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2018年11月2日(金)

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』読者からの質問に林P&Dが回答! アクションRPGとした理由は?

文:ophion

 フリューが2018年10月18日に発売した、涙をテーマにつづられるPS4用完全新作アクションRPG『CRYSTAR ‐クライスタ‐』。本作の発売前に電撃オンライン読者から募集した質問を中心に、プロデューサー兼ディレクターの林風肖(はやし ふゆき)さんにインタビューを行いました。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』
『CRYSTAR ‐クライスタ‐』

 『CRYSTAR ‐クライスタ‐』は、“少女の涙”というキャッチーな表現をテーマに、“泣いて戦う”感動のストーリーが体験できる、フリュー初のPS4向け完全新作のオリジナル本格派アクションRPGです。

 シナリオ・久弥直樹さん、キャラクターデザイン・リウイチさん、キャラクターデザイン&キャラクターモデリングリード・ntnyさん、インサートイラストレーション・ウエダハジメさん、開発・ジェムドロップ、BGM・削除さん、オープニングアニメーション制作・シャフトといった豪華スタッフが集結し、制作されています。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』
▲お話を伺った、『CRYSTAR ‐クライスタ‐』プロデューサー兼ディレクターの林さん。

 ゲーム発売後となりますが、インタビューには物語のネタバレは一切ありませんので、『CRYSTAR ‐クライスタ‐』をまだプレイしていないけどどんな作品か気になっているという方も、ぜひ最後までご覧ください!

主題歌『can cry』を聞いて世界観を共有した

――最初の質問は「『CRYSTAR ‐クライスタ‐』というタイトルに込めた意味を聞かせてください。(Kia.さん)」というものです。

 本作のタイトルは“cry=泣く”と“star=星”を組み合わせた造語で、泣いてしまうような暗い出来事があったからこそ得られる、暗闇でこそ輝く星のようなモノを描きたくてつけました。

 また、後から思ったのですが『CRYSTAR』という文字が“クリスタル”とも読める点が、本作で描いた心の輝きにもリンクする部分があって気に入っています。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』

――「シナリオに久弥直樹さんを起用した経緯を聞かせてください。(こあらさん)」

 本作を企画するにあたって最初に考えたのが、倒した敵から断末魔を集めて泣いて浄化して強くなるというシステムでした。ですが、“断末魔を集めて涙するゲーム”だとどうしても重く暗いだけの世界になってしまいます。

 『CRYSTAR ‐クライスタ‐』は闇を抱えている人が前向きになるようなカタルシスのある物語にしたいと考えていたので、その点で尊敬をしていた久弥さんにシナリオをお願いしました。元々私が久弥さんのファンで、いつか仕事をしたいと考えていたというのも理由の1つです。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』
▲ゲーム内で出てくる敵・幽鬼を倒すと画面にこびり付く“断末魔”。これを涙で浄化し、戦う力(装備)となる“思装”を生み出します。

――次も久弥さんに関する質問です。「シナリオを依頼するにあたって、久弥さんが過去に手掛けた作品を挙げて盛り込んでほしいとお願いしたテーマやキャラクター性はありますか?(kitadeさん)」

 久弥さんが手掛けた作品で見られるようなキャラクターの心の機微や、物語を通して得られるカタルシスは本作でも描いてほしいとお願いはしました。ただ、これまでの作品を例に挙げてお願いはしていません。

――「BGMに削除さんを起用した理由について聞かせてください。(thenectさん)」豪華なスタッフに注目しているユーザーさんが多かったです。

 本作のテーマである涙は感情があふれ出たものであり、偽りのない本物の気持ちの現れだと思っているんです。そういった感情の発露というイメージが削除さんの楽曲の重々しさや美しさが作る、暗い中に光があるかのような印象と合致したというのが大きいです。

 また、削除さんはキャラクターデザインのリウイチさんやntnyさんと交流がある方なので、その点での相性のよさも考えて起用させてもらいました。

――ちなみに、さまざまなクリエイターさんが参加されていますが、一番最初に形になった部分はどこなのでしょうか?

 やなぎなぎさんの歌う主題歌『can cry』ですね。この曲のおかげで本作のイメージが、スタッフ全員でスムーズに共有できたと思います。

 実は久弥さんは『can cry』と削除さんのBGMを聞いてからシナリオ制作に取り掛かり、ジェムドロップさんも『can cry』を聞きつつお仕事をされていたと聞いています。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』
▲『CRYSTAR ‐クライスタ‐』の世界観が凝縮された主題歌『can cry』。皆さんもぜひじっくり聞いてみてください!

