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『地獄明かりの悪竜』
『異世界迷宮の最深部を目指そう14巻/割内タリサ先生著』がオーバーラップ文庫から本日発売です!
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以下反転でイラスト注釈がご覧頂けます。
今巻以降の重要なネタバレが大量にありますので、web版9章462話読後推奨です。
前回に引き続き書籍派の方には本当にすみません。
◆渦波が十字架をファフナーの心臓に刺している。→渦波が原因で人体実験室送りの末ゴースト魔人化した。
或いは抜こうとしている。→未練を解消しニール・ローレライとしての幸福を約束しようとする。
◆それにより渦波が墓標に懺悔しているような、祈っている様な姿に見える。ファニアでの後悔。
ファフナーとの関連。「ファフナーと同じで、経典に許しを請い続けているのだ。(462.『最深部』)」
墓の前で祈りたかったラグネとの関連。「私は懺悔をしてしまう。生涯、一度もお墓に祈ったことはない。人は死んだら終わりだとママから聞いていたからだ。(343.ラグネ、カイクヲラ――)」
◆ファフナーは抵抗せずにむしろ手を添えている。→千年前、自ら進んで心臓移植を提案し代行者になる。
自ら進んで弱点を教え、弱点を晒し、未練を解消することなくここで消滅してもいいという14巻の彼のスタンスにも合致。
刺さっているのはヘルミナの心臓なので、血の理の代行者として黒髪赤目。十字架が首を切る形で横切る。
◆笑顔。→救世主への信仰。苦難を受け入れる。試練は祝福。
渦波の顔がこちらから見えないのにファフナーのみがその視線と交わっているというのも、偶像感があっていいかなと。
渦波とファフナーの顔の位置は上下逆さの水(血?)鏡で、血の理で他人を写し気安い友人の振りをするファフナーと、鏡の性質によって他人の理想を写し演技する渦波の類似。
◆血+白服+十字架+表情+聖書で宗教的なイメージ。碑白教への殉教。
◆画面左上では血溜まりに青空が反射。
「もう『獣人』のみんなは、青い空に辿りついたんだ。そして、これからはカナミという『大いなる救世主マグナ・メサイア』の力で、さらに世界は救われていって、『不幸』な人々は減り続ける……(438.救世主)」
渦波視点では血溜まりの中に倒れているファフナーで悲観的なシーンですが、ファフナー視点では青空をバックに逆光の渦波で希望的シーン。
◆血溜まりからは死者の手。ファフナーが召喚する過去の戦士か、実験室仲間か、ファフナーの或いはヘルミナの幻聴か。
14巻、代行者となった14才、経典は全14章と、なにかと14という数字が出て来たので血の腕も14本。
◆左手は経典を握る形で、その下にある心臓の象徴(心臓の大きさは握りこぶし大)。
◆陽の光は切れ目の形に裂けている。
◆血の雨。生きとし生ける赤(ヘル・ヴィルミリオン・ヘル)の詠唱。『空に爪を突き立て、私は世界を掻き切った』『見上げて瞠れ。いま肉裂いた空から、血の雨を降らせる』。
◆血に浮いているのはハイビスカスの花でヘルミナの代わり。
茎が斬られて(刃物のような人為的な切り口)花の頭が落ちている=死んでいる。数は単純に死=四輪。
供花のイメージから白い「マドンナ」という品種。「憧れの美しい女性」「聖母マリア」の意。
3巻表紙でラスティアラの代わりとして使ったキスツスに色合いが同じ。→愛する人と幸せの定義が違い、その溝が埋められないままその人と死に別れた渦波とファフナーの「二度とたった一人の運命の人と一致しない」類似性。
白の花弁に赤い模様はファフナーの白い服が赤く染まっているのと同様、白いものが染まると元に戻らない、ファフナーのキーワードの一つ、血の理の「二度と戻らない」との符号。
ハイビスカスの裏のシンボルが「死後の幸福」「呪い」→「死期の幸福」はヘルミナの「地獄に落ちて初めて救われる」という思想。
「呪い」はそれによって「愛する人の事を理解したかった」というファフナーの未練を生んでしまうが、ファフナーは代行者なので彼自身には理を盗むものの代償も呪いもない。
◆画面左上はトケイソウの実。
花言葉は「聖なる力」「隠し持った情熱」「恋の激しい苦しみ」「信仰」「宗教的情熱」。
英名は「Passion flower(キリストの受難の花)」。形が磔刑の諸々に、つまり十字架に似ているため。語源はラテン語で「passus(苦痛)」。
別名「ブルークラウン」。「青い冠の聖母」への連想から、そのままキリストの磔刑の予兆。ファフナーが周りに試練を課す構図と、web版主人公名と被って面白いかなと。
描いてあるトケイソウの実は「レッドアップル」という品種。ニュートンの万有引力への連想から血の理の繋がりの力。アダムとイヴの知恵の実への連想。
ハイビスカスとトケイソウ、主張強めの花が二種あるのはくどいのでこちらは実。花の十字架の暗喩はもう十字架そのものがあるので。
(因みにトケイソウの一種がパッションフルーツです。ずっと「情熱の果実」という意味かと思ってましたが「受難の果実」でした。かっこいい。)
◆シグルズがファーヴニル殺しという二つ名を持ちその心臓を貫き討ったのは有名。こちらは書籍版主人公名との符号。
◆床は硬質で暗く、外れた手錠、最下層、御神体保管室など地下のイメージ。これだけ派手に汚れたら清掃員さんの出番ですね。
(◆「墓標で指し示された本は聖書である」という話から血の腕の誰かに経典を指さして貰おうと思ってたのに入れ忘れました…)