ネパール人とネパールでの活動経験者が解説!ネパール人の文化・雇用する際の注意点とは

執筆者:籐内(JapanJobSchool 支援担当者)
監修者:コイララ(ネパール国籍担当)

“ネパール”という国名を聞いたとき、どれほど身近に感じますか? カレー屋さんで、ネパールの方を見かけることも多いでしょう。しかしネパールという国や、国民性に対してご存じの方は少ないかと思われます。

CS担当|藤内

そこで、今回は学生時代からネパールで活動し、現地や日本に住むネパール人とも交流のある私が、ネパールの文化や人柄について紹介していきます!

コイララ(ネパール担当)

ネパール人である私も文化や経験などについて解説していきます!

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目次

1.ネパールの基本情報

ネパール地図

出典:外務省|ネパール

国の面積はそれほど大きくなく、北海道と比べると約1.8倍ほどの大きさです。人口は、2021年時点で3003万4989人言語は主にネパール語が使用されています。

実は、令和4年末までにおける在留外国者数で13万9393人と6位に入るほど、多くのネパール人が日本に住んでいます。
ネパールの町では、ヒンドゥー教や仏教の文化が混在した風景を見ることができます。
宗教人口は以下のようになっています。

 

ネパールの宗教人口

ネパールの方が日本で働く理由として、「母国の給与水準よりも高い」ということが一つにあります。

実際、ネパールの給与水準は月約1万2000円と高いとは言い難い金額です。

2.ネパール人の性格・特徴は?

ネパール人

人懐っこい性格

ネパール人の性格として、非常に人懐っこい傾向があります。
これは、子どもに限らず大人も同じです。

「笑顔は世界の共通言語」というような言葉がありますが、まさにその言葉を体現していると思うほどです。

また実際にお話をし始めるといろんなことを質問してくださいます。

質問の答えに対して更に質問してくださったり、ネパールの文化や生活について詳しく教えてくださったりと、相手を理解したいという想いを持って話してくださる人たちが多いです。

そのため、何か作業をする際には、その作業が他の作業にどのような関係や影響ががあるのかを理解して取り組むため質問をしたりと、作業の関連性をきちんと理解した上で働いている方が多い印象です。


人との接し方

性格の部分でお話ししたように、非常に人懐っこい性格であり好奇心旺盛な方が多いため、一度話をし始めると、一気に心の距離を縮めることができるでしょう。

ネパールの現地では、お店に入る時や道を尋ねる時など、女性に対しては「ディディ(お姉さん)!」と呼びかけているところをよく見かけます。

CS担当|藤内

実際に、私もネパールで川遊びをしている時に、知らない少年からディディ!と声をかけられた後にネパール語で話しかけられました。
残念ながら私はネパール語を話せないので英語で応答すると、その後は頑張って英語で質問等してくれ、会話を楽しみました。

このように、知らない人にも親しみある呼び掛けで会話を楽しむといった、コミュニケーションの取り方をする方が多いです。 日本語を話せるネパール人の方では、その方の日本語理解のペースに合わせてコミュニケーションをとると、距離を縮めることに繋がります。

3.ネパール人の習慣・価値観は?日本人とはどう違う?

お祭りや食事など文化的なものが非常に多いネパール。食事の感覚が少し違うところもあるので、食べ方も含めご紹介していきます。

主食は1日に2回

ネパールの食事は日本と少し違い、お米を食べるような主食は1日に2回です。

他に、「Kaja」と呼ばれるおやつが主食の間にあり、おやつなどの軽食以外のご飯は「Kana]と呼ばれています。

コイララ(ネパール担当)

ネパールではお昼ご飯は大体9:00~11:00の間に食べる人が多いので、日本のお昼の時間と比べると早いと感じる人もいるかもしれません。

kaja

主食は、「ダルバート」と呼ばれるワンプレートの食事をします。

ダルバート

プレートには他に「サグ」と呼ばれるほうれん草や、

「アチャール」と呼ばれるネパールの漬物などがご飯のまわりにあります。

これらをご飯と混ぜて、右手で食べます
ネパール現地では、このダルバートを注文するとお肉以外は食べ放題のように、おかわりが次々ときます。
最初にのっている量も多いのですが、ネパールの方たちはほぼ皆さんおかわりをします。

コイララ(ネパール担当)

写真のように沢山アチャールが付いているのはお金持ちの人か、パーティーなどのイベント事の時の場合が多いです。
勿論アチャールも少しはありますが、基本的には、カレーとライスとダルを食べます。