――リウイチさんやntnyさん、削除さんといった方々の作品と林プロデューサーの出会いを教えてください。

 リウイチさんの作品は趣味で“pixiv”のオリジナルイラストを探していた時に見つけて、あの独特の表現に以前から魅かれていました。

 ntnyさんと削除さんの作品については、趣味でゲームをプレイしていた際に「このイラスト、この音楽、いいな」と思ったのが最初の出会いです。

感情移入ができるようにアクションRPGを採用

――続いての質問です。「涙をテーマにしたゲームを作るにあたって、ジャンルをアクションRPGにした理由を聞かせてください。(マリオネットさん)」確かに、それこそ“泣きゲー”ならアドベンチャーゲームでも見せられると思いますが……。

 主人公への“感情移入”をしやすいというのが大きいです。というのも、アクションは主人公を自由に動かして敵を倒してその結果によって物語が進んでいきますよね。

 そういった自分の行動が直接物語にかかわっていくことによる没入感で、深みのある世界を描こうと思ったのでアクションRPGというジャンルを採用しました。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』
▲本作はキャラクターを切り替えながら戦っていくアクションRPGです。

――「アクションRPGというジャンルの中で、『CRYSTAR ‐クライスタ‐』はアクションとRPGのどちらの要素により重きを置いているのでしょう?(クロシマさん)」

 世界観や物語を楽しんでもらうということを第一に考えていますので、レベルを上げればアクションが苦手な人でもゲームを進められる設計にはしています。そういった点を考えるとある程度RPGに寄せていますね。

――「難易度の調整はできますか? またもしできるのであれば、難易度によって手に入る思装やアイテムに変化はあるのでしょうか?(しまさん)」

 物語を重視したタイトルということもあり、アクションが苦手な人でも楽しめるよう複数の難易度を用意しています。

 ストーリーが気になるけどアクションが苦手で心配な方も、レベルを上げたり思装(装備)を整えれば、十分クリア可能です。

 難易度を高くした場合、敵を倒した時に獲得できるスピリット(お金)とアイテムのドロップ率が増えるだけなので、高難易度でプレイしないとレアな思装が手に入らないということはありません。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』

――「アクションRPGにはレベルが上がっても成長が実感しづらいものがありますが、本作では成長要素にどうメリハリを付けていますか?(クロシマさん)」

 一番わかりやすいキャラクターの成長は、敵に与えるダメージですね。本作では常時与えたダメージが表示されるので、数値として成長が実感できるようになっています。

 そしてもう1つ成長として実感しやすいのがスキルの習得です。スキルは特定のレベルで習得して、最大4つまでセットできます。このセットできるスキルの選択肢や組み合わせが増えていくことで、レベルが上がるほど遊びの幅が広がるようにしています。

――実際プレイさせてもらいましたが、あるスキルとそのスキルの上位版のようなものを同時にセットできるのはレベルが上がってからの特権ですよね。

 そうですね。ただ、より高いレベルで習得するスキルが必ずしも使いやすくて強いわけではありません。覚えたスキルを実際に使ってユーザーさんそれぞれの中でのベストを見つけてほしいです。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』
▲キャラクターごとにさまざまなスキルが用意されています。戦いやすいスキルの組み合わせを探してみましょう。

――「PVやプレイ動画で“CHAIN”という文字が見られますが、連続で敵に攻撃を行うとどんなメリットがあるのでしょう?(ぐっちさん)」

 本作には“涙ゲージ”というシステムがあって、このゲージがたまると主人公たちが守護者を呼び出したり、異形に変身して強力な攻撃を行えるようになります。

 CHAINはこの“涙ゲージ”に紐づいた要素で、CHAINが増えていくと敵に攻撃した時に得られる涙ゲージがより多くなる仕組みになっています。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』
▲涙ゲージがMAXになると泣きながら戦う“覚醒状態”に。キャラクターの力が最大限まで解放されます。

エンディング後の楽しみもたっぷりと用意している

――まだまだたくさん質問が来ています。「プレイ時間はどのくらいになりますか?(あるふぁさん)」

 ゲームクリアまでで30時間程度を想定しています。ただ、その後まで考えると少なくとも40時間くらいは楽しめます。

――では、エンディングを迎えたらおしまいというタイトルではないのですね?

 はい。エンディング後の楽しみもたっぷりと用意しています。また、プレイヤーさんが体験した物語は零が書いた“日記”として後から振り返ることもできます。そういった点もゲームを進めてからの楽しみになりますね。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』
▲零の日記は物語の振り返りだけでなく、零の考えや思いなども見ることができます。こまめに読んでみるのがおすすめです。

――次の質問です。「イベントのスキップや会話のオート機能はありますか?(シアンクールさん他)」

 スキップ機能はありますが、オート機能は設けていません。ただ、繰り返しプレイする人がストレスを感じにくいようにしていますので、その点は安心してください。

零の泣いているセリフが多すぎ!

