ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

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アラブ首長国連邦ってどんな国?

 アラブ首長国連邦は、アラビア半島東部に位置し、ペルシャ湾に面して広がっています。西から南はサウジアラビアと、東はオマーンと国境を接しています。

 アブダビやドバイなど7つの首長国で構成され、一般的にUAEと略称されています。ほぼ全土が砂漠で、ペルシャ湾のホルムズ海峡に面しており、交通の要衝となっています。

 19世紀、この一帯で優位な立場を得たイギリスは、インド植民地へのルート確保のため湾岸の首長勢力と海上での休戦協定を結び、その後19世紀末にはイギリスの保護領となりました。

資源豊富なアブダビ、観光立国ドバイ

 1971年に首長国の連邦国として独立しましたが、その中では多くの油田をもつアブダビが圧倒的に、次いで観光業や金融業が発展したドバイが力をもっています。

 湾岸各国、とくにサウジアラビアとの関係を重視し、また欧米との協調も外交の方針としています。

 石油と天然ガスの埋蔵量は世界有数で、豊富な石油収入を背景に一人当たり国民所得は高く、医療や教育は無償です。

 現在は、石油依存経済からの脱却を目指して、産業の多角化、海外投資や流通拠点化などが進められています。

 とくにドバイでは、1980年代から国をあげて観光開発が行われてきました。ホテル運営会社や航空会社の設立、高級ホテルや観光関連施設の建設が進められ、今や年間2000万人を超える観光客が訪れる中東地域トップの観光立国になっています。

アラブ首長国連邦

面積:8.4万㎢ 首都:アブダビ
人口:985.7万 通貨:ディルハム
言語:アラビア語(公用語)
宗教:イスラーム(国教)76%、キリスト教9%
隣接:オマーン、サウジアラビア

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)