ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「パラグアイってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

パラグアイってどんな国?

 パラグアイは、南米大陸のほぼ中央を占める内陸国で、ボリビア、ブラジル、アルゼンチンと国境を接します。

 国の中央を北から南に向かってパラグアイ川(ラプラタ川の支流)が流れ、西部にはグランチャコといわれる平原、南部には湿地帯が広がります。

 また、ブラジルと国境を接する東部には豊富な水量を誇るパラナ川が流れます。パラナ川はパラグアイ川と合流してアルゼンチンを流れ、さらにアルゼンチンとウルグアイとの国境でウルグアイ川と合流しラプラタ川となります。

電力は100%水力、電力の輸出も行う

 パラナ川にはブラジルとパラグアイが共同管理するイタイプダム(1991年に完成)があります。発電量は世界有数で、発電した電力はブラジルと均等に分けられます。

 パラグアイでは水力発電で国内の電力需要を100%まかなうことができ、余剰の電力はブラジルに輸出されます。電力の輸出は全輸出額の4分の1を占め、国家の主要な財源となっています。

 外交は中南米との関係を重視し、1995年に発足した南米南部共同市場の創設メンバーです。経済はブラジルとアルゼンチンに依存していますが、近年は中国からの輸入が急増し、輸入額では中国がトップです。一方で、南米で唯一台湾との外交関係を維持しています。

 農牧畜産業が主産業で、とくに大豆の生産量が世界的に多いことで知られます。

南米南部共同市場(メルコスール)

アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラを加盟国とし、域内関税の原則撤廃と域外共通関税を実施する関税同盟。2016年12月、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイの外相がベネズエラの加盟資格停止を通知している。

パラグアイ共和国

面積:40.7万km2 首都:アスンシオン
人口:727.3万 通貨:グアラニー
言語:スペイン語(公用語)、グアラニー語
宗教:カトリック89.6%、プロテスタント6.2%
隣接:ボリビア、ブラジル、アルゼンチン

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)