――キャラクター関連の質問も多く来ています。「零たち代行者以外のバックストーリーも劇中で描かれていますか? とくに水無乃有理がどんな娘なのかが気になっています。(UQさん)」

 本作では章ごとに1人のキャラクターにフォーカスを当て、そのキャラクターの人間性や人生に影響を与えた出来事などが回想シーンで描かれていきます。有理は零と深いかかわりを持つキャラクターなので、主に零視点から生前の姿が見られますね。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』
▲事故で死んでしまった零の友人・水無乃有理。死後の世界である辺獄で、零は彼女と再会するのですが……。

――「メフィスとフェレスは姉妹なのでしょうか? もし姉妹ならどちらが姉なのかも気になります。(ロッシーさん)」

 双子の姉妹ではありますが、どちらが姉と明確に定めてはいません。ユーザーさんのお好きなように想像を巡らせてもらえればと思います。

――「声優さんの音声収録時に、おもしろかったエピソードなどがあれば教えてください。(竜田揚げさん)」

 『CRYSTAR ‐クライスタ‐』は涙をキーワードにしているので、他のタイトルと比較して泣き声の収録が多いんです。

 中でも主人公の零を演じている近藤玲奈さんの場合、アクションパートにイベントに思装浄化と、とにかく泣くシーンが多すぎて……。そのせいで、収録は順調なのに、スタジオでは常に泣き声が聞こえてくるという、ちょっと微妙な雰囲気になりましたね(笑)。

――なるほど(笑)。泣いているボイスは、零のセリフのうちどの程度をしめているのでしょうか?

 システムに紐づいたセリフだと、3分の1以上になりそうです。これだけ泣くセリフを収録したのは、初めてかもしれません。

――それだけ多いと、なぜか空気が沈むかもしれませんね(笑)。

 逆に笑い声が絶えなかったのが、フェレス役の立花理香さんの収録ですね。ただ、フェレスの笑い声は、なんというかちょっと頭のネジが外れた笑い方なので、笑い声が絶えないのにこちらもやっぱり微妙な雰囲気になっちゃいました(笑)。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』
▲かなりエキセントリックなしゃべり方をするフェレス。ゾクっとするような笑い声が頭から離れなくなります……。

――独特の演技が多いと、スタジオがその空気に飲まれてしまうんですね。他に収録時に驚いた話などありますか?

 一番驚いたのは、千役の井上ほの香さんですね。井上さんはこれまで千のようなクールな女の子を演じたことがなかったんですよ。ですが、第一声からイメージした通りで、いっさい調整することなく収録が進んだことにびっくりしました。

――全体的に、あまり演技指導はなかったのでしょうか?

 あまりなかったですね。ただ、零だけは物語を通して感情の振れ幅がかなり大きいキャラクターですので、シーンごとに零の心境を近藤さんと細かく相談させてもらいました。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』

フリューだからこそできたタイトル

――店舗特典でコスチュームが用意されていますが、これはDLCで後から購入ができるようになりますか?

 店舗特典については、DLCでの販売はありません。ですので、好みのコスチュームを見つけたらぜひ予約していただきたいです!

――コスチュームの変化は店舗特典やプロダクトコードのみになるのでしょうか?

 ゲームの進行にともなって、解放されるコスチュームも用意しています。また、DLCでの無料配信や有料販売も検討しています。

――続編についての質問もいくつかあったのですが、気の早い話ですが、続編を作るとなった場合に林さんの中にプロットの種のようなものはありますか?

 ありますね。ただ、純粋に本作と時系列がつながっているというようなものではなく、世界観は違うけれども根っこには共通点があるというようなタイトルを作りたいです。

『CRYSTAR ‐クライスタ‐』

――最後は「本作を制作するにあたって、フリューだからこそできたことやフリューで制作ができてよかったと思ったことはありますか?(はっけんさん)」という質問です。

 新規のオリジナルIPに投資をできるゲームメーカーは国内では減ってきていると思います。そんな中で自分にチャンスをくれたというのは、うれしく思っています。

 あとフリューは「なにかをしたい」とアピールしたら、まずはちゃんと話を聞いてもらえるという体制ができているんです。クリエイターさんへ声をかける際も、全部任せてくれました。寛容であるというのがフリューのよさですね。

 『CRYSTAR ‐クライスタ‐』はそんな環境だからこそ、豪華なクリエイターが集まって作れた作品だと思っています。ぜひ、興味が少しでもあったら、最後まで遊んでみてもらいたいです!

(C) FURYU Corporation.

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