BRANDING / LOGO / GRAPHIC
「紅茶をカジュアルに楽しむ市場やカルチャーを創りたい」という思いをもとに、紅茶専門店「チャイブレイク」を運営されている水野学さま。
チャイブレイクのロゴなどのデザインをきっかけに私たちとのお付き合いが始まり、ティースタンド「チャロチャロ!チャイブレイク」のブランディングもお手伝いしています。
その開発プロセスやブランドにおけるデザインの役割、デザインへの投資の意義についてお聞きしました。
_水野さんは2009年に吉祥寺・井の頭公園のほとりに紅茶専門店「チャイブレイク」をオープンし、デザインエイエムがロゴやテイクアウト用のカップ、紙袋などのデザインを担当しました。
それから14年間、水野さんはロゴなどのデザインを使用し続けていますが、その価値や役割についてどのように感じていますか。
その想定通り「チャイブレイクのマークを公園で見かける」と常連の方から言われたり、「この渦巻き模様はどういう意味なんですか」と来店したお客さまから質問されたり、ロゴがコミュニケーションを生むきっかけにもなっています。テイクアウトカップや看板の写真をSNSで見かける機会も増えていて、期待以上の役割を果たしてくれていると思っています。
チャイブレイクのロゴなどのデザインを担当させていただいた後、水野さんが経営されているシングルオリジンティーの輸入販売会社「t-break(ティーブレイク)のロゴも担当させていただきましたね。
20年以上前から旬の紅茶を輸入する仕事をしています。その後、ECサイトの構想なども、ご相談しましたよね。まだ実現できていないのですが、溝田さんには構想の段階から色々相談させてもらっています。
_そういったコミュニケーションを経て、ティースタンド「chalo chalo! chai break(チャロチャロ! チャイブレイク)」のデザインも依頼されたのですね。
溝田さんにメールで「テイクアウトをメインとしたティースタンドをやろうと思っている」と伝えたら、すぐに「いいですね!」と返信がありました。チャイブレイクの世界観や私が目指していることなど知ってくれているので、チャロチャロ! チャイブレイクでやろうとしていることも、すぐに理解してもらえた覚えがあります。
以前から、ティースタンドに関心を持たれていましたよね。チャイブレイクのロゴをデザインするときのヒアリングシートを今回、あらためて見返してみたら「将来、テイクアウトメインのお店なども出せたら」といった記述がありました。
今回、ご縁があって丸井吉祥寺店(以下、丸井)に出店できる可能性があることがわかり、ティースタンドの実現に向けて動き出しました。ただ、溝田さんにご連絡したときはまだ丸井への出店は確定していませんでした。
_出店場所は確定していないけれど、ティースタンドを出店することは決まっていたということですね。その状況で、具体的に何から始めていかれたのですか。
たしか、私がつくった企画書をもとに打ち合わせしましたね。
そうですね。ティーブレイクとチャイブレイクをどういう考えで運営しているか、あらためて整理した上で、チャロチャロ!チャイブレイクのブランド名の説明や出店に至った経緯など、共有してくださいました。
_チャロチャロ!チャイブレイクという店名は、溝田さんに依頼した時点で決まっていたんですね。一度聞いたら忘れられない、音の響きがかわいい名称ですね。
ただ、当時決まっていたのは、ティースタンドをつくることのみ。それ以外のことは流動的で、イメージも固まっていませんでした。溝田さんに話すことで自分の考えが整理されていき、少しずつ具体化していきました。
そうでしたね。水野さんの思いや考えをもとに、まずはロゴの開発に着手し、方向性を一つずつ確認しながら進めていきました。
_具体的にロゴはどのようにデザインされたのですか。
14年間にわたって築き上げてきたチャイブレイクのブランドは資産なので、それをベースに考えることは大前提でした。とはいえ、チャイブレイクの存在を意識しながらも、最初から1つの方向性や世界観に絞り込まず、できる限り表現の可能性は広げて考えました。
ロゴは、たしか5案くらい提案していただきましたね。
チャイブレイクのロゴを生かした案と、チャロチャロ!チャイブレイクの頭文字でデザインした案、人の手でつくる価値を表現した案、インドやスリランカの象徴であり、吉祥寺のイメージとして根付いている象をモチーフにした案などがあったと思います。
_採用した案の決め手は。
今回は珍しく溝田さんが「これがいいと思う」と言ったんです。それで溝田さんを信じて、それにしようと決断しました。
普段、プレゼンで自分の意見は言わないんですけどね。
_なぜ、今回は言ったのですか。
チャイブレイクを知る人には「新しいお店ができたんだ」と気付いてもらうことができ、初めて知る人にはチャイブレイクを知ってもらうきっかけにもなるはずです。たしか、ロゴが決定したころ、丸井への出店も決まったんですよね。
丸井の1階に新しい食のゾーン「吉祥寺 ビオガーデンマルシェ」がオープンすることになり、その一角に出店が決まりました。それが2022年11月ごろで、「吉祥寺 ビオガーデンマルシェ」のオープンは2023年2月。準備期間はわずか3ヶ月というタイトなスケジュールの中、ロゴに続いて決めたのは店舗のデザインやインテリアでしたね。
店舗デザインの軸も、ロゴと同様にチャイブレイクの世界観です。チャイブレイクはヴィンテージ感があり、質感を言葉で表現するなら「ツルツル」ではなく「ザラザラ」。無機質な空間ではなく有機的なイメージで、そのエッセンスをうまく取り入れられたらいいなと。
私から具体的にリクエストしたのは「インドらしさを出すこと」でしたね。
チャイブレイクのエッセンスを取り入れた上で、100%インドらしい表現と、100%インドらしさのない表現を考えながら、どのあたりがベストか検討していました。紆余曲折ありましたが、カジュアルに紅茶を楽しんでもらいたいという思いがベースにあるので、チャロチャロ!チャイブレイクのテーマは「インドのストリート感」に決まりました。
インドらしさは内装ではなく、インドで購入してきたチャイを飲むための器や玩具などで表現しています。
ストリート感を出すために、壁や什器に入れたメニューやメッセージは手書き風にデザインしました。書体は、ロゴと同じイメージになるように一文字ずつデザインしたオリジナルです。カジュアルな雰囲気になるように仕上げました。
裏話をお伝えすると、自分たちの店舗スペースにどういった設備を持ち込めるかギリギリまで確定できなかったんです。それに伴い、店舗でつくって提供するメニューも決められなかった。当初、壁に日本語のメニューをいれることを計画していたのですが、それができない状況だったんです。だから、まずはイメージ重視で振り切ることにしました。
店頭で説明しながら商品を提供したいというリクエストもありましたよね。会話を生むことも意識して、あえて欧文でデザインしました。
テイクアウトカップも、チャロチャロ!チャイブレイクのオリジナルデザインです。真面目になりすぎず、できるだけカジュアルに遊び心のあるデザインになるように、ポップなイラストでデザインしてもらいました。そのイラストは、以前からご縁があったイラストレーターが描いたもの。それを使用してデザインしてほしいと、私からお願いしました。
イラストには、井の頭公園のモチーフが散りばめられています。チャロチャロ!チャイブレイクらしいデザインになりました。
_オープン後の反響について教えてください。
チャイブレイクの常連のお客さまからは「明るい雰囲気でいいね」といった声をいただき、滑り出しは好調です。
_おすすめのメニューや人気メニューは何ですか。
どれもおすすめなんですけどね(笑)。初めて来店された方には、スパイスチャイの定番「マサラ」をおすすめしています。想定より注文が多いのは、水出しのアイスティーです。イートインスペースを利用する方も多いので、イートインできるフードやアイスティーの種類なども増やしていこうと計画しています。
水野さんがお店を始めたのは、紅茶をカジュアルに楽しんでもらうことが目的なので、それに一歩近づいているのですね。
そうなんですよ。オープンしてみないとわからないものですね。そもそも、新しいお店は、営業しないと気づかないこともあり、お客さまの声や反応を見ながら調整や改善していくものだと思っています。そのとき拠り所となるのが、ロゴなどのデザインです。核となるデザインや世界観を最初に決めておくことは、コンセプトと同じくらい重要なものだと思っています。
_デザイン経営に取り組む企業が増える一方、デザインへの投資を迷う経営者も少なくありません。そのことについて水野さんのご意見をお聞かせください。
それはデザインのプロだからできることで、労力も時間もかかっている。つまり、それなりの対価を支払うことは当然です。その価値をどう捉えるか。それは、ビジネスに対する思いの強さによって変わるような気がします。
今回の仕事に限らず、私たちが目指しているのは「最低でも20年は使えるロゴ」であること。その考えは、スタートアップの仕事でも100年の歴史があるブランドのリニューアルでも変わりません。
_デザイン会社と長く付き合うことについては、どうお考えですか。
今回、自分の考えや思いを形にしてもらえたのも、これまでのお付き合いがあってこそだと思っています。出会ったころより、何でも話せるようにもなりました(笑)。デザインのことを気軽に相談できるので、安心感もあります。
ブランディングは、常に方向性を探りながら進めていきます。そのとき表層的なことだけを聞いても、本質的なデザインはできません。ビジネスに対する根本的なことを知ることはもちろん、一見するとデザインとは関係ない話をすることも重要なんです。「笑われるかもしれないけど、実はこんなことやってみたいんだよね」というような将来の夢や野望とか。きっと、経営者だったらあると思います。 そんな経営者の夢や希望を聞かせていただき、デザインでサポートしたいと思っています。
社外から自分たちがどう見えているかを知ることは、やりたいことを実現する上でも大切だと思います。そんなとき、溝田さんの意見はとても参考になります。
デザイナーは一般的なお客さまの視点も持ちながら、多面的にモノゴトを見る能力も兼ね備えていますからね。これからもお役に立てるように、パートナーとして緩やかにつながっていけたらいいなと思っています。 今日はありがとうございました。
ご協力いただいた企業様
