エイミー・ライアンというお名前でしたか!と言うくらい出演作は結構見てるのに(しかも好きな映画が多い)顔を覚えていない女優さんです。
大変申し訳ないことです。
カポーティのCクーパーの奥さん、
WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々の主人公ジアマッティの奥さん、
その土曜日、7時58分のイーサンホークの元妻...どれもすぐには顔が思い出せません。
デビルズ・ノットやグリーン・ゾーン、チェンジリングに至っては
どこに出ていたのかも全然思い出せない。
バードマンとブリッジ・オブ・スパイでの奥さん役は印象深いです。
これが不思議と全く両極端な印象で、
ブリッジでは主人公ドノヴァン(Tハンクス)の”私”の部分を描く上に置いて、さりげなくですがここぞという場面で家庭人ドノヴァンを支える良き妻であろう姿を意識して、その場面ではエイミー・ライアンに観客の目がいくように撮られていたと感じましたが、
一方、バードマンでの主人公リーガン(Mキートン)の元妻役では終始その存在を抑え気味に撮られていた気がします。
後姿だったり逆光だったり薄暗い楽屋だったり。
リーガンとの長い会話のシーンもあるのですが、どのシーンも声のトーンを抑えたセリフまわしで、あの騒がしい人間描写の中でこの元妻だけは故意にどこか異質な雰囲気で撮られてたように感じました。
これは私個人が勝手にそう感じてるだけですが、
その一歩引いた別の空間の存在として描かれている元妻を、
求められたままに静かに演じ、それでいてその存在感を監督の求めているままにしっかりと鑑賞者の目に残す。
エイミー・ライアンという女優さん、うまいなぁと思いました。
名前はチェックしていませんでしたがこの引きの演技、この元妻は印象深かったです。
そして幾多の賞に輝いたゴーン・ベイビー・ゴーンのお母さん役。
これまた上手い。あの自堕落さ加減が何と言うか丁度いいと感じました。
下手するとやり過ぎてしまいそうになる役柄ですが、丁度いいところでおさめていたあの上手さです。
このエイミー・ライアンという女優さんは自分の匂いを隠してしまえる、そんな稀有な役者の一人なのかもしれないですね。
脇での演技が光る俳優はたくさんいますが『ああ、この人また出てるな』と、一目でその俳優だとわかる人は多いです。
それは存在感もそうでしょうがその俳優の個性が表に出てる(出してる)のだと思います。
その個性(匂い)を意図してかどうなのか消してしまえる演者って意外に少ないんじゃないかなと思うのです。
個人的にはトム・ハーディなんかも、この自分の存在(匂い)を消してしまえる俳優ではないかと思っているのですが、
このご質問のお蔭でまた一人そんな俳優をあらためて認識することが出来ました。
エイミー・ライアン。
この名前、忘れないように何度も書かせて頂きました(笑)