吸盤を台に押し付けると，吸盤と台との間の空間（Ｖ）にあった空気が抜けます（全部ではないでしょうが）．吸盤を台から引き離そうとすると，吸盤が変形してＶが大きくなりますが，そこに入っている空気が少ないので，Ｖ内の圧力 P は周囲の大気圧 Po より低くなり，その結果，Ｖの内外の圧力差により，吸盤を台に押し付ける方向の力が働きます．その力の大きさは単位面積当たり Po - P であり，仮に P = 0 という極端な場合を考えると，１cm^2 あたりで約１kgf（１kg の物体に働く重力の大きさ）です．１m^2 あたりでは約１０トンの物体に働く重力に等しい大きさです．吸盤を台からはがすには，（空気が入ったり吸盤が壊れたりしない限り），これより大きな力を加える必要があります．