chai break / チャイブレイク
代表 水野 学様
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BRANDING / LOGO / WEB / GRAPHIC
カーボンファイバーを使用したレース用の自動車部品などを製造しているティーワンさま。
会社のHP制作をきっかけに、自社ブランドのブランディングもお手伝いしています。
BtoB企業の情報発信の必要性や、BtoC事業のブランドづくりのプロセス、今後の展望についてあらためてお聞きしました。
_2017年に会社のロゴマークやHPを制作しました。そのきっかけから教えてください。
そもそも、今は応募する前に会社のことを調べるのは当然ですよね。最低限、HPは必要だと思い、溝田さんに相談しました。数あるデザイン会社からデザインエイエムさんを選んだのは、溝田さんと私は同郷でデザイン事務所の存在を知っていたからです。
約35年ぶりの再会でしたね。
私から連絡したんですよね。連絡したものの、自社のためにデザイン会社と何かを制作するのは、初めてのことだったので、何をどう伝えればいいのか、うまく話せるか、少し不安もありました。しかし、事前のヒアリングで、事業の詳細や経営のこと、将来の展望など、私のバックボーンを含めて質問してくれたので、自然と答えることができ、漠然としていた自分の考えを整理する機会にもなりました。
デザインはツールなので、その目的を共有することが重要です。松本さんの場合は、当初から「採用に役立てたい」と目的が明確でした。中小企業に就職を検討している人たちが知りたい情報は、事業内容はもちろん、「どんな社長が、どのような考えで経営しているのか」だと思います。それを、どんなトーンで言語化し、視覚化するか。表層的に飾り立てるのではなく、表現すべきことは「ティーワンらしさ」。それは、どのクライアントに対しても共通している考えです。
HPが完成後、松山市のハローワークに求人を出しているのですが、想定以上の応募があり、やる気のある若い人たちを20人以上採用できています。あと、仕事に関する問い合わせも来るようになったんですよ。大手メーカーからも相談があり、試作品を制作する仕事も受注できました。
採用はもちろん、仕事の問い合わせが増えているのは喜ばしいですね。松本さんは、世界を目指し「一番手を獲る」という目標を掲げています。その熱い思いを聞いたとき、とても共感しましたし、伝えるべきポイントだと思いました。
ヒアリングのときに話した内容がコンパクトにわかりやすく言語化されていて、さすがプロだなと思いました。私の写真を掲載することには抵抗があったのですが、溝田さんの提案を受け入れて良かった。写真があることで目を引きますし、言葉の信用度を高めることにもつながっていると思っています。
_松本さんは2019年から、カーボンファイバーの性能と、これまで培ってきた技術をもとに、オリジナルのフィギュアスケート靴の研究・開発をしています。自社ブランド「Tobiha(トビハ)」を立ち上げ、デザインエイエムはブランディングを担当しています。まず、ブランドを立ち上げることになった背景から教えてください。
これまでのフィギュアスケート靴との違いは、履き慣らす期間がほとんど必要ないことです。特徴は、軽量で足に馴染みやすく、ケガをしにくいこと。まだ完成には至っていませんが、世界市場も視野に入れたBtoC事業に成長させていくことが目標です。溝田さんには、情報発信の方法について相談しました。フィギュアスケーターの小塚崇彦さんにサポートしていただくことが決まり、その打ち出し方などを考えていくというタイミングでしたね。
ティーワンさんには、競輪用シューズはじめ、アスリートと共に開発するカーボンファイバー製品のブランド「TT-one(ティーティーワン)」があります。そのブランドを活用するという考えもありましたよね。ただ、フィギュアスケートは女性ファンが多く、優雅で美しいスポーツです。松本さんはトップ選手一人ひとりにカスタムした靴をつくるだけでなく、既製品の販売も視野に入れています。そうした背景から、TT-oneとは分けて、新たなブランドを立ち上げることを提案しました。
_ブランド名も決まっていない段階からのスタートだったのですね。
そうです。松本さんからヒアリングをした後、最初に、ブランド名の開発から着手しました。コピーライターさんと共に、「フィギュアスケートの華やかさ」「カーボンの素材の特徴」「一番手や勝利など強さ」など、考え方のグループをつくり、発想を広げていきました。 最終的に決まった「Tobiha」は、漢字で書くと「飛羽」。飛羽は、トンボの語源の一つと言われています。トンボのモチーフは、ティーワンのロゴマークにも入っています。松本さんの「一番手を獲る」という姿勢を、勝ち虫と呼ばれる「トンボ」に見立て、デザインしました。
「Tobiha」は、ティーワンとも親和性がある名前なので、とても気に入っています。
決定まで紆余曲折ありましたね。第1候補だった案は、商標登録ができないことが分かり断念。これまで検討してきた候補をあらためて見返したところ、目に留まったのが飛羽を「TOPPA(トッパ)」と称した案でした。たしか、第3候補としてご提案したものだったと思います。
ティーワンの原点に立ち返り、飛羽を本来の読み方である「トビハ」にするのはどうだろうという話になったんですよね。
「Tobiha」という言葉は、初めて聞く人も多いと思います。だけど、音の響きから未来に向かって成長していくようなイメージがある。独自性の高いブランド名を開発することができました。
「と」をモチーフにしたマークも気に入っています。
ありがとうございます。グローバルでの展開も目指されていることから、日本のブランドであることを醸し出せるモチーフとして、平仮名の「と」を選びました。一筆書きもできる軽やかな文字で、スケートの優雅に滑るイメージとも重なります。諸説ありますが、「と」は「登」という漢字から進化したとも言われていて、意味合いも良いと思いました。
_クラウドファンディングも実施しました。その一番の狙いは。
開発資金を少しでも集めたいという気持ちと、フィギュアスケートのファンに「Tobiha」のことを知ってもらい、応援してもらいたいという思いがありました。ホームページの制作をしている段階だったので、クラウドファンディングのページも溝田さんにお願いしました。
特に気を配ったのは、松本さんと小塚さんの関係性の伝え方でしたね。小塚さんはオリンピックにも出場された誰もが知るフィギュアスケーターです。小塚さんは「Tobiha」にとって欠かせないパートナーですが、開発メーカーは「ティーワン」。この関係性とメーカー名がうまく浸透するように、クラウンドファンディングの「ご挨拶」は、松本さんのみにしました。名前を表記するときの順番や、写真の大きさなども工夫しています。
細やかな配慮のおかげで、小塚さんのファンや、フィギュアファンにも誤解なく伝わっていると思います。SNSをチェックすると、「小塚さんと一緒に開発しているティーワンのTobiha」といった、私たちの社名入りの投稿がいくつもあります。
Tobihaの開発は、社員教育にもなっています。自分たちが開発している商品が、オリンピックの金メダルに貢献できる可能性がある。その夢に向かって、プロスケーターの意見を取り入れながら製品を開発していくプロセスは、苦労もありますが喜びもある。とても貴重な経験であり、社員のモチベーションを高めることにもつながっています。Tobihaの開発に直接携わっていない社員も、HPやSNSを見れば自分の会社がどういったことにチャレンジしているか理解できるはずです。情報発信は、インナー向けにも役立つのだと気付きました。
ビジネスにおいてデザインが貢献できることは多々あり、経営者が目指すべきところにたどり着くための一助になると思っています。それは、BtoC企業に限らず、BtoB企業でも同様です。
私もそれは実感しています。最初にもお伝えしましたが、私自身、BtoB企業にブランディングやデザインは必要ないと思っていましたから。しかし、世の中の流れはそうじゃなかった。ティーワンへの問い合わせが増えているのも「小回りが効きそうで技術力がある」ことが、HPから読み取れるからだと思っています。
_最後に、今後について聞かせください。
「Tobiha」の最終的な目標は、フィギュアスケーターを目指す子どもたちに履いてもらうことです。靴が合わなくて足に問題を抱えている子どもたちは、少なくありません。一般市場での販売実現のためには、トップ選手に選ばれる製品になる必要があります。もし、その選手がオリンピックで金メダルを獲得できれば、子どもたちも履いてみたいと思うはずです。靴の開発メーカーの私たちにも注目が集まり、新たなビジネスにつながる可能性もある。オリジナルのスケート靴が売れることはもちろん、その先に広がるビジネスもイメージしながら開発に取り組んでいます。
オリンピックをはじめ、世界大会で結果を出したとき、期待を寄せて問い合わせをしてくれる方々を裏切らない情報発信や姿勢が必要だと思います。そのためにも、HPの情報は更新が必要です。スケート靴の進化と共に、デザインもアップデートしていきましょう。 今日はありがとうございました。
ご協力いただいた企業様
株式会社ティーワン
代表取締役 松本 哲也様
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BRANDING / LOGO / WEB / GRAPHIC
当社のホームページを熟読して、初めてくださったお電話が「ご依頼」だった株式会社マルヨシさま。
企業ブランディングデザインのお手伝いをさせていただいています。
社名変更から始まった“一新” は、代表の杉野久美子さんの明確なビジョンのもとで着実な成果を生んでいます。
どんな変化が起こっているのか、伺いました。
杉野さんから初めてご連絡をいただいたのが、2017年の12月でした。いきなり弊社に依頼してくださる前提でのお電話で、様子伺いの部分がまったくなかった。
御社にお願いすると決めて電話しましたから(笑)。御社のHPのデザインにひっかかったんです。「ひっかかった」と言うと語弊がありますが、それは嬉しいひっかかり。写真も良かったですし、すっきりした文章にも惹かれました。こんな素敵なHPがつくれるなら、うちの会社のもつくってほしいと。