おやつの時間

おやつといえばポテトチップやクッキーなどを想像するかと思います。
そういったスナックも食べるのですが、ネパールの方はもう少しボリュームのあるものを食べます。

例えば、「サモサ」という小麦粉で作った皮にじゃがいもを主としたスパイシーな具材を包み揚げたものや少なめの袋麵、ドーナツなどの軽食を食べています。

主食の間の小腹を満たしているような感覚です。

こういったおやつは、ワゴンで学校などに売りに来ていることもあり、
子どもたちが休み時間に買って教室や外で食べている光景を見たりします。

行事

ネパールの祭り

ヒンドゥー教と仏教の文化が交わるネパールでは、多くのお祭りが行われます。

毎月なにかしらのお祭りが行われているほどです。

シヴァ・ラトリーなどネパールで開催されるお祭りの中には、インドからネパールの寺院へ多くの方が訪れるものもあります。
また、ネパールではビクラム歴というものを使用しているため、暦も日本と違い、新年も4月にあります。

CS担当|藤内

暦や宗教も日本とは違いますが、あるお祭りの日には英語で祈りの言葉を私に送ってくれ、自分の文化の中で異国にいる私も大切にしてくれたりと、ネパール人にとってお祭りは生活の一部であり大切にしていることです。

家族で過ごすお祭りが多いので、日本で就労しているネパール人の方は
そのお祭りの時期に合わせて一時帰国日を決めることが多いです。

コイララ(ネパール担当)

お祭りは毎月ありますが、「ダサイン」は10日間行われるお祭りで、ネパールでは一番大きなお祭りとされています。
また、ネパール国内にいる人は家族で過ごすため実家に帰る人が多いです。私も一度、お祭りに合わせて帰国をした事があります。

恋愛・結婚

昔の日本のように、ネパールではお見合い結婚が現在も多いです。
お見合い結婚が多い理由の一つとして、同じカースト内での結婚が一般的であったことがあります。

しかし、近年では恋愛結婚も増えているそうです。
要因として、法で教育が義務化され異カーストが1つの教室で学ぶ機会ができたことや、
異カースト間で婚姻した新婚夫婦へのお金の給付など、国として異カースト間での婚姻が増える状況を作っているためだと考えられます。

CS担当|藤内

そんな状況もありますがお見合い結婚はまだまだ多く、実際に日本で働くネパール人の友人は一時帰国の際に同カーストの方と結婚していました。
友人は技術・人文知識・国際業務ビザで就労していて、配偶者を日本へ連れてくることができるため、現在は日本で奥さんと暮らす準備を進めています。

コイララ(ネパール担当)

ちなみに私はお見合いで結婚しました。

技術・人文知識・国際業務ビザに関しての情報はこちらの記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

日本で働いているネパール人の方含め、外国人の方は配偶者や子どもを日本に連れてきて一緒に住みたいと望む方は少なくありません。

参考:「出入国在留管理庁」の「在留資格「家族滞在」 」
参考:「明石書店」の「現代ネパールを知るための60章」(2020)

仕事に関する考え方

仕事も、自分の人生を楽しむ大切なことの一つであると考えているネパール人の方が多いです。

CS担当|藤内

これは実際に、私がネパール現地でホテル等の施設や日本で配管の仕事等で働いているネパール人の友人たちと話していて、聞き、感じた話です。
仕事について聞くと、自分の就く仕事について詳しく話をしてくださったり、仕事での知識を日常生活でも人のために役立てたりと、熱を持って働いている姿を話の一端でもよく垣間見ます。

また、真面目に仕事に取り組んでいるからこそ、仕事に対して意見や提案を持っている人も多いです。

ネパール現地で働いている友人は職場で発言しているという話も聞きますが、日本で働いているネパール人からは、上手くその意見を日本語で伝えられていないという方も少なくありませんでした。

そのため、1から全てネパール人に意見を日本語で説明してもらうのではなく、話せる内容や普段の仕事や生活からくみ取れることを話のヒントとして日本人が質問し、会話を進めていくことでコミュニケーションが多く取れるだけでなく、相互に仕事がしやすい環境へと繋がります。

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4.ネパール人を雇用する際のポイント・注意点

ネパール人の雇用を考えた時、「カースト」の心配をされる方が多いのではないでしょうか?

