモード搭載カメラ
機種 |
撮影
枚数
| 合成後画像 の画素数 | 合成ファイル の容量 | フラッシュ 同調速度 |
GFX100II | 16 | 約4億画素 | 約1.5GB | 1/5 秒(14bit) 1/2.5 秒(16bit) |
4 | 約1億画素 | 約500MB |
GFX100 | 16 | 約4億画素 | 約1.5GB |
GFX100S | 16 | 約4億画素 | 約1.5GB |
GFX50SII | 16 | 約2億画素 | 約700MB | 1/3 秒 |
X-H2 X-T5 | 20 | 約1.6億画素 | 約700MB | 1/25 秒 |
ワークフロー「ピクセルシフトマルチショット」の原理(イメージセンサーのシフト) 以下の2つのプロセスからなる16枚の連続撮影を行うことで実現しています。(X-H2は20枚の連続撮影)
(1)正確なRGB情報を取得する
すべての画素で正確なRGBの色情報を取得するために、イメージセンサーを1画素ずつシフトさせて4枚の撮影を行う(X Trance CMOSセンサーは5枚)
(2)画素を微細化する
(1)を0.5画素ずつシフトさせながら4回繰り返すことで、画素を微細化し4倍の解像度を実現する
❓X-H2はなぜ20ショット撮影するの❓
X Trance CMOSセンサーは、画素配列の特性でベイヤー配列CMOSセンサーよりも赤と青の画素が少ないため、より正確なRGB情報を取得する必要があり、ショット数を増やしています。
*1 リアルカラー: イメージセンサーの一つのピクセルには赤、緑、青のうちの1色のカラーフィルターが配置されているため、そのピクセルにおける本当の色を検出することが出来ません。
そのピクセルに不足している色情報を周辺のピクセルデータから補完する必要があり、この処理をデモザイク処置と呼びます。
ピクセルシフトマルチショット撮影では一つのピクセル位置に対して赤、緑、青の全ての色情報を入手することができるため、デモザイク処理無しに本当の色(リアルカラー)を手に入れることができます。
「ピクセルシフトマルチショット」撮影時の注意点撮影した1枚1枚のRAW画像にズレやブレなどがある場合、画像を合成した際に「不良検出」をお知らせします
精緻な合成結果を得るためには、カメラや被写体のズレ・ブレが無いことが必要です。撮影時は下記事項に充分ご注意いただきますようお願いします。
◆振動を避ける被写体が静止していても、周辺の人物や物が動くと、カメラが振動し不良検出となる場合があります。以下のことにご注意ください。
・強度の高い三脚を使用する、撮影中に三脚の周りを歩いたりしない
・不安定な床や地面での撮影を避け、人や車両が行き交う道路の付近では撮影しない
※高層ビルや免震構造のビルを撮影したり、高層ビルや免震構造のビルから外の風景を撮影すると不良検出となる場合がありますのでご注意ください
◆静止していない、動きのある被写体は避ける ・風で揺れる草木/枝葉
・流れる水
・流れる雲
・星空
・点滅している光源 など
◆明るさが変化する環境
・被写体に当たる光が変化しないよう、周辺の人物や物が動かないようにする
・水面のきらめきや、一瞬太陽の光が雲に遮られるなど光量が変化する環境では撮影を避ける
・陽炎(空気の揺らぎ)がある被写体の撮影は避ける
・蛍光灯やLED照明のフリッカーが写り込まないようにシャッタースピードを調整する
◆広角レンズで撮影する 望遠レンズで撮影した場合、ごくわずかな振動や揺らぎによりRAW画像にズレやブレが生じる場合があります (GFXシリーズは、高画素のため広角で撮影しトリミングしても十分な解像結果が得られます)
合成成功例と振動による失敗例
【成功例】 【失敗例】
合成成功例と比較し、失敗例の画像では、輪郭の部分にブレやズレに伴う不良(ジャギー)が見えます。
※400%に拡大表示しているため、成功例の画像もシャープネスが低く見えていますが問題なく解像しています。
※必要な場合にはシャープネスを調整してください。
※合成処理が完了した画像はソフト上で拡大表示して確認いただけます。振動による撮影の失敗、成功確認が容易になります。
※合成画像を確認した際、振動による撮影の失敗の可能性がある場合は再撮影をお願いします。
「ピクセルシフトマルチショット」撮影時の注意点(カメラ設定)ピクセルシフトマルチショット撮影時は、以下の制限があります。
・電子シャッターのみ
・ISO 感度は最大 1600 に制限
・RAW 記録方式はロスレス圧縮のみ
・フォーカスモードが AF-C(コンティニュアスAF)は使用できません
・撮影設定 > フリッカー低減機能は使用できません
・撮影の途中で露出を変えることはできません(露出補正も不可)
・フラッシュ撮影可能ですが、シャッタースピード同調速度は下記のとおりです
GFX100S/GFX100:1/5 秒以下(14bit RAW記録時)、1/2.5 秒以下(16bit RAW 記録時)
GFX50SII:1/3秒以下
X-H2、X-T5:1/25 秒以下
・画像合成ソフト「FUJIFILM Pixel Shift Combiner」では、USBテザー撮影で「ピクセルシフトマルチショット」撮影が可能です(画像容量が大きいため無線テザー撮影は不可)
「ピクセルシフトマルチショット」撮影手順1.DRIVEモードダイヤルを「MULTI」に設定する(GFX100のみ)
2.DRIVEボタンを押して選択画面から「ピクセルシフトマルチショット」を選択する
3.「撮影間隔」を設定する
・フラッシュを使用せず撮影する場合は、撮影間隔を「最短」に設定する
・フラッシュ撮影をする場合は、撮影間隔をフラッシュチャージ時間を考慮して設定する
4.撮影を開始する
・カメラに振動を伝えないように、リモートレリーズやセルフタイマー機能を使用して撮影する
5.メモリーカードに記録されたRAW画像をパソコンで合成処理をする
・画像合成ソフト「FUJIFILM Pixel Shift Combiner」
・合成後のファイル(DNG)容量が大きくなるため16GB程度のメモリを搭載したPCをご用意ください
・連続したファイルのうちどれか一つを選択すれば合成を開始できます
6.合成後のDNGファイルを現像する
・ Capture One 社 の Capture One 、Adobe社のPhotoshop,LightroomなどDNGファイルを現像できるソフトをご使用ください
※
Capture One Fujifilm Raw Converter(無償) , Capture One Pro Fujifilm, Capture One Proでも可能
※ FUJIFILM X RAW STUDIO、RAW FILE CONVERTER EX powered by SILKYPIX では現像できません
※ DNGファイルをJPEGに変換するだけであればWindows10、11、Macのフォトアプリで可能です。
作例等はこちらでもご覧いただけます。
https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/gfx100/feature-firmware/ご参考URL:
新機能、ピクセルシフトマルチショット Capture One Fujifilm Raw Converter(無料版)のダウンロード・インストール方法