実際はロゴマークから始まり名刺、封筒、看板、HPと、ある程度まとめてブランディングさせていただいていますが、杉野さんとしては2020年の創業60年を見据えてのアクションだったのでしょうか。
最初はそういう意識は全くなかったのですが、とある会社さんのロゴを見た時に思うことがあったんです。そのロゴが会社さんのイメージに合っていない気がして。自分のところはどうなのだろうと。「マルヨシらしさを表しているのか?」って。そこからですね。「間もなく60年だし」と紐付けされて、いろいろ変えてみようと思いました。うちらしさをしっかり表現して、対外的、対内的どちらにも勘違いのないものをつくりたいと思いました。
社名を「株式会社マルヨシクリーニング」から「株式会社マルヨシ」に変えられたのが2018年でしたよね。
はい。理由は同じです。以前の社名は実際自分たちがやっている仕事を明確に表していませんでした。町の小さなクリーニング店だと勘違いされている節もありました。同じクリーニングでも、うちは産業クリーニングの会社。企業が相手さんです。従業員も商店街のクリーニング屋さんのイメージでいたらダメなんです。それにクリーンウェアの販売やレンタルなど他の事業も行なっていますから、社名と仕事の内容が一致していなかったんです。
すごくかっこいいと思ったんです、シンプルに。そういう部分も含めて中身をストレートに表現することで、間違いなく伝わるものがつくれる確信も生まれました。いい人材を確保することも、課題だとおっしゃっていましたよね。
36歳以上の人をお断りしてなお25人も面接したんですよ。それで20代後半と30代前半の5人を採用することができました。若さというのは迫力がありますね。うちの仕事に向いた人、優秀な人が来てくれたことにブランディングの大切さを改めて感じています。ブランディングをすることによって、中身と外見とが一緒になれば、求人は必ずよくなると思っていましたが、抜群の成果が出ています。
それはこの上ない朗報です。
1人は次期社長になってほしいくらいの人です。一方で退職する人もおりました。それは会社をやっていく上で仕方がないことですが、いろいろ変わっていく中で働いてくれている従業員はみんな嬉しそうです。以前にも増して、自分らしいやり方で仕事を進めていくようになりました。
まわりからの反応はどうですか。
やっぱりロゴマークの反応が一番ですね。このガラスの看板もすごく目立っているようで「かっこいい」と言われますし、社用車にしても私自身が「あっ、うちの車」とよく気がつくようになりました。不動産屋の友達には、男性ですけれど「高かったやろ」と言われました(笑)。
(笑)
うちは、取引先の大手メーカーさんの中に専用のエリアがあるのですが、その会社の中でも目立っているようです。ロゴマークを変えたことで、注目してくれて、以前にも増して仕事の内容をしっかり見てくれるようになりました。設備も良くしてくれたり。縁の下の力持ち的な仕事ですけれど、注目を浴びることで起こった変化です。デザインの力ってすごいですね。
弊社としてもすごく嬉しいお話ですが、制作の途中では不安とかなかったですか。
それはなかったですね。自分が決めたことに迷いとか不安がないというのもあるのですが、むしろわくわく。人に押されてしぶしぶお願いしたら不安はあるでしょうけれど。それはどんなことにも言えると思います。進めるだけでした。ただ溝田さんもおっしゃっていましたが、がつんと成果が出るまでは、何年かかかると思っています。今日のも今のところはこうだという話。むしろ、今から繋がっていく。
そうですね。ギャップや勘違いを無くすことで、マルヨシさんがこれまで培ってきたものが伝わるようになった。すでに目に見える成果が出ていて、素晴らしいと思いますが、まだ3年ですからね。HPにおいてはまだ1年。ここからですね。
はい。10年後会社がどうなっているのか本当に楽しみでなりません。本当に何が起きるかわかりませんし、起こしてみたいんです。もうそういう方向に向かっていると思っています。“マルヨシらしさ” を本当にありがとうございます。
こちらこそありがとうございます。今日のお話でも“らしさ”の重要性、見えないものを忠実に見える化することの大切さを改めて感じました。ブランディングは経営と同様に終わりはなく、まだまだ改善の余地はあると思っています。
本社の建て直しなどもあり、撮影を待っていただいたりして、3年も付き合わせてしまいましたが、楽しく、面白く。やりたいことをやっていくためにも、これからも力を貸していただけたらと思います。
ぜひ、ご一緒させてください。よろしくお願いします。
ご協力いただいた企業様
株式会社マルヨシ
代表取締役 杉野 久美子様
株式会社マルヨシ WEB SITE
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尾崎建設株式会社さまは1924(大正13)年創業の高知の会社です。100周年を目前に、「ロゴを新しくしたい」とご相談を受けたことが弊社とのご縁になりました。出会いから3年、今はブランディングのお手伝いを続行中です。
尾﨑さんと一緒に御社のブランディングを始めて1年、今日はいろいろ振り返りながらお話をお聞かせいただけたらと思っています。ブランディングというのは長期的にやっていくものなので、成果はこれからだと思いますが。
はい。すぐに成果が出るなんてあり得ない。最初からそう思っていますが、溝田さんと振り返りができることは、私自身の頭の整理にもなります。
ありがとうございます。ブランディングを始めて1年と言いましたが、初めはロゴと名刺と封筒のご依頼でした。4年前です。あの時は弊社にご連絡いただいたきっかけに、まずびっくりでした。
溝田さんがNHKに出演された時に、「溝田明」ってメモっておいたというね(笑)。
はい。2016年に東京五輪のエンブレムに盗作問題が起こったときに取材を受けて、NHKの「クローズアップ現代」などに出演させていただきました。出演といっても少しですが。
ピンときたというか。わりと直感人間なんで。
それも2年も経ってから検索して連絡をくださるって、なかなかありません。デザイン事務所は山ほどあるし、10社あったら10通りの答えが出る世界。
そうかもしれませんが、数打てば当たるというものでもないと思うんですよね。見積もりと一緒に送られてきた御社のブックデザインもよかったし。実際にお会いした溝田さんは表裏がなく、清潔感もあって。なんか信頼が湧いたんです。
ありがとうございます!そういえば尾﨑さん、ロゴを選ぶ時も全然迷われなくて、一択でしたよね。
あの時も見た瞬間これだと思いました。おかげさまで評判は上々。尾崎建設の顔として、新聞広告に出すときの配置や大きさにも気を配って大切にしています。ただロゴを変えたことで、全体的なイメージを統一していくことの重要性を痛感しました。イメージの統一がないと、ロゴも半端なものになってしまうなと。それで再度、溝田さんに相談したというのが流れですね。
ご相談いただいたのは2020年の年明けすぐでした。あの時の尾﨑さんの頭のなかには、すでにブランディングという意識はあったのでしょうか。
そこまで明確ではありませんでしたが、100周年までに尾崎建設のイメージを統一してクリアにしたい思いはありました。
そう。尾﨑さんのところはまず歴史がすごい。会社を100年続けるって、一筋縄ではいきません。
うちは現社長が三代目で、私が四代目。創業は1924(大正13)年です。真面目にコツコツ。地域のインフラ整備に携わってきました。私は一度外に出てUターン。戻ってからの10年は土台の再構築に力を入れてきましたが、ここからの10年は人材作りだと思っています。
第一の課題は人材採用だとおっしゃっていますよね。
そこに尽きます。年間1万人ペースで人口が減っているのが高知県の現状です。もちろん労働者人口も比例しています。なかでも建設業界は平成15年頃を境に公共インフラへの投資が減り、冬の時代が続きました。しかし時を経て今、公共インフラの整備は “国の安全保障” のひとつになりました。南海トラフの想定震源域にある高知県はなおさら、地域建設業に携わる人材確保は必須です。しかも今から活躍するのは若い人たち。そこに向けた発信をしていかなければなりません。進めているブランディングは、僕にとって未来につなげていくための投資でもありますね。
未来への投資。その第一段階として進行したのがコンセプトコピーであり、撮影であり、パンフレットやウエブサイトの制作なわけですが、いかに尾崎建設さんのリアルを伝えるか。私は常にそれを考えていました。
溝田さんは「土臭さがいい。無骨だからいい」っておっしゃっていますよね。現場の写真は、一枚もカメラ目線でにっこりはないですしね。
いりませんから。寡黙に働く姿こそがリアルで、間違いなくかっこいいわけですから。ありのままを出すことが、尾崎建設さんを伝えること。何よりも尾崎建設さん「らしさ」を表現することが大切です。
まぁ、高知の人間、しらふで「笑ってくれ」なんて言っても笑いませんし。ただ50年も前のロードローラーがビジュアルに登場するとは思いませんでした。溝田さんに発見されるまでは、社内でも忘れられたような存在で、とくに注目を浴びるようなものではなかったので。でも結果として、役目を終え錆びたロードローラーが雄弁に自社の歴史を語ってくれています。
ロードローラーに関しては、“よくぞあそこに” いてくれました。
あそことは、古すぎて扉もろくに開かない倉庫のことですね。
はい。「わぁ、見つけちゃったよ」という感じでしたね。聞けば、高知県第一号のロードローラー。100年の歴史の重みをビジュアルで伝えるには申し分ない存在でした。
まさにプロの目。おかげで素晴らしいパンフレットができました。こんなにどかんとした資料は同業他社にはありません。実際、会社説明会で配って早速1人、採用につながりました。若い人材の育成は10年先の経営に必ずや影響します。我々としてはこれからの時代を担う人たちを時間とお金をかけて育てていく覚悟です。
おぉ、嬉しいですね。ウエブの方はどうですか。公開してまだ1ヶ月ですが。
こちらも「見やすい」「いい取り組みされている」となかなかの高評価。 私自身もやっていることに間違ないと思っているし、あれこれ一新されていくことで、新たな気持ちで襟を正すことができています。ただ本当にここからが本番。しかもブランディングって終わりがないですよね。具体的な成果は10年とか長いスパンかかると思っているので、やり続ける、進化させる。ということでしょうね。