宗教的考え方が生活にありますが、注意すべきポイントがありますので、そこを気を付けることで、
人懐っこい人柄であるネパールの方たちと良いコミュニケーションをとれるでしょう。時代や世代の変化も一緒にご紹介します。

食べられないもの

宗教によっては、食べれないものがあるということは多くの方が知っているかと思います。
実際、ネパール人の多くが信仰しているヒンドゥー教では、食べられないものがあります。

それは、です。

牛は破壊神シヴァの乗り物とされているため、ネパールの方は牛を食べません

しかし、慣習から豚肉や魚なども食べないというカーストの方や民族もいます

基本的には、牛が料理に入っていないか気にかけておくことが大事です。ネパールでは主に、水牛・鶏・羊で作られた料理をお店でみます。川が近くにあるところでは、魚料理もお店でみることがあります。

食事の場で気を付けること

食事をネパール人の方と取る場では、特に食器の扱い方について気をつけましょう
基本的に、口をつけた食器や食べ物は共有しません

例えば、自分の食べている食事を自分の使っているスプーンで共有したり、
共有する飲み物のペットボトルに口をつけたりすることはNGです。

宗教的に「けがれ」という考えがあり、人が手を付けた食器や食べ物などはけがれているとされているためです。

CS担当|藤内

しかし、ネパール人の友人の中には、それぞれ別の種類のケーキを頼んで食べていると、
「お互いのケーキ食べ比べしよう!」と言い、食べている部分を気にすることなく共有するといった、食べ物自体に関しては気にしない人もいるようです、、

ですが、ネパール人の人は共有する食器や食べ物に敏感だという考えで、一緒に食事する際などは気をつけましょう。

カースト制度

「カースト」という言葉は、ヒンドゥー教にまつわるものだけでなく、日本でも日常で聞くことがあるのではないでしょうか。
カースト制度は身分制度であり、言葉の由来はポルトガル語で「血統」や「家柄」、「種族」という意味のものです。
カーストには伝統的に受け継いできた職業があるので、いまだに職業への差別的な考えを持っている人はまだまだいます。

しかし、その考えは世代が若くなるにつれ薄くなっていると思います。

というのも、ネパールの法ではカーストを根拠とする差別を1962年以降は禁止していることもありますし、義務教育も平等に行うことが決まっています。
そのため、異カーストの人と学ぶ機会や、カーストの概念には当てはまらないような職業が増えてきています。

CS担当|藤内

さらに、私が国の関係者の方に処分場に関してインタビューさせていただいた時には、
低いカーストがやる仕事だとされていたゴミに関する仕事でさえも、「給料が良いから」と異カーストの若者が働いている現実があるとお話を伺いました。

このように、現代の若者のなかでは「カースト=職業」という認識が薄くなっていると感じています。

参考:「Australian Government Department of Foreign Affairs and Trade」(出入国在留管理庁訳)の「DFAT国別情報報告書」

家族との時間

ネパールはもちろん、ベトナムやミャンマーの方々は非常に家族との時間を大切にしています

私の知り合いには、ネパール国内に留学へ行っている娘と毎日テレビ電話をしている方や、頻繁に友人などと電話している人ばかりです。

日本人が電話する際は、多くが音声のみの会話だと思います。
しかし、ネパールの方はテレビ電話でお互いの顔をみながら話している人が非常に多いです。

それほど、互いの顔を合わせて会話などをすることを大切にしています。
さらに、ネパールでは家族の誰かが入院すると1日中誰かが患者の家族の傍におり、交代制で病院へ泊り看病をしたりと、家族との繋がりが非常に強いです。

母国への一時帰国

家族との時間やお祭りを大切にするネパール人は、一時帰国する機会を大切にしています。
「恋愛・結婚」の章でお話ししたように、一時帰国期間で結婚をする人もいます。

また、日本ではなかなか売っていない食材をネパールで買い、母国の味を日本で食べる機会を作っていたりします。
移動は直行便で行くことができても8時間はかかります。

しかし、そこまで多くの便が出ているわけではありません。そのため、大体は他の国を経由地とする必要があり、そうなると8時間以上かかります。移動に半日以上は最短でもかかってしまうことや家族の行事があるため、
なるべく長期でお休みが取れることが理想とされます。

帰国のタイミングとしては、ネパールで大きなお祭りがある10月に一時帰国される方が多いです。

まとめ

いかがでしたか?ネパールに対してのイメージは増えましたでしょうか。

ネパール人はご紹介した通り、非常に人懐っこい傾向にあります。話せば話すほど、ネパールという国や文化を教えてくださると思います。
異文化であったとしても、人と人の対話であることに変わりありません。
ぜひお会いしたネパール人の方へこの記事に書いてある内容を話の種として歩み寄っていただき、コミュニケーションの糸口としていただけますと幸いです。

また弊社ではネパール人をはじめ、多くの外国人採用などの無料相談を行っており、気になる方はぜひともお気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人

カスタマーサクセスを担当。
大学時代にネパールを中心に様々な国で国際協力活動を4年間行う。ネパールのごみ処分場を見学・インタビューしたことをきっかけに、「職業」と「環境」へ興味を持つ。「職業選択の壁をなくす」という目標を持ち、プライベートでもエネルギーをもらったり活動をするため、度々ネパール現地を訪れる。

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