はい。ゴールはありません。ブランディングというのは経営と両輪でいかないと意味がないので。尾﨑さんはそこの理解がすごくあるので、うちとしてもありがたいのですが、最後にこれからまだまだご一緒させていただくにあたって、弊社に対して要望や期待はありますか。
そうですね。リアルをどう昇華させてくださるかに期待しています。それと若い人の目に止まるためにも、ちょっと飛んだ発想というか、既成概念を取っ払った発想がほしい。あくまでもセンスはよく。今後ともよろしくお願いします。
こちらこそ。動画もこれからですし、写真撮影もこれですべてではありません。社外のほか、社内へ向けてのインナーブランディングも大切です。もっと深掘りをして成果につなげていきたいと思います。今日はありがとうございました。
ご協力いただいた企業様
尾崎建設株式会社
代表取締役社長 尾﨑 徹哉様
土木工事の施工、保守点検業務、社会インフラの整備で
高知の明日をつくる「尾崎建設」の代表取締役社長。
社の創業は1924(大正13)年。
現在は代表取締役社長として働き方改革や、
ICT導入、ブランディング、人材育成など、
積極的に取り組んでいらっしゃいます。
尾崎建設株式会社 WEB SITE
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2012年春のお問い合わせ以来、不妊治療サプリメントのブランディングのお手伝いをさせていただいています。継続的なブランディングで、着実に結果を出されている株式会社パートナーズさま。お問い合わせ当時のエピソードやその取り組み方、今後についてあらためてお伺いしました。
今回この対談をお願いするにあたり確認したところ、最初にお問い合わせいただいたのが2012年の春でした。
もう7年ですか。「BABY&ME」のリニューアルを考えていた時期で、デザインも一新したくてデザイナーさんを探していた時でした。
この記事を読んでくださる方のために、簡単に「BABY&ME」のご説明をと思いますが。
あぁ、そうですね。弊社は医療機関用サプリメントメーカーなのですが、妊活や不妊治療をサポートするために開発したのが自社ブランドの「BABY&ME」。発売は2009年からで、当初のデザインはどちらかというと可愛らしいイメージでした。ただ、私の中には大人っぽくというか、かっこよくしたい思いがあり、デザイナーさんを紹介してもらったりしていたのですが、なかなかピンとくるご縁がありませんでした。
インターネットで見つけてくださったんですよね。
はい。いくつか見ていくなかで御社のWEBサイトに辿り着きました。その中に「デザインは表面を飾ることではない。安易に飾り立てることよりも、大切なのは何を削ぎ落とすか。デザインの目的は本質を伝えることだ」だったかな。そんな文言があって、デザイン会社なのに「デザインをしない」とも書いてあって、おやって思いました。
あ、書いてあります(笑)。デザインは目的でなく、あくまでツールなので。
過去の仕事を拝見していいなというのもありましたが、いちばんの決め手はそこでしたね。
そこはブレずにやっている自負もありますが、どんなデザインが上がってくるかわからない段階でご判断いただくわけですから、不安もあったかと思います。最初にお手伝いさせていただいた「BABY&ME」のロゴとパッケージデザインとパンフレットの制作のお見積もりも決して安くはなかったと思いますし…。
圧倒的に高かったです。でも「BABY&ME=パートナーズ」「パートナーズ=BABY&ME」となっていくためにも、ここで妥協はできないと思ったんですよ。気休めで安いサプリメント飲むくらいなら飲まなくていいと思っているのと一緒で、意味のないデザインを頼むなら頼まないほうがいい、先のことを考えていこうという結論に至りました。
ありがとうございます。ご提案はピンとくる感じでしたか。以前のパッケージは情報が多すぎる印象があったので、だいぶ整理してのご提案になりました。
はい、しっかり“削ぎ落とされて”返ってきました。しかも色もモノトーンという。そのパッケージデザインを今も使っていますが、7年たっても古くなるどころか、覚えてもらえて広がっていく。「これがブランディングデザインというものなのか」という体験をしています。
ブランディングは長期的な視点が大切で、古くならないように工夫しています。以前、お客さまから「堂々とリビングに置いておけるパッケージデザイン」というコメントをいただいたと伺って、細川さんがこの一言だけでリニューアルした甲斐があったとうれしそうにおっしゃってくださったことが、とても印象に残っています。
その後も同様のお声をけっこういただいていて、そういう使い方をしてほしいという思いがあったので、改めてデザインの力を感じています。妊活という言葉もなかったですし、ちょっと前までみなさん隠してやっていましたから。
そうだったんですね。
あとは「学会のブースで見たんだけれど、説明に来てほしい」と、新しいクリニックさんから連絡があったり。それで伺うと、「あー、これこれ」って、ニコニコしながら手に取ってくれるんですよ。何回もあります。そういう体験をすると、見積書に打ち込まれた数字だけがデザインフィーじゃないなと。
お付き合いをしていく中で、細川さんはデザインをすごく大切に考えてくださっていると感じますが、一般論としては「この予算を投じてどれくらいの費用対効果があるのか?」というのが話題に上がります。
僕はもう今では安いと思っているくらいですよ。実際、溝田さんにデザインをお願いするようになって出荷数が3倍に伸びましたから。
安いとまで言い切っていただけるのは大変ありがたいですね。
だからって上乗せは困りますけれど、なんの心配もせずに、むしろワクワクしてお願いしていることは事実です。
御社は、お客さまにはわからないレベルというか、細部の細部まで考え抜いて製品開発を行っていらっしゃるので、そこに対するこだわりや品質の良さを弊社としてもしっかりデザインに反映させたいという思いがあります。
考えているパッケージのアルミ化でもぜひお力を借りたいのですが、販促物や資料など「BABY & ME」にまつわる一切を統一的なデザインにしていきたいと思っています。その際にWEBもパンフレットも、文章で説明する代わりに、よりビジュアルを生かしたデザインでの提案をしていただけたらと思っています。今やビジュアルが言葉みたいなところがありますよね。
ビジュアルコミュニケーションですね。
はい。でも「BABY&ME」はアルミになっても築き上げた世界観は変えたくありません。それこそデザインの力が必要です。
世界観、統一感というのはとても大切です。それがなくなるということは、言葉と同じで一貫性がなくなったりブレることになって信頼されにくくなるということ。今後もブレストを重ねながらいいものを作り、お客さまにも喜んでいただきたいですね。
よろしくお願いします。御社と一緒にやらせていただくようになって、デザインの力を信じられるようになりました。すべてを受け入れて消化して昇華する。しっかり考えてすごく新しいアイディアで返してくれるから、こうきたかという楽しみもあって。
今後とも御社の発展に貢献できるように取り組んでいきますので、どうぞよろしくお願いします。
自分たちでは思いつかないところに、ぽーんと連れて行ってください。
ぜひお連れしたいと思います。今日はありがとうございました。
ご協力いただいた企業様
株式会社パートナーズ
代表取締役 細川 忠宏様
BABY&ME WEB SITE
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BRANDING / LOGO / WEB / GRAPHIC
「デザインとはこういうもの」と決めつけず
トライ&エラーで納得のベストに導いてくれる。
株式会社インテージヘルスケアは、ヘルスケア領域に特化した マーケティング・リサーチ会社です。
医療従事者と医療消費者、双方からアプローチできる医療データを整え、業界ではオンリーワンとも言える位置を確立されていらっしゃいます。パンフレットビジュアル、アイコンロゴ制作、『Datalympic 2018』のデザインのお手伝いなどをさせていただきました。
そうでしたね。以前は違う会社さんにお世話になっていて、わりと長い間、無難なデザインでやっていました。でも「少しテイストを変えて、うちらしさみたいなものをデザインでも表現できたらいいよねという話が持ち上がりまして。それでいろいろな会社さんのHPを検索して、御社を知ったというのが経緯です。3社に絞って、最終的に御社に決めました。
そもそも「テイストを変えたい」から始まった話ですから、まずそこがしっくりきたことですね。HPの実績もとても見やすく、非常にテイストがつかみやすかったです。
あとは予算感ですね。やりたいことはいろいろありますが、予算度外視というわけにはいきません。実際、パンフレットのビジュアル制作という小さなお願いからのスタートでした。
一度にあれもこれもではなく、こちらのタイミングを聞きながら進めてもらえるのはありがたいです。それと柔軟性。大概3案くらい作っていただいた中から、どれかひとつ選ぶという話になりがちじゃないですか。ときには消去法で「これかなぁ」みたいなことも。それが御社の場合はなくて、「ここをもうちょっと」みたいな話ができる。調整してもらえる余地があるというか。「ぼやっとしたイメージでこんな感じ」という要望も汲み取って柔軟にやってくれる感触があります。
「おっしゃっていることはわからなくはないんですが、これってデザインなんで」とか「デザインってそういうものなんで」みたいなことは一切言いませんよね。
もちろんプロが作って来てくれるものなので、完成形であるのはこちらも十分わかっているんです。
わかってはいるんですけれど、「ちょっとこここうしてみたい」っていうのがあるじゃないですか。
丁寧なヒアリングからもそれは伝わってきます。
トライ&エラーで進めてくれるのはありがたいです。
はい、以前のあれもこれも感が嘘のように、黒ベースにボタンだけになっちゃいました。
でも何ごともドラスティックに変えると「前のほうがよかった」という人が必ず出るもの。
そっちに慣れているので。でもそういう意見は全然出てきません。
僕はそれってすごいことだと思うんですよね。「めちゃめちゃよかったね」という声はありませんが、十分受け入れられたと捉えています。
(以下、谷口さん)
もう誰も、以前の画面には戻れないと思います(笑)。私自身は昨年応募した『Datalympic 2018』のコンテンツ作りで密にお世話になりました。101社の応募作品から決勝5社に残り、優秀賞に輝くことができました。御社のデザインの力なくしてはあり得なかったと思います。
あっ、そうですね。弊社ではアンケートデータの一部をWingArc 1st社のMotionBoardというBIツールを使ってクライアントに提供しています。MotionBoardは膨大なデータの可視化機能に優れており、弊社の多様なデータを自在に分析できる仕組みを作っています。
『Datalympic 2018』はそのMotionBoardを使うことでデータにどんな価値を与えて世の中に貢献できるかを募ったコンテストでした。「社会貢献」「テクニカル」など5つの審査基準があったのですが、「デザイン」も審査基準のひとつでした。
それも「人の気持ちを動かすようなデザイン」という但し書きがついていました。
データをグラフにしたりは自分たちでもできることですが、やはり見せ方には限界があり、このまま応募してもいいのだろうかという思いがあって、相談させていただきました。
「丁寧にわかりやすく」というご意見をいただき、普段当たり前に使っている医療用語や、社内では普通に伝わってしまう専門的な事柄ひとつひとつ見直しました。
おかげさまで『データからだLIBRARY』と称して、医療オープンデータを活用してセルフケアを促すダッシュボードを作ることができました。「痛風ダッシュボード」とか「肺がんダッシュボード」とか。日本には無料で使える医療オープンデータがたくさんあるのですが、まだまだデータのプロが見ても難しいものがほとんど。それがまさにデザインの力で、誰もが簡単に確認できるボードになりました。
色の使い方、余白の取り方etc.「さすがプロだな」と思うことしきりで。
応募にあたっては、デザインの部分ではかなりの自信をもって臨むことができました。
はい。東大にはデータを提供していただいて、「病気が気になったら見てねチーム」で参加しました。東大の方々も、「難しいデータも、デザインでこんなふうに見せられるんだね。すごいね」と喜んでいました。
(佐藤さん)
あります(笑)。量的にそこそこの発注ができてきているので、それにあわせて「コストパフォーマンスがよくなっていく」みたいな話があると、スタッフ部門を納得させやすいというか。同じ会社さんに集中してお願いしていると、社内プロセス上「ちゃんと精査しているのか」という話はどうしても出てきてしまうので。デザインがいいからだけだと、正直理由になりにくいところがあります。
(谷口さん)
『Datalympic 2018」でも感じましたが、作るにあたってわからないことはわからないと聞いてくださり、理解してデザインに反映していただけるのはありがたいです。
曖昧にせずにやってもらえる安心感があります。これからも密なコミュニケーションを取りながらご一緒できたらと思っています。
ご協力いただいた企業様
株式会社インテージヘルスケア
執行役員 リサーチコンサルタント 佐藤暢章様
アソシエイトディレクター 谷口絵里香様
(2019.4に株式会社アンテリオさまから社名変更)
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BRANDING / LOGO / GRAPHIC / OTHER
弊社の本質や中身に特化したものを
作っていただいたと感じています。
株式会社オオスミは1968年の設立以来、環境分析から環境調査・測定や環境コンサルティング等のサービスを提供されています。今回は社の創立50周年記念に際して、ロゴを足掛かりに封筒や名刺、記念誌(ブランドブック)制作等の総合的なブランディングをお手伝いさせていただきました。
まずは50周年と言う節目で、何かインパクトがあるものを打ち出したかった。ただ全くゼロからではなく、今まで辿ってきた会社の歴史を大切にしながら次のステップに進みたかったので、デザインエイエムさんには非常に親身になっていただいて、良いアイデアをたくさんもらいましたね。(大角様)
元々、溝田さんとは10年以上のお付き合いになりますが、それは抜きにして(笑)。今回は他のデザイン会社に依頼するという選択肢はなかったです。もちろん弊社でも色々なデザイナーさんや、イラストレーターさんとのお付き合いはありますが、トータルブランディングと言う大きな観点で制作を委ねられる先を考えた時、デザインエイエムさん以外に依頼しようと思わなかったんですよね。(大角様)
はい、そこに迷いはなかったです。ただ弊社にとって初の試みで、何をどうしていいか分からなかったり、どれ位の費用や制作日数がかかるのか全く分からなかったので、デザインエイエムさんには一から相談に乗ってもらいましたね。(大角様)
表現の角度が全然違うと思います。別の会社とのお付き合いもありますが、これまでは「印刷物」「Web」等、決まった枠ありきの制作でした。今回デザインエイエムさんには、弊社の本質や中身に特化したものを作っていただいたと感じています。(大角様)
良かったところは、たくさんありましたよ。例えば、デザイン案にしても社内である程度選考を重ね、その中から選りすぐりのものに絞ってお勧めしていただけると言うのは非常に助かりましたね。後は、打ち合わせを密に出来た事。毎回惜しみなく弊社まで足を運んでもらいましたから、電話やメールでは語りきれない雰囲気や微妙なニュアンスも一生懸命ヒアリングしてくれたと感じています。(大角様)
デザインエイエムさんは、会社を掘り起こしてくれるんですよ。弊社側で「そうだよね、私達の会社って、そういう良いところがあったよね」と改めて感じることが出来、その上でのデザインが上がってきたのがすごく嬉しかったです。デザインエイエムさんの気持ちがこもっているのが、伝わってきました。(友広様)
前のロゴを忘れちゃう位、もうこのロゴのデザインが良かったです(笑)。「これが良い!」と、感じました。(大角様)
私も同じく。社内のアンケートでも、ダントツでこのロゴが人気でした。(友広様)
ロゴ制作やブランディングを依頼したもう一つの目的として、新入社員や若い人達、外部の方達から憧れの会社として見てもらいたいと言う思いがありましたから、そう言う声が出てくるのは非常にありがたいですね。(大角様)
それが新しいロゴに全く抵抗感がなくて。もう元には戻れないでしょうね(笑)(大角社様)
弊社の方向性とぴったりあってスムーズに私達の中に入って来てくれました。(友広様)
私は毎月100~200名程度の方と名刺交換しますが、必ず最初に「素敵な名刺ですね!」と褒められますよ。(大角様)
営業担当からも「お客様からお褒めいただいた」と言う声を良く聞きます。(友広様)
ステージを上げていかなければいけない、と気持ちが引き締まりました。これまでも「地球に貢献していく」と言う想いがありましたが本当の意味でそれを再認識出来たと思います。更に海外に向けても地球環境に貢献していこうと思いますよ。(大角様)
本当に労を惜しまず、コミュニケーションを取ってくれたと思いますね。毎月弊社に足を運んでもらいましたし、50周年記念の大切な節目に一本筋が通ったものを作っていただいたと感謝しています。(友広様)
デザインエイエムさんとの打ち合わせは毎回毎回、何かしらの提案やアイデアが生まれて非常に面白かった。なかでも弊社の50周年記念誌は、ありふれたものにはしたくなかったんですよね。これで正解だったと思うし、私の思いも盛り込んでもらいました。また提案していただいたイラストが非常に印象的で、最初に見た時にもうこれ以外の選択肢はないなと感じたんですよ。そう言う驚きの出会いを幾つもいただけたと感じています。(大角様)
記念誌のご提案は、こんなやり方があるんだなって言う驚きがありました。出来上がった記念誌には、オーガニックのイメージや愛らしさもありました。提案してもらって、本当に良かったです。(友広様)
オオスミとしては今後も使命を果たしていく、と言う事に集中していきたいです。それは独りよがりではいけないし、お客様だけではなくBtoB同士でも最終的にオオスミのファンになっていただくと言う目標がありますね。
ちなみに、うちはある意味デザインエイエムさんの広告塔でもあるんですよ(笑)先日も記念誌をある会で配布したら「これ、誰にやってもらったの?!紹介して」とその場で溝田さんへ連絡をした事もあります。今後もデザインエイエムさんには更にうちの社員以上にうちの社の事を知ってもらい、ご協力をお願いしたいですね。(大角様)
ご協力いただいた企業様
株式会社オオスミ
代表取締役 大角 武志様
営業グループ営業企画 友広 洋子様
株式会社オオスミ様 WEB SITE
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BRANDING / LOGO / GRAPHIC / OTHER
ロゴは企業の顔。しっかりバックグラウンドを秘めつつ
一度で覚えてもらえる顔を作ってもらいました。
いい顔で、いい仕事してくれています。
株式会社ネオスは、スマートフォン向けのコンテンツサービスなどを提供するIT関連企業です。2012年、前身のプライムワークス(株)と子会社であったカタリスト・モバイル(株)の合併を機に社名を変更され、ロゴマーク・名刺・封筒及び紙袋制作のご依頼をいただきました。弊社はプライムワークス創業時からお付き合いをさせていただいています。
はい、プライムワークスを設立して2ヶ月くらいの頃で、プライムのPとワークスのWをマークにした名刺をお渡ししたのを覚えています。ただ、それは“とりあえず作った”もので、会社のロゴはちゃんとデザインしたいし、名刺もそれなりに凝ったものを作ろうと決めていました。だからデザインエイエムさんにお願いしたわけですが、僕はかつてNECという大きな会社にいて、3文字のロゴがもたらすブランド力を身をもって知っていました。「会社を上場させるぞ!」とも思っていたので、それに向けたことをしなければいけない。それにはロゴがなくては始まらないくらいに、思っていました。
そこのところは、株式会社ネオスとなった今も変わっていません。技術とコンテンツという言葉自体は平凡ですが、当初から左脳的な技術の世界と右脳的な感覚の世界を融合することで、新しいものやことは生まれていく確信はありました。プライムワークスのロゴを作っていただいたときも、そこを深く理解してくれて、非常にいいデザインで融合を表現してくれました。ネオスのロゴも、迷うことなく御社にお願いした次第です。
せっかく作ってもらったロゴだったのですが、みんなが前の会社への執着を捨てて次のところに行かないとなかなかひとつにならないなというのもあって、思い切って社名を変更しました。本当に短い期間でお願いして、ここまでクオリティの高いものを提出していただけるとは!というのが正直な感想でした。クールなブルーと温かみのあるピンクの2色でしなやかにからみあう曲線、それも無限大の掛け算のようなデザインで技術とコンテンツの融合を見事に表現してくれました。名刺の印字されている社名にはオリジナルフォントを作ってくれていて、「ブルーの曲線は実はネオスのN」なんていう心憎い演出もあったりしてね。
細かな調整はお願いしましたけれど、心から満足しています。ケチケチしなくてよかったって思ってますよ。
最初、変わったことに驚かれはしましたが、わりとすんなり受け入れられました。我々の仕事はプレゼンの機会が多いじゃないですか。ある意味ロゴは重要な商談というか、営業の武器でなくてはなりません。資料には必ずロゴマークを前面に入れるんですけれど、堅い印象のロゴが多いIT業界の中で、この柔らかさ。エッジがどこにも効いてないのに、ぱっと見た目で訴える、いい仕事をしてくれています。
名刺も封筒も、人が触るわけですよね。大切なつなぐツールでもあるわけで、“触れた”ときの感覚が、心地いいほうがいいじゃないですか。これは秘書が言っていたことなんですけれど、お客様から「丁寧ですね」と言われると。いろいろな会社さんを見ているお客さんにそう言ってもらえるのは、嬉しいですよね。紙袋はあまりにも人気で無くなりすぎる現象が起きていまして…。紙袋も大切なアウトプットツールなのですが、減りが早すぎるのがタマにきずです、コスト的に(笑)。
ははは。まぁ、それにしてもデザインで食っていくというのは凄いことだなと思います。うちもWEBデザインの部署がありますが、優秀なデザイナーを採用するのは大変なことです。僕は2度ロゴを作ってもらったけれど、御社の魅力は、何よりバックグラウンドとかコンセプトをしっかり聞いて理解してくれることだと思う。もちろんデザインの良さって、見た目いいとか悪いとかもありますが、やっぱり発想の元を何にするかが大事。デザインワークの価値はいちばんそこにあると思うんですよね。
こちらこそ。
ご協力いただいた企業様
ネオス株式会社
代表取締役社長
池田 昌史様
ネオス株式会社様 WEB SITE
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BRANDING / LOGO / WEB / GRAPHIC / OTHER
どんなに優秀なデザイナーと言われても
それだけでは一緒に仕事をしようとは思わない。
合う、合わないがあって当然だから。
溝田さんはビジネスの垣根を超えた
ものづくりをしてくれる人。
僕のクリエイティブ魂は嬉しくて振るえっぱなしだった
公開から4年半、映画「うまれる」はすでに40万人の観客を動員し、二作目の「うまれる ずっと、いっしょ。」も全国各地で上映会が続いています。監督は「命と家族と絆」をテーマに、関係性のドキュメントに焦点を当てることを常とする豪田トモ氏。デザインエイエムでは代表の溝田がアートディレクターとしてタイトルロゴに始まり、本編内の文字デザインから、告知・宣伝用のウェブサイト、チラシ、ポスターなどの各種デザインをお手伝いさせていただきました。出演の方々はもちろん、外のスタッフとの“関係性”にも心を配る豪田監督との時間は「濃密で豊かな時間だった」と語る溝田ですが、監督ご自身にも当時を振り返りながらお話を伺いました。
ありがとうございます。「命と家族と絆」というテーマは、本当に広くて深く、到底一作品では表現しきれません。2040年までシリーズでつくり続けていきたいと思っています。一作目、二作目ともにドキュメンタリーになりましたが、この先は役者さんを立てるかもしれないし、アニメ版「うまれる」ができるかもしれません。「うまれる」が公開した2010年に生まれた子どもが30年後、親になる頃まで、いろいろなパターンでつくってみたいと思っています。溝田さんにはアートディレクターとしてコンセプトづくりから入っていただきましたが、定例会にも参加してもらい、一緒につくりあげた感が本当に強いです。
なぜ溝田さんにお願いしたか。我々がやろうとしている企画に対して理解をし、共感をし、一緒に考えてくれる「同志」としての感覚を覚えたからです。何人か他の方とも話をしましたが、僕には群を抜いて波長の合う人でした。
沖縄ロケでした。言葉だと表現しきれませんが、その時も作品に対して絶対的なものをつくるんだという、互いのクリエイティブ魂がすごく合う人だと思いました。これはあくまでも持論ですが、ビジネスだけで一緒に何かを作った時って、結果はせいぜい超高層ビルの高さがMAXだと思うんです。それが「同志」になると、雲の上まで突き抜けて行く可能性が出てくる。普段のフィールドは違っても「同志」のような感覚がものづくりにはとても必要なことだと思います。
結局、ロゴ、タイトル、パンフレット、メインビジュアル、Webサイト、ポスター、チラシ、映画内エンドロール、書籍の装丁等々、デザイナーが必要なところは全部お願いしました。溝田さんは「映画の仕事は初めてだ」とおっしゃっていましたが。
不安どころか、わくわくでした。映画というフィールドは、大きいといえば大きいですが、厳密に言えば細かい仕事です。あれも作って、これも作って、それもデザインして。本来であれば「こんなイメージで」とか、「文字数はこれくらいで」とか、ディレクションを必要とするところも、溝田さんは僕の考えを“2”伝えると“10”わかってくれる人です。残りの“8”の説明を省けるからいいという意味ではなく、曖昧な部分も感じとってくれるという意味です。それはふたりの波長が合うからで、他の人がどうかはわかりませんが、「僕はそうでした」とお伝えしておきたいですね。
一番感じたのはデザイナーの枠を超えた仕事ぶりですね。彼の頭の中にあるのは、どうデザインするかとか、どうレイアウトするかではなく、どう伝えるか、どうしたら伝わるか。視点が深いんです。たとえば一作目の「うまれる」は、18トリソミーという障害を持ってうまれた、虎ちゃんという小さなお子さんを育てるご家族の写真をメインビジュアルにしました。虎ちゃんは一生涯、言葉を話す事が出来ないと言われているんですが、映画のコピーを考えるとき、溝田さんは「虎ちゃんがもし言葉を発することができるとしたら、彼は何が言いたいだろう」ということにまで踏み込んで考えてくれていました。ご提案いただくすべてのことに気持ちがこもっていて、はっとしたり、ぐっときたり。おかげで添えた題字の「うまれる」にも生命が宿るビジュアルとなりました。
実際その通りでしたし、溝田さんはふだん口数が少ないだけに、しゃべったときの説得力がハンパない。的を得ているし。実は僕、二作目の「うまれる ずっと、いっしょ。」のテスト試写の時に、溝田さんにばっさりと斬られましてね。でも、あそこで斬られたからこそ、作品の完成度がぐっと上がったんです。
テスト試写とは、公開前に一般の人にフィルムを見てもらって忌憚のない意見や感想を聞く場です。料理が出来上がる前に食べてもらうようなものなので、どの監督も完成前テスト試写をやる事はたいがい嫌がりますよね。
ははは。斬られて痛かったですよ。
「うまれる ずっと、いっしょ。」は3組の家族のドキュメンタリーで、そのうちのひとつが、奥さんに先立たれて泣き暮らしていた65歳の男性が、悲しみの底から回復していくお話。実際、その男性はカメラを回している間、特に最初の頃はずっと泣かれていました。当然、試写のスクリーンに映し出されるほとんどが泣き顔でした。それを見た溝田さんは、「いい大人がめそめそ泣いている話は、あんまり惹きつけられない」とばっさり。おっしゃる通り。溝田さんの一言で「ああ、そういう視点もあるのか」と考えることができ、方向性を変えることもできました。「いい大人のめそめそ」が必要以上に観客の脳裏に焼き付き、試写の時の溝田さんと同じように感じる人がいたら不本意です。どの仕事もそうだと思いますが、「違う」という指摘があった時、どう対応できるかって大事だなと改めて思いました。
題字のデザインは本当にたくさんの方が「いいですね」と言ってくださっています。「この映画にとっても合っていますね」とも。「うまれる」という字に込めた意味ですが、“点と点を結ぶラインはそれぞれの人生。命をつなぐへその緒でもある”なんていうところまで、溝田さんが考えてデザインしたとまではみなさん知りません。それでも無意識のレベルで何かを感じ取ってくれているから、そう言ってくれるのだと思います。
あとは「ドキュメンタリー映画なのに映像がきれい」と言ってくださる方も多いです。素人の方でも作ろうと思えば作れないことはないドキュメンタリー映画って、とかく低予算で泥臭い映像になりがちですが、デザインワークによって統一感が出たことで、全体のイメージ・レベルがきゅっと上がったのも確かです。
僕の中には継続的にこうしたテーマで作品を世に出すことで、何かしらのお役に立てたらという気持ちがあります。当然、溝田さんともまたご一緒させていただきたいと思っています。でも、作品によっては他の方にお願いすることもあるかと。それでわだかまりができる人ではないし、信頼関係が壊れることもないと思います。期待することは「いままで通りで変わらないでください」ですね。
ご協力いただいた企業様
映画「うまれる」シリーズ 企画・監督・撮影
豪田トモ様
「人と地球に優しい映像」をテーマとした映像プロダクション「インディゴ・フィルムズ」代表。1973年、東京都生まれ。大学卒業後6年間のサラリーマン生活を経て、29歳でカナダへ渡り4年間映画製作を学ぶ。在カナダ時に制作した短編映画は日本、バンクーバー、トロントなど数々の映画祭にて入選。帰国後はフリーランスの映像クリエイターとして、テレビ向けドキュメンタリーやプロモーション映像を手掛け、2008年秋よりドキュメンタリー映画「うまれる」の製作を開始。著書に「うまれる かけがえのない、あなたへ」(PHP研究所)、「えらんでうまれてきたよ」(二見書房)がある。
ドキュメンタリー映画『うまれる』 WEB SITE
ドキュメンタリー映画『うまれる ずっと、いっしょ。』 WEB SITE
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LOGO / GRAPHIC
何の意味もなかった安易なロゴから
意味を持った世界観のあるロゴにスイッチ。
ホームページの作り替えも功を奏して
売り上げも利益も上がっています。
「次々と新しい世界に飛び込んだことで今の僕が存在します。広告制作は、楽曲制作と通じる部分が多い」と語る、株式会社エスプロックス(総合広告代理店)社長の鎌倉圭氏は、シンガーソングライターや税理士の顔を持ち、お笑い芸能プロダクションの代表も務める異色の存在。初めてご依頼をいただいたのは2012年、名刺と封筒のデザイン制作でした。その後、「ロゴを新しくしたい」というお話をいただき、ホームページも一新。「自由な発想で仕事も人生もおもしろくしていきたい」という鎌倉さんを前に、デザインエイエムも思い切ったクリエイティブをさせていただきました。
まぁ、そんな奴は滅多にいませんからね。音楽は高校時代に始めましたが、それは趣味の世界。上京してからも路上やライブハウスで歌うも、将来の目標は税理士でした。7年間は税理士の資格取得に向けて猛勉強。誰とも口を聞かない日もあるくらい部屋にこもって勉強していました。ところが、ネット上で公開した音源が音楽配信サイトの週間ランキングで上位を獲得するなんてことが起こりまして…。税理士試験に合格した直後にCDデビューが決まるという奇跡が降ってきたんです。2007年でした。
同じ年に僕は、自分の音楽活動を制作・広告・管理するために音楽制作会社を設立しました。その広告活動で大いに活用したのがSNS。SNSを使って独自のプロモーションを展開したのですが、いつしかそのプロモーションの仕方に興味をもつ企業が増え「うちも」「うちも」と依頼が来るようになり、2009年にSPROXと社名を変えて広告代理店事業を始めた次第です。その時に作ったのが以前のロゴで、暇な会議の最中に下書きしてひょいひょいと作ったものでした。そこには何の思い入れもなく、安易な作り方にむしろコンプレックスを抱いていたくらいです。とはいえロゴは会社の顔。変えるに変えられず、デザインエイエムさんにはそのロゴで名刺と封筒制作をお願いしました。
名刺はカッターナイフの刃のような形で、封筒は右肩上がりの定形外。どちらも鋭角的で印刷会社も驚きました。自分でsadisticと言っておきながら「鋭すぎやしないか」と一瞬躊躇もしました。でも、眺めているうちに実はものすごくシンプルで品があることに気づかされ、「こんなふうに作ってくれるところはない」と御社の提案力に感動したことを覚えています。しかも変形でありながら、名刺入れにはちょうどよく収まるサイズ感。行き届いた細やかさに、ただのデザイン会社ではないと言われる一辺を垣間見ました。
あっちからもこっちからも上々でした。日頃僕は、広告は企業存続のためには必要なファクターだと申し上げていますが、名刺や封筒も広告だと改めて感じました。 だからこそ、自作のロゴに対するコンプレックスが一層拭えなくなってしまったのも事実です。加えて、時代がどんどん変わってきていること、僕自身が35歳になって尖ってばかりいられなくなったこと、オフィスが松濤に移転し名刺を作り直す必要があったこと、ホームページの作り替えをしたかったことなどが重なって、ロゴを変えるにもいい機会が巡ってきました。ロゴ制作に多大な実績を持つ御社に、迷うことなくお願いしました。
新しいオフィスの最寄り駅は渋谷。駅を降りスクランブル交差点を渡って、オフィスに着くまでのおよそ500メートルの世界は、広告で溢れ返っていました。看板、ポスター、ネオンサイン、チラシ、流れる音楽、配られるティッシュ、ひいてはアドバスやアドトラックまで…。これだけの広告がありながら、どれだけの人の目に触れ、どれだけの効果を生んでいるのだろうか。そんなことを思いながら溝田さんには、SPROXが作った広告で渋谷駅をジャックしたいくらいの思いでいることを伝えました。結果生まれたのが、SPROXの「O」を目玉に例えた斬新なロゴ。そこには人の目に触れる広告の意が込められています。商標登録もしました。商標登録の申請まできっちりやっていただけるのは心強い限りです。ホームページのトビラは、SPROXの目玉が渋谷の街をジャックしたデザインになっていますので、そちらもぜひ見ていただけたらと思います。
費用対効果を実現できています。げん担ぎみたいですけれど、やっぱりお金をかけた分だけ返ってくる気がします。それとちゃんとしたところに頼んでやってもらうと、名刺一枚出すにもスピード感が違います。自信を持って出せるからです。ケチって自分で作って、後ろめたさを感じるロゴを使っていた頃との違いは歴然です。
また、外のデザイナーに頼むからこそ、センスよく客観的に見てもらえることも、費用の一部だと思います。ましてや溝田さんは、ブランディングまでしている稀少なデザイナーです。だからロゴに関しても、僕は最終決定を溝田さんに委ねました。「溝田さんがいちばんいいと思っているのにしてください」と。もっとも大事なことは、社員がどう思うかではなくて、見ず知らずの人にいかに「かっこいい」「なんかいい」と思ってもらえるか。音楽もそうですが、内輪受けだけでは発展はありません。
僕は今後、会社名が変わることがあっても、このロゴは残せるなと思っています。ここまでの自分の仕事人生を振り返ると、税理士をのぞけば、シンガーソングライターも広告代理店事業もお笑いプロダクションも音楽事務所も、「やってくれないか」と頼まれたことばかり。会社名が変わることくらい十分あり得るビジネス展開ですが、会社は「目玉のマーク」でずっと行きます。
ご協力いただいた企業様
株式会社エスプロックス
代表取締役社長 鎌倉 圭様
1979年、長野県生まれ。高校時代にバンド活動を始め18歳で上京。税理士を目指しながら、ライブハウスやストリートで音楽活動を続ける。2006年、税理士試験に合格。その1週間後に、CDデビューが決まる。2007年、メモリーソング株式会社(現:株式会社エスプロックス)を設立し、代表取締役社長に就任。2008年、2ndアルバムの「Social Network」が、iTunesチャート1位を獲得し、その年のiTunes・ベスト・インディーズアルバムを受賞。その後、広告代理店、税理士事務所、お笑い芸能プロダクション、音楽事務所を設立して業務を拡大。2012年には初の著作「ミクシィ、グリー、モバゲー、フェイスブックで売り上げを2倍にする方法」を上梓。
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BRANDING / LOGO / WEB / GRAPHIC
到底一人では叶わなかった
最高のリブランディングができました。
そして、営業も社員の志気もまったく変わりました。
既存建物の「解体」「改装」「再生」を事業の3本柱として、数多の安全施行実績を積んできた株式会社アキヤマ。「ホームページを変えたい」というご依頼に、弊社は「ロゴマークを変える」というご提案を加えさせていただきました。秋山社長のお話を聞くにつれ、社長の思いとロゴとホームページが三位一体となることで、ゆるぎない発進力が生まれると感じたからです。時に、ご依頼の枠を超えたご提案をさせていただく弊社ですが、心掛けているのはお客様が「YES」も「NO」も躊躇なく言える場づくり。本音勝負の秋山社長のおかげで、弊社としても理想的な仕事をさせていただきました。
企業の生命力は30年と言われます。そんななかで我が社は15周年という極めて重要な節目の年を迎えようとしていた時でした。会社の業績は順調だけれど、この先の100年続く経営をどう展開していくべきか。ここでじっくり考え、しっかり発信していかなければと思い、事業方針を再構築しホームページの一新をお願いした次第です。
アキヤマの同業者は腐るほどいます。熾烈な世界ですが、安全品質や気配り施工の推進に信念を込めて取り組み、右肩上がりで業績を伸ばしてきました。ただ、「企業ブランド」や「発信」ということに対しては、知識も考えとても浅かったと思います。見事なリードで、そこに気づかせてくれたのが溝田明というひとりのデザイナー。ロゴを変えるなんていう発想は、私には全くなく、最初に「この際ロゴマークを変えませんか」と言われたときは、「はっ? どういうこと」と思いました。15年使ってきた愛着もあります。このままでもいいのではないかと…。一瞬「頼んでないぞ」とも思いました。
「自分たちのポリシーをそこに刻むことで、ロゴは意味を持ち、ロゴは生かされていく」という話を聞いて、その通りだと思ったからです。世の中にロゴマークはあふれています。でもそのなかに、会社のコンセプトや立ち位置を明確にしているものはどれだけあるでしょうか。
提案いただいたロゴのデザインは、アキヤマのポリシーが表現され、目指す象徴的な姿をしていました。溝田さんからは「Aクラスの象徴である3つのA(トリプルA)に、解体・改装・再生の3つの事業が重なり合ってバランスをとりながら、上へ上へと高く伸びていく様子を表現しました」と説明を受け、一瞬で刺さりました。これほどシンプルなマークに、これほど深い思いを込められるものかと、デザインエイエムの真骨頂を見せられ、100%OKの「YES」とともにアキヤマのブランディングはスタートしました。
ロゴを変えることになり、ホームページの刷新にも士気が上がりました。俺たちの職業はデザインなんてものとはほど遠い存在だけれど、やるなら今のものを取り入れて、5年10年対応できるものを整えようじゃないかと。そしてロゴとホームページは一緒じゃなかったら、ここまで明確な発信はできなかったと言いきれます。
戦国武将たちは紋章を愛し、また藩旗を掲げて戦国時代に臨みました。ロゴを作ってもらって、私は似たようなものを感じました。我々は戦に出るわけではないけれど、ロゴは一致団結して仕事や活動をしていくためのリード。日本人にはこういうシンボルを重んじるDNAがある。多くの人がそこ気づいて、それを受け入れて発信していったらいいと思いますね。実際これができてから発信力が違います。
それからもうひとつ、ロゴはプライドの象徴だと思います。自慢や満足をさすプライドじゃありませんよ。自分自身の中で確固たるものをもつという意味でのプライドです。ビジネスにおいて人に認められるには、プライドは絶対必要なものです。
余談ですけれど、ゴルフボールはこのロゴをピンに向けてショットすると、会社も真っ直ぐ飛距離を伸ばしていけそうなナイスショットな気がします(笑)。タオルは特に職人に好評で、これで汗を拭くと現場で気合いが入るらしいです。デザインの力って、すごいですね。
ヒアリングをしていただきながら、私は「あれを出したい」「これも出したい」と言いました。すると溝田さんは「これは削ぎましょう」「これを省きましょう」と来る。こっちは「足したい」といっているのに。でもね、削ぐ作業をしていくと、確信が見えてくるんです、本当に。発信に必要なことって、いかに早く的確に伝えるか。確信に迫ると、本質が見えてくることを思い知りました。で、ホームページやパンフレットを見た時、人が知りたいのは、アキヤマが何をしてくれるのかです。専門用語を並べ立てた説明なんて、いらないのです。おかげで私の頭の中も整理できました。無駄を省き、伝えたいものをきちっと伝えることに徹した結果、社員にも、他者にも非常にわかりやすいものができあがりました。溝田さんはデザイナーである前に、名プロデューサー。本人は嫌がるかもしれないけれど、天才です。
あります。ロゴも会社案内もホームページも、大いなるきっかけになってくれています。我々の職業は静脈の産業です。美しくもなく、憧れの対象じゃありません。そんななかでこのロゴを見て「何屋さんですか」って聞かれること自体が、まずひとつの効果です。「社長の話とこのロゴってぶれがなくて、説得力がある」とも言われます。紙の質にもこだわった会社案内の印象も上々です。解体現場で働く男たちには10代もいます。自分の息子がアキヤマで働くことに親御さんたちにも安心してもらいたい。会社案内にはそういう気持ちも込めました。
人間には自分が最初に「いい」と思ったものに対し、「やっぱりいい」と納得したい心理があります。そして納得には安心が伴います。たとえば同業10社のパンフレットを見て「アキヤマがよさそう」と思ってくれたとします。次にホームページを見て中身がよければ「よさそう」が、「やっぱり、ここがいい」に変わります。よい中身とは、この会社は自分たちに何をしてくれるのか明確なことです。
さらに誤解を恐れずに言うと、我々の発進力で企業も人も勝手に期待を寄せてくれます。そういう意味では、営業が全く変わりました。もちろん実行が伴わなければ言語道断です。今後、我々はアキヤマのトリプルAをますます確実なものに磨き上げていかなければなりません。
中身がよければいい。大切なのはそれに見合う意識改革をもたらしたか、社員が誇りを感じてくれるかです。統一感のある最高のツールを作ってもらって、私自身の意識が変わったことだって、十分な費用対効果です。それに作って終わりではありません。作ってもらったツールを、どう自分の誇りにしていくか。どう繰り返し発信していくかはこっちの問題です。自分が明確にしたポリシーに負けないよう、トリプルAを常に意識しながら突き進んでいきます。そのための発信の場として、会議室のコンセプトもデザインも一新しました。
ここは、作っていただいたツールを活かしてアキヤマを発信していく場所です。ソファに座りながら、65インチの画面を見ながらお客様をもてなし当社のパフォーマンスを最大に発揮できれば、かかった費用がどうのなんて飛んでしまいます。ここに来るとみんなすごいんです、意見が。普通の会議室では出ないような意見がバンバン出るんです。
社員同士も大きな画面を共有してミーティングをしていると、クライアントへの興味も深くなるし、共通した認識が持てます。私の中には以前から、社員と協力して事業の魅力を高め、それを社会貢献につなげていきたいという思いがあります。それが、リブランディングによって確実なものになったこともお伝えしておきますね。クリエイティブで粋な土建屋で人を幸せにしていきます。
ご協力いただいた企業様
株式会社アキヤマ
東京都世田谷区玉川台2-3-20 第5YNビル5F
TEL/03-5491-4422
株式会社アキヤマ様 WEB SITE
株式会社アキヤマ 代表取締役
秋山 延久様
1999年に株式会社アキヤマを設立。
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LOGO / WEB / GRAPHIC
封を開けたくなるデザインの封筒は
優秀な営業マンです。
ニュースレターひとつをとっても、
ロゴの入ったきちんとした封筒で送ると、反応が違います。
近年は士業事務所専門にロゴを制作するデザイン会社もある中で、弊社を選んでくださった特定社会保険労務士の片野誠様。伺ったところ「誠」さんは、「短くて簡単だから」「呼びやすいから」という理由からの命名とか。「うちの親父らしい」と語る片野さんですが、お目にかかってこれほど「誠」という字が似合う方はいないと感じました。ロゴマークを筆頭に、名刺、2種類の封筒、ドアプレート、半纏作りをお手伝いさせていただいたのは2011年のこと。九段下駅から徒歩1分の好立地に事務所を構えた時期でした。
確かに手軽に安く作れる時代ですが、私自身はそこに魅力を感じません。それなら自分で作るよという感じですね。実際、独立当初は先輩の事務所で間借り。フォトショップを使った自作のロゴからのスタートでした。封筒はただの茶封筒。もちろんそれでいいとは思っていませんでしたが、手軽さに飛びつく気持ちはありませんでした。ロゴは分身ですから。そうかといって資金もなく、結局、手弁当のロゴと茶封筒でやっていました。溝田さんとの出会いがあったのは、自分で事務所を構える目処がたった頃でした。
その時点で溝田さんのキャリアはすでに20年を超えていました。「私はデザインしかできません。けっして安くはありません。でも、結構すごい仕事します」と、静かに語るその姿に私は一気に引き込まれました。それを高飛車だと感じる人もいるかもしれませんが、私は、むしろこう言える人にお願いしたいと心から思いました。実際、溝田さんのこれまでの実績はホームページを見れば瞭然です。けれど胡座はかかない。人間性で魅了する。見た目も中身もかっこいい。しかも溝田さんの言う「デザインしかできません」は、「とっておきのデザインしかできません」の意。お願いしてみてそれがよくわかりました。
大きくは2つ。まずヒアリング能力の高さですね。私自身のこと、仕事に対する思い、要望etc. アウトプットによって自分自身、頭の中を整理することができました。もうひとつは、プロフェッショナルならではの提案力。ロゴは100案以上出したものから5案に絞られ、なぜこのロゴなのかひとつひとつに納得の理由がありました。説明に偏りがなく、押しも全くありませんでした。今だに御社はどれがよかったのか存じ上げないくらいです。
結局どれも魅力的で、いちばんピンときたものを選ばせていただいたのですが、「片野さんはお名前もそうですけれど、誠実の誠という字がこれほど似合う人はいないと思っていました」の一言もとても響きました。私自身を見てくれた上での提案に喜びを感じましたし、実際、お客さんには誠心誠意つくしたいと毎日思っています。「誠」という文字を約2000年前の漢の時代をモチーフに仕立ててくれたところは、溝田デザインの奥深さを感じました。カラーに関しては「一点の曇りのない空色。嘘偽りのないブルーにしました」と。某印刷会社某デザイン会社の社長さんからは「青は青でもこの色はそうそう使わない」とお聞きしました。カラーも含めて自分だけのマークができました。
私がお祭り好きということで、半纏はノリで作ってしまった感はありますね。法被を着て出て来たら、「来るところ間違えました」になり兼ねません(笑)。でも殺風景になりがちな事務所のディスプレイになっていますし、「男は背中で語る」じゃないですけれど、見れば身が引き締まります。
とまあ半纏はお遊びですが、封筒はいつまでも茶封筒を使っているわけにいかず、「えいやー」で作りました。いきなりハイグレードになって、「片野事務所、そんなに儲かっているのか」と。でもそれによって値引き交渉が起こるということは一度もありませんでした。それどころか信用につながり、ロゴはもちろんですが、ツール類がブランディングに一役買うことを痛感しています。ドアプレートを作るにあたっては、わざわざドアの採寸にお越しいただきました。集合ビルのドアの規格なんて、どこも同じようなものであろうに。「これぐらいでいっか」のおおよそ仕事はしない。作り上げていく過程をも大事にするのが伝わってきた一コマでした。
すごく面白いと思いました。それも安心して選べる面白さ。品格を保った遊びゴコロ。これは溝田マジックですね。「なんですかこの封筒。いいですね。どこで、誰に?」と、他の用件ついでではなく、封筒の話をするためだけに大企業の長年お付き合いのあるクライアントさんから電話がかかってきたりもしました。「わぁ、素敵」と持ち帰った方もいました。今、お客さんに送るものは基本全部これを使っています。手触りよく、すっかりこの封筒じゃないと落ち着かなくなっています。
価格のことは正直よくわかりません。ただそれなりの専門家にこちらの思いを込めたものを作ってもらうとなったら、「安い」「高い」だけのジャッジは意味をなさないのではないでしょうか。私は、それ相応を支払ったがゆえに素晴らしいものを作ってもらえる体験をしました。
みなさんにお伝えするなら、まずは、作るか作らないかの選択。作るなら早めに。事業は生き物だからです。変なイメージを持たれる前に、ブランディングは最初からあったほうがいいと思います。ロゴや封筒が正しい印象を作り出してくれます。しかも唯一無二。ある意味オリジナリティの発揮どころです。
売り上げにもよりますが、2つあるホームページをどうにかしたいと思っています。以前ホームページビルダーを使って自分で作ったもので、実はロゴも入っていない状態です。ほかにも売り上げにつながる仕組み作りをあれこれ考えていて、統一感を持たせてやっていきたいと思っています。お手伝い願えたらと考えています。
ご協力いただいた企業様
社会保険労務士 片野誠事務所
東京都千代田区九段北1-2-2グランドメゾン九段501
TEL/03-5212-4610
アクセス/東京メトロ・都営新宿線「九段下」駅5番出口から徒歩1分
片野 誠様
特定社会保険労務士 片野誠事務所 代表。1972年 神奈川県相模原市生まれ。中小企業の総務部において、経理に約3年、人事・総務に約9年半従事。平成18年度社会保険労務士試験に合格。平成20年2月に社会保険労務士として開業。企業のバックオフィスを支えた経験を生かした的確なコンサルティングに定評。セミナー講師としても活躍。
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